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4.望んだことは

ドブリスが檻へ来て三日後の夜、セシルは天蓋付きのベッドで目を覚ました。体がだるく思うように動かすことができない。


手の届かない高いところに位置する窓から微かに差し込むはずの光が全くないのを見て、セシルは今が夜なのだと判断した。



「わたし、どのくらい眠っていたのかしら…」



手触りの良いシルクの布団がセシルの体から床に滑り落ち、ベッドから降りようとした瞬間、セシルは自分の体を見て少し目を見開き、急いで布団を体に巻き付けた。

セシルは何も纏っていなかったのだ。




ドブリスがセシルの部屋へ来てからどれくらい経ったのか分からないが、セシルは自分の身に起こったことを思い出し、床に落ちていた肌が透けそうなほど薄く、お尻がギリギリ隠れるくらいの白い肩紐ワンピースを着てまたベッドに横たわった。


それから四時間ほど経ち、しんとした檻の中でセシルは呟いた。


「おなか…空いたわ……」


あれから何も食べていない。

セシルはドブリスが来てからさらに三日間眠っていた。

一週間何も口にしておらず、三日間水も飲んでいなかった。ガンガンと頭痛がし、吐き気がこみ上げる中セシルはベッドの上に仰向けになり窓から微かに見える星を眺めた。格子がなければもっと良く見えるのに。


「わたし、死ぬ…の……かしら」


か細い声でセシルがベッドに力なく横たわりながら言い、力の入らない体を何とかもう一度起こそうと試みたが、起き上がることは出来なかった。



生まれ変わることが出来たら、物語のような王子様とお姫様のような恋がしたい……




絶対に起こらないと思っていることをセシルは考え、ベッドに倒れ伏し、開かなくなった目の奥で、檻からでて自由になった夢を見た。

そして、セシルはそれ以上ベッドの上から動くことはなかった。




セシルが意識を失ってから一時間ほどたったとき、マイヤー伯爵家のあたりが急に騒がしくなった。

同時に塔にもバタバタと慌ただしくかけ上がってくる足音がした。

足音はセシルがいる扉の前で止まり、いくつもついた鍵が一瞬にして壊れ、扉が勢いよく開かれた。



扉の前には漆黒の髪にサファイアのような青い瞳をもった男が剣を片手に立っていた。



























次からは王太子のお話です!

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