悪役令嬢気づく
「まさか、知らないなんて言うわけじゃないよね。」
アルは冗談だろとでも言うように笑った。
「プリミエール学園って本当に存在するの!?」
「そ、存在するも何もこの国の誰もが知る学校だよ。」
アルは私の気迫に押され、学園について話してくれた。
「プリミエール学園は国の中心部にある魔法を専門に取り扱う学校で基本的に15歳にならなければ入学できない。まぁ、例外もあるけどね。もちろんミーシャも知ってるよね。」
私は動揺を隠し、もちろんというように大きく頷いた。
「ねぇ、この国の名前を教えて?」
私の問いにアルは訝しげに眉をひそめる。
「えっ?何言ってるの?ここはリューグランド王国だよ」
永遠のプリミエールの舞台プリミエール学園
その学園があるリューグランド王国
そこでハタと思い浮かぶ。
アドルフ=リロンド・・・攻略対象の一人だ!!!!
そして悪役令嬢である私、ミーシャ=ヴェロナはどのエンドでもアドルフに殺される。
なんでだよ!
せっかく生まれ変わったと思ったのに!
また恋も知らずに死ぬのかよ!
でも待てよ・・・なんでアドルフにミーシャは殺されたんだっけ・・・
何度もやったゲームの内容を混乱する頭で思い出す。
たしか・・・幼い頃忍び込んだパーティーで弟が悪役令嬢を不慮の事故で傷つけてしまい、それに激怒した令嬢は弟を殺してしまうんだ。
その復讐のためにアドルフは魔法を身につけ、磨き、傷ついた心をヒロインに癒されながらミーシャを殺すんだっけ。
えっ!?てことは本来は例のあのパーティーで私はアルを殺していたのか。
でも私はアルを殺さなかった。
アドルフは私を恨む理由がない!
私は無意識でアドルフに殺害されるフラグを折っていたのだ!
いよっしゃ!!!!!
心の中で大きくガッツポーズをとる。