#33
#1
「相変わらず、シュウゴの菓子は美味いな」
「本当だよね。いつも和菓子や洋菓子も作ってくれて本当に有難いよね」
「俺も毎日のように美味しいお菓子を食べられて幸せですよ」
リュウゴさんとお父さんはシュウゴくんが作ってくれたおはぎを美味しそうに食べている。
「リュウゴさん、お茶いる?」
「はい。ありがとうございます」
リュウゴさんの空いた湯のみを取ろうとしたら、手が滑って卓の上に落とした。
「あ、ごめんなさい」
「大丈夫ですよ」
湯のみから少しだけ残っていたお茶が溢れていたので、布巾で拭き取った。
改めてリュウゴさんの湯のみを取り、急須でお茶を入れる。
「リュウゴさん、どうぞ」
「ありがとうございます」
リュウゴさんはお茶を飲んで、一息ついた。
「そう言えば、この前から変わったことがあるんですよ」
「変わったこと?」
「はい」
リュウゴさんは湯のみを卓に置いた。
「ある日、夢の中で、夜中に水を飲もうとしたら、コップを落としたんです。そしたら、音もせずただ床に置いてあったんですよね」
「へー、夢をそこまで覚えているのは珍しいですね」
「はい。でも、その日を境に食事中に料理がなくなったりすることがあるんですよ」
「先に食べていたり、マモリさんかシュウゴくんが食べていたりするんじゃないかな?」
「それが先に食べていたりはしていないんですよね。特に記憶も飛んでいるわけでもないですし。また、二人に聞いても食べていたりしていないみたいなんですよ」
「そうなんですね。なんだか小さな妖精さんが食べちゃっていたりして」
「ははは。そうだとしたら悪戯好きな妖精ですね」
「ふふふ。そうですね」
お皿のおはぎを見てみると、おはぎが一つ無くなっていた。
「おはぎが一つ無くなってますね」
「そうですか。これも妖精の仕業ですかね」
「だとしたら、我が家の妖精は大きいと思いますよ」
リュウゴさんと私は笑っていた。
お父さんは最後の一個のおはぎを美味しそうに食べている。
#2
台所で物音がする。
窓を見るとまだ夜のようだ。
シュウゴは隣で静かに寝ている。
何だろう。
寝室の戸を開けて、台所を見てみると、冷蔵庫を開けている小猿がいる。
...猿?
眠い目をこすって猿に近づくと、猿はつぶらな瞳で見上げている。
また、夢なんだろうな。
「何か食べるか?」
小猿は冷蔵庫の野菜を見つめた。
その野菜を取って、小猿に渡すともしゃもしゃと食べた。
「美味しいか?」
小猿の背中をさするとほんのり温かい。
小猿は食べ終わると、うとうとしてる。
「一緒に寝るか?」
小猿を拾い上げると、小猿は胸の中で丸くなった。
寝室に連れて行き、小猿を横に置いて眠った。
あれ?
野菜が少し減ってる?
この前、多く使ったかな?
兄さんは特に台所は使わせてないし。
変なの。




