#31
「こんばんは、ケイコさん」
「いらっしゃい。今日は三人で来たんだね」
「はい。仕事終わりでそのまま来ました」
「シュウゴは制服のままだから、工場に寄ってきたんだね?」
「はい」
「そうかい。空いてるところに座って」
「ありがとう、ケイコちゃん」
タケさんと兄さんは向かいの席に座った。
俺も席に座るとテーブルのコップを三人分水を入れて二人に渡した。
「ありがとう」
「あ、タケさん。この前の漬物美味しかったよ」
「そうかい。そりゃよかったな。また作るか?」
「うん。お願い」
「わかった」
タケさんはお水を美味しそうに一口飲んだ。
「シュウゴにはいつも美味しい弁当作ってもらってるからおあいこだな」
「いやいやタケさんには昔からお世話になってるからもっとお返ししたいよ」
「気持ちは嬉しいが、年寄りの世話よりも自分の世話をもっとしろ。まだ子供なんだしな」
「...」
タケさんは笑っているけど、なんとも言えない。
「まぁ二人が料理がうまいからいつも俺は嬉しいよ」
「兄さんにはそもそも料理以外にもたくさんやってもらえてるから」
「いや、シュウゴは俺がやる前に大体家事を終わらせるから、兄としてはもっと家事をしたいぞ?」
「兄さんは仕事もしてるし、勉強もしてるんだからこれ以上負担になることしなくていいの」
「やっぱり当番制にしないか?」
「それはダメ」
兄さんはいつも隙あらば何かをやろうとするので、早め早めに色々やらないと嬉しそうに何でもするからこっちが先に片付けないと兄さん無理してでもやるから心配になる。
兄さんは溜息をしているけど、今後も気を抜けないな。
「お!シュウちゃん!」
入口からユウコの声が聞こえた。
そこにはユウコとアサコとヨウコがいた。
「リュウゴさんとタケさんもこんばんは」
「こんばんは」
「こんばんは。元気だなユーちゃんは。」
「元気だよ〜!」
ユウコはこっちを向いた。
「シュウちゃん、先帰ったと思ったらうちに来てたんだ。言ってくれれば良かったのに」
「先にタケさんの工場に行ってから来たんだよ」
「どうせ、うち来るなら一緒に行ったのに〜」
「ほら、ユーちゃん、甘えないの」
「...ユーちゃん、おいで」
「う〜」
ユウコはヨウコに抱きついて、ヨウコの胸に顔を埋めている。
ヨウコは優しくユウコの頭を撫でている。
「んじゃ着替えに行くから、後でね、シュウちゃん」
三人は階段を上がっていった。
「はいよ。いつものね」
マモ姉が料理を持ってやってきた。
「ありがとう。うまそう!」
「んじゃいただきます」
「いただきます」
「いただきます」
「...マモ姉、なんでいるんだ?」
マモ姉は当然のように隣の席で料理を食べ始めた。
「ふっふっふ、料理のあるところ、私のいるところ!」
「シュウ、冷めるから食べな」
「うまいぞ」
タケさんも兄さんも何も気にせず、食べ始めている。
「...いただきます」




