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二章 一昨年の事―3―
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「それで私たちは彼女に叩き起こされて、野次馬として現場に行ったんです。でも彼女だけは別の目的を持っていたんです」
少女はそう言うとにっこり笑った。
「別の目的?」
「ええ、そう。彼女はね、実は探偵さんだったんです。高校生探偵っていうかな。それまでいくつもの事件に巻き込まれては解決してきた。そういう探偵気取りの女の子だったんですよ」
ぐぅ。
私は再び少女と顔を見合わせた。少女はそれまでの得意そうな顔を崩し、恥ずかしそうに笑って頭を掻いた。
「よく鳴りますね」
私がそう言って皿を差し出すと、少女は申し訳なさそうに肉をつまんだ。