1話 プロローグ
どうも、アギトです。
VRゲームに手を出してしまった…。
今回は錬金術なんて使いませんよ!
分からない方は是非ともリーンのアトリエへようこそを
読んで下さい。
Virtual Realityー仮想現実と称されるその技術が、人々により可能性を与えたのが2016年、後のVR元年である。
それから数年間は、P◯VRが世を賑わせるも技術の進歩は驚くべき速さで時代を突き進んで行った。その数年間の内にP◯VRは改良されバージョンアップを重ねたが、無名会社 (※この場合の無名は一般的に有名では無いという事。)マストコーポレーションから発売されたVR Gear Xceed。PCを使わずにフルダイブ出来る、意識没入型の登場である。
世間は大いに沸いた。何せ、あのラノベの世界が現実のものになった瞬間だったからだ。Xceedが発売されて僅か数年で小型化していった。その間にも、様々なVRオンラインゲームが登場しまた消えていった。
そして現在、2036年。
マストコーポレーションからXceedの正式後継機、Xeno Sofiaが発売が決定した。2028年からの沈黙を破り、ゼノシリーズが産声をあげる事となった。
◇◇◇◇◇ ◇◇◇◇◇
それにしても、VRの歴史は長いな。1960年代から始まったのか…。17歳の俺からしたらマジで凄いとしか言いようがない。まだまだ俺は高校に通う身なのだから、当たり前っちゃあ当たり前だ。
クラスメイトの一人で、俺の幼馴染である志渡 雄星がカタログを持って来る。
カタログには今度の発売する、Xeno Sofiaが載っている。
かなりスタイリッシュなデザインで、アイマスクの様な感じの目の辺りのみを覆うタイプの様だ。
だが、俺こと天城 刹那はVRなどあまり興味が無かった。だが、この雄星は生粋のゲームバカだ。それこそレトロゲームから現行の新型機種まで幅広くプレイする。
「なぁ刹那! マストの新型、どうよ?」
雄星、どうよ?と言われてどう反応すれば良いのだ?。
「買うかどうかか?」
「そそ!。刹那はどうするんだ?」
値段を考えろ!と言いたくなるぞ。
いくらVRゲームが浸透したとは言え、流石に高いからな?。学生の身分である俺たちがちょっとやそっとでは手が出ない。
「買うかどうかなら、俺はパスだ。正直そんな金はない。それに、だ。そんな物を買ってどうするんだ?。対応したVRゲームがまだ出ないだろ?」
そう、こう言った最新型はソフトが追いつかないのが常である。
その昔、コイツに誘われて小遣いを貯めて買った携帯ゲーム機などあっという間に生産中止になったのは記憶に新しい。
だが、それを覆すかの様ににやけた顔がなんとも腹立たしい。
「チッチッチ!セッちゃん甘いぜ!。今度のゼノは発売と同日にオンラインゲームが開始されるんだよ!」
なんと珍しい、まるで任◯堂じゃないか。なるほど、それなら買う人間も多いだろう。
「悪いが、俺はゲームをまともにやった事がないからな…。やはり、パスだな。」
雄星には悪いが、こればかりはどうしようもない。
「でもよぉ〜…。」
「雄星、そもそも買えるか分からんのだぞ?」
「俺は予約してたから大丈夫だぜ!。セッちゃんと一緒にやりたいゲームなんだけどなぁ。」
はぁ、全く。雄星がこう言う時は、大抵ロクなことにはならない。
まぁ、面白い事がある事も確かななんだけどな。
「雄星のそう言うところには敵わんな。」
「じゃあ!」
「さてな、今からバイトした所で貯められんだろう。なら、この間出した懸賞で件の物を選んで応募した筈だ。万が一、それに当たっていたらってのが条件だな。」
「あはは、刹那くんは厳しいね。」
失敬な、現実的と言ってくれ。
因みこの失敬な女子は、クラスメイトの高橋 胡桃といって茶色のセミロングの髪と巨乳がトレードマークのクラスのアイドルだな。
かなり気さくな性格でな、かなり話しやすい子である。
まぁ、勘違い野郎を量産してしまう事がしょっちゅうでトラブルメーカーでもある。
「そうは言うがな高橋、学生がポンと出せる額ではないぞ?」
「うーん、まぁ高いよね〜。……私は買うけど。」
「高橋、お前もか。メイジンになるつもりか、お前は。」
メイジンタカハシ、危険なワードだな…。このネタはやってはいけないな。
「そのネタやめてよぉ〜」
「それにな、俺たちがやるならアイツも誘わなきゃ可哀想だろ?」
「ん?もしかしてマリちゃん?」
「あぁ。」
マリちゃんこと、天城 まり子は俺の妹だ。
まり子は昔から俺たちの後ろをついて回ってきた。
「それなら大丈夫だよ、なんかお年玉とか全部叩いて買うみたいだから。」
「……はぁ、全くアイツは。」
溜め息くらいはいいよな、外堀を埋められているんだから…。
下手をすると、まり子が買うなら俺も買わなければならない。
まり子が起こした事件は数知れず、それも全て俺がいない所でだ。学校では優等生だ、だが小さい事は学校でも起きている。
まり子はぽやっとしているところがある為、事件製造機として家族は認識している。買い物も一人では心配で行かせられないほどだ。
「因みに雄星が勧めたりは?」
「流石にしないさ。あの子の危なさは身をもって体験してるからね」
雄星も漏れなく被害者だ。そこは本当にすまんとしか言いようがない。すまん。
「セッちゃんが気にする必要ないじゃん」
「いや、妹が迷惑を掛けてしまっているからな。」
「じゃあ罪滅ぼしに一緒にゲームやらないとね?」
「そこは、まぁ懸賞次第だ…。」
まぁ、当たらなかったら俺も何とかして買うしかないがな。
金は、俺もお年玉を出せば買えるんだがな…。なんと言うか、今までゲームと言うものをやってこなかった手前VRゲームは敷居が高いのではないかと躊躇ってしまうんだよな…。
「まぁ、何事も挑戦、か。」
こうして俺が、俺たちがVRゲームをやるきっかけになったのだった。
読んで頂き感謝感激ですにゃ!