#17
#1
「ケイコさんって本当に凄いですね。」
「またそんなこと言って。カナちゃんも似たようなことを言ってたよ。」
「だって、カナちゃんと話す時もケイコさんのこと凄いって話してますもん。」
「何もすごくないよ。店をやって、3人の娘たちを育てている。それだけさ。」
「私もケイコさんみたいになれるかな?」
「誰だってなれるさ。私だって昔は可憐な乙女だったんだから。」
「ふふふ。昔のケイコさん見てみたいですね。」
「ただいまー。お、サチコさんこんにちは。」
「こんにちは、ユウコちゃん。アサコちゃんとヨウコちゃんは?」
「二人は本屋に寄ってくるって。私は先に帰ってきちゃった。」
「おかえり、ユウコ。」
「ただいま。お母さん、何か手伝う?」
「大丈夫だよ。上行って着替えておいで。」
「はーい。」
ユウコちゃんは階段を上っていった。
#2
「…アサ姉、お待たせ。」
「おかえり。ヨーちゃん、探してた本買えた?」
「…うん。」
「んじゃ、帰ろっか。」
ヨーちゃんは頷いた。
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「…アサ姉は本買った?」
「うん。買ったよ。」
「…何買ったの?」
「えーっと、これだよ。」
「………難しそう。」
「そう?読んでると面白いよ?」
「…アサ姉、変。」
「変とは何よ。」
ヨーちゃんの頭を撫でると、ちょっと嫌そうな顔をしてる。
「ヨーちゃんは今日どんな小説買ったの?」
「…。」
ヨーちゃんは本を見せてくれた。
「お、最近話題の人だね。」
「…この人の文体好き。」
「そうなんだ。ヨーちゃんはどんな文体が好きなの?」
「………優しいの。」
「そっか。私にも後で見せて。」
「…うん。」
「お返しに私の本も見せてあげる。」
「…」
「なんでそんな嫌そうな顔するの。」
ヨーちゃんのほっぺをつつくと、とても柔らかい。
#3
「へー、ユウコちゃん、専門学校行くんだ。」
「うん。私、母さんみたいに料理でみんなに笑顔になってもらいたいんだ。」
「とってもいい夢だね。」
「ユウコ、料理だけじゃなくて、経営や会計も勉強しないとダメだよ。料理作る前に店潰しちゃ元も子もないからね。」
「はーい。」
「ケイコさんはいいお母さんだね。」
「現実的すぎない?まぁいいけど。」
#4
「サチコ、何か今日いいことあった?」
「ん?何で?」
「いつもよりご飯が美味しい気がして。」
「本当?」
「うん。何か優しい味がする。」
「そっか〜。ふふふ。」




