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「あれ?ここって。」
「ん?どうしたの?」
「いや、ここ前来たことあるかも。」
「そうなの?」
「うん、コンドウさんと会ったところだ。」
「あー。そうだったんだ。」
「いらっしゃいませ。」
「エーコさん、こんにちは。」
「サチコさん、どうも。さぁ、こちらへどうぞ。」
やっぱり前きたところはここだったんだ。
普通の喫茶店だと思ってたけど、こんな雰囲気だったなんて。
なんで忘れてたんだろう?
「ここ、お茶もお菓子も美味しいよね。」
「前はお茶だけ飲んだけど、とてもおいしかったよ。」
「こちら、メニューです。」
「有難うございます。」
—
「こんにちは。」
「ああ、コンドウさん、お久しぶりです。」
「先日はどうも。サチコさんも。」
「いえいえ。」
「コンドウさんもお茶しに来たんですか?」
「ええ。」
「一緒に飲みませんか。」
「お邪魔でなければ、ご一緒させてください。」
—
「この間は孤児院に寄付していただいたお守り、有難うございました。」
「いえ、もらったものを人に譲ったので、お気を悪くしたかと思いました。」
「そんなこと全く思いませんでした。
それよりも私はなぜ早くあそこにお守りを祀らなかったのか後悔しました。
自分の行いで充分だと思っていたのでしょうな。
人間、驕ってしまうとはこのことです。」
「コンドウさんは立派ですよ。
コンドウさんのおかげであそこの子供達は救われているんですから。」
「そう言ってもらえると、救われます。
あなた方のような若い方達に救ってもらってばっかりだ。
ぜひ今日はせめてものお礼にここのお代は私に持たせてください。」
「コンドウさん、前もよくしていただいたので、悪いですよ。」
「タカシさん、年配者に意地悪は感心出来ませんぞ。ははは。」
#2
「んで、またその爺さんと一緒にお茶したと。」
「うん。また、ご馳走になったよ。」
「人の善意は素直に受け取っておけよ。何もやましいことがなければな。」
「うーん。」
「タカシだって、人に良いことばっかししてるんだから、それを人から拒否されたら、
嫌な気持ちするだろう?」
「それはそうだけど…。」
「タカシは人には良くするのに、自分に良くしないのは苦手だよな。」
シュウはパソコンに向かって仕事を再開した。
シュウ越しに窓の外にある雲に目をやると、隙間から光が差し込んでた。




