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レラシオン~時の使者~  作者: 時々
勇者と魔王編
10/19

準備

「マスター、あの女もちろん殺っちゃっていいのなの?」


「めずらしく姉さんと意見が合いますね。今から追いかけても十分間に合います。私たちだけならばまだ許せます。しかしあのマスターへの態度は許容範囲外です。始末するべきです。」


「私もああいうタイプ嫌い!」


「ん。にぃにをバカにするヒト……ころす。いいよね? にぃに?」


 怖いわ!


「ダメに決まっているだろ。それに復帰早々問題起こすと責任すべて押し付けられるガラクが禿げるぞ、ストレスで」


 双子、アイ、ノアの目が怖い。あまりにも殺気を隠さないのですれ違う人々が振り向くレベルに目立っている。

 現在ノワールたちは指名依頼のための準備をするために行動する予定でいたが、正直あまり準備するものがない。


 回復ポーション。うぬぼれているわけではないがクエスト難易度からダメージを負う可能性は皆無。いざとなればノワールが体の時を戻すという疑似回復を使える。


 マジックポーション。魔力を回復させることが出来る貴重なアイテム。しかしそもそも誰も魔法を使わない。ノワールの時魔法は普段使わないし、時魔法はふつうの魔力を使わないため無意味。


 武器。武器はない。強いて言えば、アイだけは黒刀顕現により自身がノワールの武器になる。他は諸事情により本来の武器は手元にはないのだ。間に合わせを使うくらいだったら徒手格闘の方が強い。


 防具。全員今のままで問題なし。浴衣は動きやすいデザインを選んでいる。


 ノワールは脳内シミュレートを改めて行ったが、必要なものは食料くらいしかない。今回の依頼の目的地は王都から南に半日ほどかかるが、ぶっちゃけどうでもいい。傾き始めた太陽を見ながら考えた結果彼がとった判断は、


「飯食って帰るか」


 この一言に尽きる。全員が同意の返事をするのを確認して、できるだけ美味しそうな店を見つけるために周囲を見渡した。



♦♦♦



「ただいま帰りましたわ」


 セルリアは冒険者ギルドで指名依頼を合同で受けることになったことを伝えるために“六魔の覇者”のギルド本部に帰ってきた。まだ学生でありながら高い実力とトパーズ家の次期当主である肩書を兼ねそろえているため入った瞬間に注目を浴びる。おかえりなさいという声が返ってくる中、近づいてくる者が二人。


「おっかえりー! セルちゃん、良いクエスト受けれた?」


「おお、早かったな」


 抱き着きながら弾んだ声で話しかけてきたのはセルリアの幼馴染であるネネリー・フーカ。風の一族の次期当主であり、セルリアとは同い年。もう一人の男も幼馴染でトム・ノーム。土の一族の次期当主だ。

 3人は幼馴染であることも関係してよく一緒にパーティーとして依頼をこなしたりしている。セルリアも今回の指名依頼はこの2人を連れていこうと思っていた。


「あら、セルリアじゃないの。どう? 依頼のほうは受けれたのかしら」


「お母さま。はい。しかしそれが少し妙なことになりまして。合同で行うことになりましたの」


 つづいてセルリアに話しかけたのは、“六魔の覇者”のギルドマスターでもあるトパーズ家当主のミレイ・トパーズ。年は30を超えているはずだが、20歳くらいにしか見えない容姿と大人の妖艶さを兼ねそろえていて、なおかつ世界に3人しか存在しないといわれているXランクの冒険者でもある。冒険者にとって憧れの人物だ。ネネリーとトムも少し萎縮している中、ちょうどいいタイミングだったのでセルリアは今日、冒険者ギルドであった出来事を3人に話した。


「たしかに、子供に指名依頼するとか、何考えてんのよ、ガラクさんは!」


「うむ。その話が本当ならば、我々がその子たちを守らねばな」


 それぞれの感想を話しだす中で、セルリアの母だけは何も言葉を発さない。そのことを不思議に思いセルリアは自分から話しかけてみた。


「お母さま?どうしたのですか?」


「セルリア。その子たちの中の少年は、本当にノワールと呼ばれていたのですか?」


「はい。それがどうかしたのですか?」


「……いえ。何でもありません。とにかくクエスト達成の課題が学園のほうから来ているのですから、頑張りなさいね」


 そう言うとミレイはギルドハウスから出ていった。これをきっかけにセルリアたちも準備に取り掛かる。



♦♦♦



「あれでよろしかったのですか」


 ガラクは冒険者ギルドの奥、ガラクは自分の部屋にレイナを呼び寄せていた。というのも、ガラクの秘書的な役割をレイナが担っているからだが。

彼女の声を聴きながらガラクは思う。自分にどうしろと?


 ノワールたちが帰ったあとしばらくはギルド内の空気が死んだ。経験者たちは悟る。セルリア様たち、オワタかもしれない……と。ノワール本人がどう思っているかはともかく、彼の弟子はとにかく手が出るのが早い。


 本来であればXランク冒険者が率いる“六魔の覇者”と同行できることになったノワールたちを周囲が妬む場面である。うらやましがる場面である。しかしこの王都の冒険者は知っている。ギルド“幻想”の実力を。ノワールが3人目のXランクである事実自体はレナとガラクしか知らないが、5年前のある事件により、当初からここを拠点にしている冒険者は知っている。

 ノワールがXランク冒険者よりはるかに強く、そんな化け物に鍛えられた弟子たちで構成される幻想の実力は“六魔の覇者”総合の実力を軽く超えていることを。ゆえにここにいる冒険者はみなこう思うのだ。

上には上がいる、と。


「はぁ。あの事件は本当に鮮烈だったからな。あれだけの事件だったにもかかわらず、当時は箝口令すら出なかった。何故か分かるか?


「それは箝口令を敷いても意味がないほど多くの人が目にしたからではないのですか? なにせ国を巻き込んだ事件だったのですから」


「それもある。が、本当の所は違う。何処で言いふらされても別に構わなかったからだ。実際に目にした奴以外、どうせ信じる奴なんざいやしないんだから」


「それは確かに……」


「人の記憶にも残るものだ。それよりも俺はノワールが戻ってきたこと自体に驚いたがな」


「確かに。彼、冒険者にはもう復帰しないことを心に決めていたみたいでしたから」


「ああ。だが助かった。これは俺の勘だが、デミットマター討伐の依頼。なんだが嫌な予感がしやがる。六魔の覇者などのような貴重な戦力を失うことは避けたい。その点、ノワールたちならばどんなことが起きても大丈夫なはずだ」


「信頼しているのですね」


「ふん。あいつらは死なんよ」


ガラクは、レイナがいれたコーヒーを飲みながらノワール、親友に対しての絶対の信頼を言葉にするのだった。




♦♦♦



「ありがとうございました。またお越しくださいませー」


そう言って見送ってくる店員さん。良い店だった。

ノワールたちは結局、魚料理が有名な店に行くことに。どれも新鮮でとてもおいしかった。 

 魚料理が苦手なアイやノアもおいしそうに食べていたし、機会があればまた来てもいいと思わせるぐらいには店員さんたちの態度も丁寧でしっかりとしていた。急いで探したにしてはあたりである。



一週間は思ったより長い。残りの時間何しようか考えながらノワールは時魔法“転移”を使って全員をギルドハウスに送った。


読んでいただきありがとうございます

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