#19
#1
「リュウちゃん、ちょっと来てくれ。」
「どうしたの、タケさん。」
タケさんのそばにはゲンさんがいた。
「ゲンさん、こんにちは。どうしたんですか?」
「ゲンちゃんの時計が壊れているらしくてな。」
「そうなんですか?」
「うん。古いものだから、調子が悪くなったみたいでね。」
「リュウちゃん、ゲンちゃんの家に行って、見てきてもらえるかい?別の仕事もあるんでな。」
「いいですよ。ゲンさん、このまま行っても問題ないですか?」
「構わんよ。頼む。」
「んじゃ、リュウちゃん、頼むわ。」
#2
「兄さん、どうしたの?」
「ん〜今日ゲンさんの家に行って時計を見てきたんだけど、結構古いもので、一度直し方を調べているんだよ。」
「そうだったんだ。」
「ああ。タケさんとも相談したけど、いい機会だから一から全部直してみろって言われてな。」
「なんか大変そうだね。」
「リュウちゃんも悩むことがあるんだね。」
「そりゃあるよ。」
「マモ姉、邪魔しちゃダメだよ。」
「邪魔なんかしないもーん。」
「全く。兄さん、ご飯食べよ。準備できたから。」
「おう。」
#3
「リュウゴくん、ありがとう。タケさんにもよろしく伝えてくれ。」
「はい。また何かありましたら相談してください。」
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タケさんの家から少し歩いていると見覚えのある人が向こうから歩いてきた。
「おや?いつぞやの。」
「ああ!あなたは電柱の人。」
「その節はありがとうございました。」
「いえいえ。また電柱に登る必要があれば声をかけてください。」
「ははは。優しい御仁だ。コンドウの爺様のところから出てきたように見えたが…。」
「はい。ゲンさんの家の時計を直していたんですよ。」
「あーあの古時計をか。だいぶ古いものだったから直すのは大変だったろう?」
「はい。でも、問題なく直せました。」
「それは良い腕だ。ぜひ私の家のものも今度壊れた際は依頼しよう。」
「わかりました。そういえば、お名前を聞いていませんでしたね。」
「コバヤシレイヤと言います。」
「ミヤモトリュウゴです。」
「では、ミヤモトさん、またお会いしましょう。」
「はい。」
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「おお、レイヤ君。」
「ゲンジロウ爺、あの古時計が壊れたって?」
「うん。でも知り合いに直してもらってな。」
「ミヤモトさんだね?」
「知り合いだったのか?」
「うん。顔見知りさ。でも、あの時計は特別だから壊れることはないと思ったが…。」
「この時計も長生きしすぎたのかもしれない。」
「でも、まだこの時計は時を刻んでいます。」




