悪役令嬢見分ける
玄関には緊張しながら待っている二人の姿があった。
(今日も変わらず愛らしいわ。ショタ専ではないけれどこれだけ可愛いとハマってしまいそう)
邪な考えを頭の隅に押しやり、私は階段を降り二人に声をかける。
「いらっしゃい!アドルフ、アル、来てくださって嬉しいわ。私この日が待ち遠しくて仕方がなかったのよ。」
二人に抱きつかんばかりの勢いで詰め寄れば、顔真っ赤にしてそっぽを向く天使と頬を染めながらふわりと微笑む天使。
「き、来てやった!美味しいものあるんだろうな!」
「お招きありがとう、ミーシャ。僕たちも本当に今日を楽しみにしていたんだ。」
「えぇ、アドルフ沢山美味しいものを用意したわ。アルも楽しみにしていてくれたのね、嬉しいわ。」
恐らくだけど小生意気なのがアドルフでおっとりとしたのがアルヴィンね。
私の返答に二人はビックリしたように目を見開く。
(あれ?間違っちゃった?)
謝ろうとしたところでアドルフが口を開く
「もう俺たちが区別できるのか?」
「まだ、なんとなくだけれど。二人とも口調も雰囲気も違うし・・・」
自信はないけれど・・・
「ミーシャは凄いね。僕達を見分けられるのなんて父さんと母さんくらいなのに」
アルは嬉しそうに笑う。
「でも、二人が入れ違いごっこなんてしていたら見分けることなんてできないわ。」
私はゲームのヒロインでもなんでもない。
こんなに似ている双子を見分けるのなんて無理だ。
そんな素敵な技能なんて持っていないのだ。
「それでも凄いよ。嬉しい。」
「さすが俺が友達と認めただけのことはある。」
アドルフはセリフは生意気だが、とても嬉しそうな顔をしていた。
(かわいい)
ニヤニヤしてしまうのを必死でこらえ右手でアドルフと、左手でアルと手をつないだ。
「パーティー会場はこっちよ。案内するわ」
顔を真っ赤にして口をパクパクさせる二人を無視して中庭へ向かう。