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悪役令嬢の前世の記憶

暗い暗い夢の中・・・

ぐるぐると世界が回るなか・・・

私は1つ1つ思い出していく。

それはまるでパズルのピースがはまっていくように・・・


そうだ、私の名前は東雲亜樹子。

29歳女性。いたって平凡なOLだった。

普通と違うことといえば、彼氏いない歴=年齢どころか初恋すらまだなことくらい。

顔も体型もなにもかも平凡。コンプレックスになるほど平凡。

何度もあっているのになかなか覚えてもらえないほど特徴がない女。

地味でなんの取り柄もなく、毎日毎日会社と自宅の往復だった私の唯一の楽しみは乙女ゲーム「永遠のプリミエール」をプレイすること。

そんな私の人生は交通事故という不運によって幕を閉じた。


閉じたはずなのに・・・

ぱちっと音を立てて目をさますと、2つの顔が私を心配そうに覗き込んでいた。

1つはキツそうではあるが美しい女性。現在の私、ミーシャ=ヴェロナの母である。


「ミーシャ!やっと目を覚ましたのね!!よかった」


もう1つは歳を重ねるごとに深みが増していく整った顔立ちの男性。ミーシャ=ヴェロナの父である。


「よかった!!よかったミーシャ!!お前が二日間も目を覚まさなくて本当に心配したんだよ。」


泣き出しそうな震える声でそう言われガバッと抱きしめられた。


ミーシャ=ヴェロナ・・・ミーシャ=ヴェロナ、そう、私はどこの国ともわからぬ女の子に生まれ変わり、先日強く頭を打ち付けたことで前世の記憶がよみがえったのである。

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