悪役令嬢とプレゼント
「ジャーン!ここがヴェロナ家自慢のお庭よ。」
たくさんのバラが咲き乱れるお庭の中心にセットされたテーブルにたくさんの料理。
こんなに美しいところでパーティーができるなんて贅沢ね。
私のために開かれた大勢の人が訪れた誕生日パーティーよりも今日のほうが何倍も素敵だし、贅沢だと思った。
「綺麗だ。すごいね、ミーシャ!僕こんなに美しいお庭は見たことないよ!」
「おー!すげぇ料理!!」
「こら、アドルフ!母さんに言われただろ。行儀の悪いことはしないって。」
料理に駆け寄っていこうとしたアドルフをアルはピシャッと止める。
これではどっちが兄だかわからないわね。
くすくすと笑う私を見てアドルフはバツが悪そうに顔をそらす。
「いいのよ、ここではなにも気にしなくていいの。私は二人が私のためにここへ来てくれたことが本当に嬉しいの。」
「いや、それじゃいけないんだ。あんな風に無礼にパーティーに参加してミーシャを傷つけて・・・それでも友達になりたいと言ってくれた君に恥ずかしいことはしたくないんだ。」
アルは真剣に私を見た。
そしてそっと目の前に小さな花束を差し出した。
「こんなに美しい庭を見たあとでは出しにくいんだけど・・・誕生日おめでとう」
淡いピンクを基調とした小さな花束
「悪かったよ。おめでと」
深い青を基調とした小さな花束
私はその花束を受け取り胸に抱いた。
「二人ともありがとう!どんなプレゼントよりも嬉しいわ!本当よ!本当に・・・ありがとう」
きっとすごくすごく考えてくれたんだろうな。
結ばれたリボンはくちゃくちゃだった。
何度も何度も結び直して、私のために作ってくれたんだろうな。
その思いが嬉しくて胸がいっぱいになる。
私は目の前が潤みそうになるのをグッとこらえ、二人を料理の前まで案内した。
「これは私の心ばかりのお礼。さぁ、冷める前に食べましょう。」
私の言葉に二人はパァと顔を輝かせ、すごい勢いで食べ始める。