祝、「転生したらヤムチャだった件」単行本発売記念、単行本外のヤムチャはどう生きたのかをまじめに考えてみる
ついにジャンプ+に掲載されていた転生ヤムチャが単行本化、最近ドラゴンボールヒーローズの「大人気のヤムチャを含めた6枚のアルティメットレア・・・」という言葉に「なんでヤムチャ?」となっていたネット世代ではないおっさんは単行本を購入してその理由に納得しました。
面白いので買おう。
ともあれ、多少のネタバレ(まあ、単行本外の生きざまを考えるために単行本を参考にしているので当たり前ですが)ありです。
それではいきましょう。
さて転生ヤムチャですがピラフたちがドラゴンボールで神龍を呼び出し、世界征服の野望を達成するのを阻止するために超有名なウーロンの「ギャルのパンティおーくれ!」の直後から始まっております。
転生したのはドラゴンボールの大ファン(ドッカンバトルで昨日つか徹夜で今日か・・・、初めて一位を取った高校生)でブルマのかわいさにノックアウトされたにもかかわらず、ブルマと西の都にはいかず「ここで悟空と一緒に亀仙人のところへ修行に行っていれば栽培マンに自爆殺しされることもなかったのでは?」と一大決心をします。
んで、いろいろあって栽培マン編というかサイヤ人編(ベジータ&ナッパ地球侵攻)へと移行してからが本編。
最大の鬼門である栽培マン自爆でサイヤ人とも戦えず、「ヤムチャ現象」――相手が強いことを分からせるために一番にやられる役割を負わされることになる――が生まれることを避けるために何をしたかは単行本でどうぞ。
というわけでここでは転生ヤムチャのそれまでを考えていきましょう。
簡単に時代を追っていくと
天下一武道会編1(ジャッキーチュン優勝のとき)
レッドリボン軍編(原作――転生ではない正史を言う――では最後のドラゴンボールの行方を探すためにヤムチャはうらないババの館に登場)
天下一武道会編2(天津飯優勝)
ピッコロ大魔王編1
ピッコロ大魔王編2(天下一武道会)
ラディッツ襲来!
神様のところで修業
という流れになっています。
この間、亀仙人のところでの修業に1年、天下一武道会2までに3年、ピッコロ大魔王編2までに3年、ラディッツ襲来まで5年と12年間の時間があります。
では転生ヤムチャはその間をどう過ごしていたのでしょうか?
単行本の思いでを見る限りでは悟空ルートにそってがんばってきたようです。
カリン塔には原作でも登っているわけですがブックカバーをぱかっと開いてみる限りではピッコロ大魔王編以前にすでに登っているようです、とだけ言っておきましょう(詳細は単行本でチェック!)。
ともあれ転生ヤムチャは亀仙人の修業によって強くはなったモノの、悟空にはやっぱり敵わないという現実に打ちのめされたことは間違いありません。
ちなみに原作で天津飯が指摘しているようにヤムチャとクリリンではヤムチャの方が実力は上、その証明は原作でもされていてクリリンがかめはめ波を試合で始めて使ったのに亀仙人が「ちゃんと教えたかめはめ波であったならすでに勝負はついておった(VSチャオズ)」と評価したのに対し、ヤムチャは天津飯に完璧なかめはめ波を放っています。
まあ、跳ね返されたんですが・・・
ともあれ原作でもクリリンより修業期間が短いにもかかわらず、クリリンの上を行っていたヤムチャがクリリンと同じ修行をした以上、その強さは相当なものになっていたと考えていいでしょう。
ちなみに単行本にはカリン塔に登った正確な時期は書いていませんが当時の状況と転生ヤムチャの実力を考えると天下一武道会編1が終わって悟空がレッドリボン軍と戦った後の占いババ編に参加してから天下一武道会編2に出場する間のことと考えられます。
はっきり言えばもっといい立ち回りもできたと思える転生ヤムチャですがやはりドラゴンボール大好きなので正史を完全改変するような行動はできず、ついでにレッドリボン軍編の直後の実力ではカリン塔を登りきるのは難しいとわかっていたのです。
原作でヤムチャがカリン塔を制覇したと明言したのはピッコロ大魔王編2(天下一武道会)のときでいくら頑張って修行したからと言って最初の1年の修業、天下一武道会編1の時点では無謀すぎるチャレンジだと考えたに違いありません。
そのあたりのヒントは単行本で!
そして天下一武道会編2(天津飯優勝)の前にカリン塔にチャレンジして制覇したと考えられます。
もちろんカリン様との修業を終えた転生ヤムチャは当時の基準ではめちゃくちゃ強くなっているのでおそらくは天津飯といい勝負ができたでしょう。
ただし、勝てなかったはずです。
なぜかというと悟空ルートを目指した(というか目指さざるを得なかった?)転生ヤムチャは超神水を飲んでいるからです。
なんて無茶な!
と思うと同時に「なんでもっと早くそうしなかったの?」とも思いますがいくら悟空が成功すると知識でしっていても今まで誰も成功したことのないチャレンジにサイヤ人でもない自分が挑むというのはいろんな意味で二の足を踏んでしまったのは仕方のないことです。
だって超神水は超強力な毒で耐えられなければ「死」なのですから・・・
正直、転生ヤムチャなのでちょっとズルがあったような気がしなくもないのですが単行本の天津飯発言によると「あいつまたとんでもなく強くなりやがって」ということなので転生ヤムチャは天下一武道会編2が終了してピッコロ大魔王編1に入ってから超神水を飲んだことがわかります。
そうでなければ原作で天下一武道会編2で初めてヤムチャと会った天津飯は「あいつまた」という感想を持つことができないからです。
そして転生ヤムチャは亀仙人が魔封波を使って死んだ場面を見ているのでドラゴンボールはピッコロ大魔王に使用され、神龍は殺されています。
もっともそれ以前に神龍に「超神水を飲んでも死なないようにしてくれ」とは願えるわけですがそこはドラゴンボールの大ファンの彼を信用しましょう。
ともあれそういう経緯があって天津飯は短期間で超強くなった転生ヤムチャに対してそういう感想を漏らしたのでしょう。
天下一武道会編2で自分に負けた転生ヤムチャが自分がピッコロ大魔王に魔封波をかけようとして電子ジャーが割れていると気づいて「いいぜ、実力でやってやる」と追い詰められ、殺されそうになったときブックカバーを外して確認できるようなことができるようになった転生ヤムチャを目の当たりにした驚きを思い出したのでしょう。
ただし、超神水でパワーアップした転生ヤムチャはピッコロ大魔王にはやっぱり敵わず、悟空と協力プレーがせいぜいだったことは言うまでもありません。
ピッコロ大魔王編2(天下一武道会)でもやっぱり人間の体に乗り移った神様にいい勝負をしながらも負けたことでしょう。
マジュニアことピッコロ大魔王は「三年前とは比べ物にならんほど強くなった」わけですからそれと渡り合える神様に勝てるはずがありません。
もちろん勝つ方法はあったのかもしれませんがそのために動くと栽培マンで詰んでしまいます。
あらすじを知っているだけに「あれ」を使うのは今ではないと考えたはずです。
いや単行本の流れを見る限りでは考えなかったのか・・・
その後も先取り先取りでがんばって悟空が遊んでいる間も神様に修業を付けてもらった(神様を悟空より先に知っていると物語的に変化が起こるのでピッコロ大魔王編2終了後すぐにと考えられます)わけですがやはりチートサイヤ人を相手にするには無理があると悟ったようです。
ちなみにサイヤ人のチートとは現在のサイヤ人ファンもといドラゴンボールファンにとっては当たり前の瀕死状態になってから復活すると超パワーアップするをはじめ戦うたび、戦うだけで戦闘中でもどんどん強くなってしまうや修業すればものすごい効果が出るなどいろんな意味で地球人はもとより他の種族にはとうてい真似できない戦闘民族特性を言います。
何しろスーパーサイヤ人になるとその戦闘力は通常状態の50倍になるような連中です。
ドラゴンボール大好きでゲームもムックも持っている転生ヤムチャにとっては当たり前のそれらの情報だけでも十分にあきらめる原動力になったことでしょう。
ついでに転生ヤムチャは苦しい修行の中で地球人の限界も理解したことでしょう。
ひょっとしたら世界限界も感じたかもしれません。
つまり「ドラゴンボールの世界では地球人はここまでしか強くなれない」的な感覚です。
簡単に言ってしまえば主人公である悟空が倒すべき敵ボスの強さに届くのは悟空(サイヤ人)だけという感覚です。
もっとも転生ヤムチャはドラゴンボールの大ファンなので悟空を超えようとかは考えないし、ピッコロとか宇宙人系にはかなわなくていいという考えだったのかもしれません。
転生ヤムチャはなぜかというか、当然のこととしてサイヤ人編を終えたらその先は地球人のレベルではどうしようもない戦いになるとあきらめてしまっています。
ドラゴンボールの大ファン故にその世界観を変えるということを避けていたのかもしれませんし、ドラゴンボールの大ファンだからこそ地球人の限界というのを正確に理解していたのかもしれません。
ともあれ、栽培マン編までの転生ヤムチャの生き様はこんな感じでしょう。
ちなみにその後も転生ヤムチャは闘い続けたようです。
ブックカバーをめくって後ろを見ればナメック星にも行ったようです。
悟空ルートを知っていたおかげか、あらすじを知っていたからなのか、ブックカバーをめくった後ろのようなレベルまで強くなっています。
どうやって行ったかを考えようとすると激しいネタバレになるのでやめておきますが100倍重力とはいかないまでもやれるだけはやったのでしょう。
転生ヤムチャの努力には涙が出ます。
「大人気のヤムチャうんぬん」の理由がわかります。
ちなみに転生ヤムチャは「これまで死なずにこれたのは奇跡みたいなものだ」と言っていますが原作でヤムチャが死んだのが表現されているのは実は栽培マン自爆に巻き込まれたときだけで、ピッコロ大魔王編1でもヤジロベーがシンバルを倒してくれたおかげでタンバリンに「次はこいつにするか」と目標にされていたのに助かっていますし、人造人間編でも最初にやられたものの死んではいません。
まさに栽培マンだけが鬼門だったわけです。
もっとも単行本では「あっ」と驚く事実が指摘されていますが・・・
ともあれ、挿し絵で人造人間と対決するときに「あの手に掴まれちゃダメだ」とか思っていることから考えるとああいう「ヤムチャまた死んだ!」的な状態にはならなかったと考えられます。
ただし、転生ヤムチャが奇跡みたいなものだと言っているようにがんばったから人造人間とそこそこ戦えたとかそういうドリームな展開はなかったようです。
ブックカバー背表紙には「ヤムチャが最強を目指す」的なことが書かれていますが内容は「鬼門の栽培マン編を生き残るために全力を尽くす」です。
ちなみにブックカバーをめくった裏表紙では転生ヤムチャの口元に血が流れていることを見落とさないように、ここが地球人の限界なのです。
まさに「地球人最強になれるかもしれない。サイヤ人はチートだから」を実現したヤムチャと言えるでしょう。
正直、個人的には栽培マン編を生き残るために「ここでクリリンを先に戦わせれば俺は生き残ることが・・・」的なことに違いないと思っていた私の腐りきった脳にさわやかな春風を吹かせてくれたとてもいい作品でした。
心が洗われます。
ひさびさに深く考えず、さらっと読めて気持ちのいい作品でした。
一冊で簡潔なところもちょうどいい。
近くの書店コンビニで見かけたらぜひ買ってやってください。
腐りきってあきらめにどっぷりつかった大人なあなたにももう一度頑張ろうという気持ちを与えてくれるかも?