表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
特殊砦で頑張りたい  作者: やなぎ いつみ
離れた地で思うこと
69/93

63.目覚めたのは違う場所

 ゆるゆると意識が上昇し、覚醒に向かっていく。

 微睡の中で、アルトは無意識に寝返りを打とうとし――激痛に襲われ目を見開いた。


「っう――!!」


 顔を顰めながら呻き声をあげ、妙な姿勢で止まった身体を慎重に動かした。ずきずきと痛むのを我慢し、何とか姿勢を落ち着けて詰めていた息を吐き出す。


 何故こんな状況にと考え、すぐに魔物と戦って負傷したことを思い出す。

 それだけならまだしも毒を受けてしまい、ディルに身体を預けてからの記憶が全くなかった。


 手足の先を動かしてみる。怠いが感覚はあり、動きに左右差はない。

 後遺症があるようには思えず、問題なく解毒できたことを察する。

 このまま傷が癒えて力が戻れば元通りに活動できるだろう。


(……ディル様に感謝だなぁ)


 同じく怪我をしていたのに、アルトの事を何とかしようと必死で動いてくれたに違いない。

 申し訳なさと感謝、そして彼の具合。

 それを思ってアルトはいつもの如く彼の匂いを探そうとし――はたと気づいた。


 知らない場所だ。

 薬の匂いが満ちていて、治療所らしいということは分かったが、砦の医務室でないのはどういうことだ。


 動揺したアルトは咄嗟に身を起こそうとし、再び呻いた。

 安全な動きを探ってみたもののどう動いても痛みは起き、諦めて横になったまま首だけを動かした。


 改めて周りを見回すと、そこはアルトの部屋より少し狭い位の個室だった。

 石造りの壁は砦と同じだが、綺麗に塗装されているようだと分かる。

 広くとられた窓から入る光は随分傾いていて、室内を茜色に染めていた。


(夕方……かな)


 ぼんやりと時間帯を把握し、アルトは再び視線を巡らせた。

 近くの台には診察器具や包帯、軟膏を入れているらしき瓶がいくつか置かれていて、頭元の低い台の方には水差しと変わった形の器がある。


 不意に強い渇きを覚えたアルトは、それを見つめたまま固まった。

 手を伸ばしたいが、思うように身体が動かせない。どうすべきか逡巡していると、外で行き交う足音がアルトがいる部屋の前で止まった。


 扉を叩く音に、アルトは緊張で身を固くする。

 掠れた声で入室を促せば、優しそうな女性が灯りを下げて姿を現した。


(……獣族……?)


 ただの人間とは違う匂いだ。

 声も出さずただ見つめ続けるアルトに、その女性は戸惑ったように口を開いた。


「……あの、大丈夫ですか? お手伝いさせて頂きますよ?」









お久しぶりです。

復活したものの短くてすみません(/_;)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 更新、待ってました♡ アルト、目が覚めて良かったです。早くディルと再会させてあげたい。 女の人は良い人なのかな(´・ω・`) ドキドキする展開が続きますね。 というか、カイル……(。´Д…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ