悪役令嬢と誕生日パーティーの約束
「これは私のワガママです。生まれて初めてのお友達とお誕生日パーティーをやり直したいという私のワガママ。どうかお願いします。」
私が頭をさげると双子の母親と父親は困ってしまった。
「可愛い娘の頼みだ。私からもお願いしたい。」
そっと私の肩にを乗せ、お父様がそう言った。
「そうね、お友達と誕生日パーティーなんて楽しそうね。」
お母様はにっこりと微笑んでいた。
「・・・わかりました。お嬢様の招待を受けさせていただきます。本当にありがとうございます。」
母親が仕方ないというように笑みを浮かべるとその横でアドルフとアルヴィンがガッツポーズをしていた。
誕生日パーティーは私の体調を考慮して一週間後となった。
帰り際、双子は私に近寄り改めて自己紹介をしてくれた。
「俺は兄のアドルフ=リロンドだ・・・です。この間は本当に悪かった・・・です。」
母親に睨まれながら無理やり敬語を使おうとするアドルフを見てくすくすと笑ってしまう。
「敬語なんかいらないわ。だってもうお友達ですもの。」
私の言葉にアドルフはパァッと人懐っこい笑顔を浮かべる。
「僕は弟のアルヴィン=リロンド。この間は本当にごめんなさい。ミーシャ様を、その、怪我させてしまって。」
アルヴィンはもじもじと申し訳なさそうに謝罪した。
「ミーシャでいいわ。それとこちらこそあの時は驚かせてしまってごめんなさい。アルヴィ、ヴィ、ンは怪我はなかったかしら?」
アルヴィンとうまく発音できず詰まってしまう。
そんな私を見てアルヴィンは天使のように微笑んだ。
「僕のこともアルでいいよ。僕は大丈夫だったよ。心配してくれてありがとう。」
「さぁさぁ、ミーシャ様のお身体に負担をかける前に帰りますよ。ミーシャ様、本当にありがとうございました。」
そう母親に言われ二人は名残惜しそうに私から離れる。
部屋を出ようとした彼らの母親に駆け寄りそっと耳打ちする。
「どうかお願いです。二人のことお叱りにないでくださいね。」
お願いする私に彼女は一瞬驚いた顔浮かべていたが、すぐにふわっと優しい笑みを浮かべた。
「お嬢様はお優しいのですね。わかりました。お嬢様のお心に感謝し、今回のことでは叱りません。」
そう言ってそっと約束してくれた。