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白貝  作者: 黄金天狗
16/55

#16

#1

「ナナシさん、いつも厨房を貸していただいてありがとうございます。」

「どういたまして。大したことではないよ。」

ナナシさんはお茶を飲んでいる。

「ナナシさんってお元気ですけど、おいくつなんですか?」

「ん?歳か?歳は20歳だ。ほほほ。」

「そんな分かりやすい嘘を…。」

ナナシさんは明るい笑顔で笑っている。

「ナナシさんは人生で生きていて何が大切でしたか?」

「うーん、何だろうなぁ。」

ナナシさんはぼーっと視線を上に向けている。

「例えば、お金とか友達とか。」

「お金と友達か…。お金は使ったらなくなるし、友達もみんな死んでしまったしな…。」

「あ、すいません。」

「気にするな。」

「でも、ゲンジロウさんやタケさんは友達ではないんですか?」

「彼らは若すぎる。」

「そうなんですね。」

「ほほほ。」

---

「シュウゴさん、どうしたんですか?」

「いや、ナナシさんと話をしたんですけど…。」

「何か言われました?」

「ナナシさんの友達の話をしたら、少し気まずくなってしまって…。」

「そうですか。でも、ナナシさんは気にしていないと思いますよ。」

「そうですか?」

「はい。ナナシさんは長生きですから。」

「それならいいんですが。」

「ふふふ。」

---

「ナナシさん、シュウゴくんと話しましたか?」

「ああ、話したよ。人生で何が大切か聞かれたな。」

「なんて答えましたか?」

「答えなかったなぁ。」

「どうして?」

「意地悪なことを言うな。」

「ふふ。お茶淹れますね。」


#2

「ねぇ、兄さん。」

「ん?どうした?」

「人に聞いてはいけないことってあるよね。」

「そうだな。どんなことを聞いたんだ?」

「えっと、人生で大切なこと。」

「なるほどな。」

「兄さんは人生で大切なものはあるの?」

「そりゃ、シュウゴだな。」

「…そ。」

「シュウゴは?」

「…秘密。」

「ははは。聞いておいて答えないのか?」

「…おやすみ。」

「あはは。おやすみ。」

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