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第2章

『・・・未明・・・益戸中央公園で・・・犬を散歩中の男性が・・・遺体が・・・

被害者は小泉ココロさん、19才・・・聖マリア女子大学・・・』

え?

キッチンに立っていたアヤカは、テレビから聞こえてきた声に振り返った。

朝はローカル番組の『益戸ニュース』にチャンネルを合わせるようにしていた。

地元の小さなニュースや、細かい天気までがわかるからだ。

急いでヤカンをかけていた火を止め、テレビの前に立った。

『・・・首を絞められた模様で、死亡推定時刻は昨夜11時から午前2時の間と見られています。

益戸西病院に運ばれましたが死亡が確認されました。なお容疑者はまだ不明です。

・・・警察は・・・通り魔という線でも・・・』

益戸中央公園ってたしか、聖マリア女子大のすぐ近くだったはず。

そういえば、このあいだの事件もどうなったのかしら。

テレビ横にあるカレンダーを目で確認すると、あれは・・・金曜日だった。

今日は火曜日。

あれから4日経っている。

いつの間にかニュースは別の話題に移っていた。

ノロノロと台所に戻りながら、ヤカンから小さいティーポットにお湯を注いだ。

中には『ルピシア』で購入した『ベルエポック』の茶葉が入っている。

このあいだのアフタヌーンティーで出したものと同じだ。

ダージリンをベースにしたコクのあるブレンドティー。

ベーシックな紅茶なので、どんなお菓子ともまた料理にでも合う。

トレイにティーポットと紅茶カップ、

そしてレンジで温めたロールパンとバターを乗せリビングに運ぶ。

カップに紅茶を注ぎ、香りを嗅いでから口に運んだ。

濃いめにいれた紅茶が喉を通り、だんだんと頭が動きはじめるのを感じた。

半分ほど飲むと、リモコンを取りパチパチとチャンネルを変える。

しかし、先ほどのニュースはもうやっていなかった。

こんな短い期間に同じ大学生の事件が2つ。

こんな偶然ってあるの?

この2つの事件は関係しているのかしら・・・?


アヤカは立ち上がり、テレビの横に積んであった雑誌の中から一冊を取り出した。

手にしたのは『益戸シティリビング10月号』

1年ほど前までアヤカが務めていた出版社で発行している、

益戸を中心にしたタウン誌だ。

仕事を辞めてからも、もちろん購読している。

久保刑事から話を聞いたあと、10月初めに発行されたこの雑誌に、

聖マリア女子大が掲載されていたことを思い出していた。

ソファにドスンと座ってから雑誌をパラパラとめくった。

えーっと、あ、ここ。

9月中旬に開催された学園祭の様子が6ページにわたって載っていた。

記事は学校の紹介から始まっていた。

聖マリア女子大学。

児童学部、音楽学部、文学部、栄養学部など、

女性の自立を後押しする教育思想を掲げている。

小・中・高・短大・大学とエスカレーター式の女子私立大学。

(そういえば、サクラさんも聖マリア女子大学だったっけ・・・)

カフェ・ヴェルデのお隣りには

アヤカの祖母のミドリの旧友だった長谷川ヨウコさんという女傑が住んでいる。

そしてその家の住み込みのお手伝いさんのキクさんも祖母の友人だった。

そのキクさんの孫娘がサクラさんという聖マリア女子大の児童学部の生徒で、

6月に起きたある事件がきっかけでアヤカ達と知り合いになった。

時々、3人でカフェ・ヴェルデに訪れてくれている。

ページをめくると、3ページ目には学園祭の様子が、

4ページ目に学内の音楽コンクールが掲載されていた。

アフタヌーンティーに来たあの4人組が揃って写真に写っている。

『優勝・・・FISMカルテットの若き美人アーティストたち

左から 白井ユウコさん(チェロ)深田エナさん(ピアノ)

水野アイカさん(ヴァイオリン)池ノ上マイさん(ピアノ)』となっている。

全員美しい青のドレスを着て輝くばかりの笑顔を浮かべている。

アヤカは池ノ上マイに注目した。

この間来たときは髪を下ろしていたが、

このときはアップにし、大人っぽい雰囲気を漂わせている。

写真の一番端っこにいるところから、

積極的に前へ出る性格ではないのだろうとアヤカは思った。

出版社勤務のとき取材でいろんな人達に接してきたが、

大人しい人ほど、写真を撮るとき真ん中には来ない。

事件後、意識不明で入院中ということだったが・・・今はどうしているのだろう。

意識は戻ったのだろうか。

久保刑事に聞いてみようかな・・・。

考え込んでいるうちに、テレビの時刻表示が8時20分になっているのに気づいた。

大変!遅刻!

慌ててすっかり冷めてしまったロールパンにかぶりつき(お行儀悪くて失礼!)、

紅茶で流し込んだ。

荒々しくトレイをキッチンに置いてからアヤカはバッグをつかみ、部屋を飛び出した。


「おはよう!ごめん、遅れて!!」

カフェ・ヴェルデの厨房の裏口から飛び込んだアヤカは

ミナが何か言っているのを聞き流し、そのまま2階に駆け上がった。

身支度を整え5分ほどで降りてくる。

フロアを見渡したが、どうやら今日はまだチカがいないようだ。

「おはよう」

ミナがカフェフロアで待ち構えていた。

「ごめん、遅れちゃって」

「ううん、大丈夫。もう大体準備は出来てるから。それより・・・見た?」

ミナとは小さい頃からの長い付き合いだ。

何のことを言っているか、アヤカは察しがついた。

「うん・・・今朝の聖マリア女子大生のニュースのことよね?」

「私が見たのは7時くらいに見た益戸チャンネルだけど・・」

さすが地元、いち早くニュースを流したらしい。

「うん、私もそれで見た」

「またあの大学で事件なのね・・・座ってて、珈琲持って来る」

そう言ってミナはカウンターに歩いていった。

アヤカは窓際のソファにそっと腰を下ろした。

店内は静寂に包まれていた。

まだボサ・ノヴァのBGMもかけていない。

大きく開けてある窓からは朝らしく鳥のさえずりが聞こえている。

カフェ・ヴェルデは大通りからひとつ入った静かな通りにあるので、車の音も聞こえない。

ミナがカウンター後ろの作業台にあるスタッフ用の珈琲サーバーから

マグカップに珈琲を2つ注いで戻ってきた。

「今日は『丸山珈琲』の『セロ』よ。

今日のオススメ、アップル・ジンジャー・スコーンに合うと思って」

アヤカがカップを手に取り、香りを深く吸い込んだ。

『セロ』は酸味がありつつも重みがあるストロングな珈琲だ。

癖のある食べ物などにぶつけても負けない風味がある。

ミナは珈琲を一口飲んでからアヤカに目を向けた。

「それで・・・どう思う?」

「う・・・ん。偶然にしてはずいぶん立て続けに起きているなとは思う」

アヤカもゴクリと飲み込んだ。

「そうよね。・・・だからさっき、久保さんに電話してみたんだけど・・・」

そう言うとミナの顔がだんだんと赤くなりはじめた。

あれ、いつの間に?

この前の事件の関係で久保刑事の電話番号を知っていたのは、

店の責任者のアヤカだけだったはず。

しかも、こんな朝早くから?

「それで、何か言ってた?」

アヤカが聞いた。

アヤカの視線に気づいて居心地が悪くなったのか、ミナはナナメ下を向く。

「うん・・・今朝の事件の被害者も聖マリア女子大の音楽学部の生徒なんだけど、

この前の被害にあった女生徒とは学年がまず違うって。

彼女は声楽専攻らしいの」

なるほど。

池ノ上さんは確かピアノ専攻・・・だったわね。

「けど、専攻が違っても、あの4人組みたいにカルテットを組んでたり、

オーケストラとかもあるみたいだから、

あの池ノ上さんと、全く関係ないとは言い切れないんじゃないの?」

アヤカが言った。

「そうよね。事件現場も大学のすぐ隣りの益戸中央公園だし・・・近いわよね」

「・・・偶然じゃないと思ってるの?ミナ」

「久保さんはまだ今のところまだどっちかわからないって・・・けど」

「けど?」

「・・・気になる」

ん?

何?ミナのその思わせぶりな言い方。

「ねえアヤカ・・・またちょっと・・・調べてみない?」

ミナの発言にアヤカは珈琲をこぼしそうになった。

「ミナったら、何言ってるのよ!あれは仕方なく・・・」

「そうだけど、アヤカはどう?気にならないの?」

うう。

ミナに畳み掛けるように言われると、アヤカも気になっていたのは確か。

4ヶ月前の6月、カフェ・ヴェルデの裏庭で死体が発見された。

オープンしたばかりのカフェ・ヴェルデは疑惑の渦中に巻き込まれ、

店は営業停止、あやうく閉店に追い込まれそうになった。

汚名を晴らすため、仕方なくアヤカ達カフェ・ヴェルデの3人は調査に乗り出し、

母や友人達、たくさんの人に助けてもらってこの事件を解決した。

でも、あれはたまたまラッキーが重なっただけで、

私たちには警察のような訓練された捜査力も権利もない。

それをまたやろうって言うの?

それに、今回のことはウチには関係な・・・

「ウチのお客さんが被害者になったことだし・・・」

そう言われると・・・関係あるのかな。

アヤカが何も言わずに考え込んでいるのを、ミナは黙って見守っていた。

ミナをじっと見ながらアヤカは思った。

ミナはあれかしら・・・。

久保刑事と付き合ううちにこういう事件に興味を覚えるようになったのかも。

元々頭がいいし、この間の事件で目覚めたのかも。

どうしよう。

うーん・・・でも知り合いに、例えばあの記事を取材した人に話を聞いてみるくらいなら。

サクラさんにも聞いてみることができるし。

少しだけなら・・・別に迷惑もかからないし。

アヤカは大きく息を吸って吐き出した。

「わかった・・・、じゃあ・・・ちょっとだけね。

店の営業だってあるんだし。

何もでてこなかったらすぐやめるわよ?」

「そうこなくっちゃ」

ミナのメガネの奥がキラリと光った。

「じゃあ、まずチカが来てからね。あの子の協力も必要でしょ?」


「えーーー!私そんなこと聞いてなかったーー!!」

チカがアヤカとミナをジロリと睨む。

時刻は9時45分。

カフェ・ヴェルデ開店まであと少し。

チカの通常出勤は10時からだ。

今日は夫と一緒にアンを幼稚園に送ったあと、ここまで歩いて来たらしい。

チカが怒っているのは先週の池ノ上マイさんお事件の話をしなかったから。

久保刑事から話を聞いたあと、ミナと二人で黙っていようと決めたのだ。

「ごめん、ほら、このあいだの時みたいに、ウチに直接関係あるってわけじゃなかったし、

忙しかったし・・・アフタヌーンティーとかもあったし・・・」

カウンター内にいたアヤカは、思いつく限りの言い訳してみたが、

そんなことではチカの気は治まらないらしい。

「でも、話をするときはいつでもあったじゃない!」

アヤカとチカはカフェフロアで準備をしながら言い合っていた。

「ごめんてば。でも・・・状況が変わったからチカに話すことにしたんだから。

もう許してよ・・・」

アヤカが下手に出た。

「ふーん・・・・まあ、もういいよ。・・・ミナちゃんもね!」

チカがアヤカの背後の厨房の窓をチラッと見ながら言う。

窓の向こうを見ると、手を合わせて謝っているミナがいた。

「じゃあ・・・そういうことで・・・チカ、協力してくれる?」

「・・・当たりまえでしょ」

やっと機嫌が治ったようだ。

アヤカはホッと胸をなでおろした。

店の営業もあることだし、調査するとなればチカの協力は絶対に必要だ。

「じゃあ・・・早速聞くけど、チカはアフタヌーンティーのとき、

その被害者の池ノ上さんに気づいたことはなかった?

・・・覚えてないわよね・・・」

チカに聞いたものの、アヤカはあまり期待はしてはいなかった。

「うーーん・・・・その4人組はなんとなく覚えているけど、

賑やかな席だったしね。

でもその池ノ上さんだっけ?覚えてないなあ・・・」

やっぱりダメか・・・。

「・・・でも」

「でも?」

「気になったというか、印象に残ったことはあるのよね」

「印象?」

チカがテーブルを拭く手を止めて、カウンターにいたアヤカに向き直った。

「あの4人組の一人で黒髪でボブカットの女性がいたでしょ?・・・代表者の人だっけ」

「深田様?」

「・・・かなぁ?とにかく一番派手というか、リーダーみたいな人だったんだけど、

トイレから戻るときに、自分達のテーブルのほうを見て、ものすごい形相してたの・・・。

なんて言うか・・・その、憎らしくてたまらないっていう感じの」

「憎い?・・・でもみんな仲良さそうにしてたわよ?」

「私の視線に気づいたみたいで、

慌ててにこやかな顔になったけど・・・間違いないと思う」

チカがフロア奥の化粧室を見ながら言った。

「チカちゃん、それって3人に向けて?」

ミナが窓口からトレーを差し出しながら言った。

「ううん、その・・大人しそうな人で、黒髪の長い・・・」

アヤカはミナからトレイを受け取り、

トングで空っぽだったケーキドームの中に入れる。

「そうだ!ちょっと待ってて。チカこれお願い!」

そう言ってアヤカは2階に上がっていった。

自分のトートバッグから”益戸シティリビング 10月号”を取り出すと、

急いで階下に降りた。

チカはミナと話しながら、作業台でメニューカードを書いていた。

「キャラメルスコーン・・・あとなんて書く?」

「・・・・キャラメルの甘さとナッツのザクザクした食感・・・とか」

チカがカードに書き入れたあと、少し考えてから言った。

「うーん、じゃあカフェ・ラテに合いそう?」

「そうね、ピッタリだと思うわ」

「じゃあ、それも書いたほうがいいかな、ミナちゃん」

そう言ってチカはメニューカードを書き上げ、ケーキドームの中に置いた。

その間にアヤカは雑誌を広げ、目指すページを見つけていた。

「ねえチカ、これを見て!」

アヤカは厨房窓に続く作業台に雑誌を載せ、3人で見られるように広げた。

「この4人の写真の、どの人だった?」

チカとミナが雑誌を覗き込む。

「えーっと、あ、この人!」

チカが写真の中の深田エナを指指す。

「この人が・・・この人を睨んでた」

チカの指が動いて、今度は池ノ上マイの上で止めた。

「間違いない?チカ」

「うん。だってこの人、今にも殺しそうな目で睨んでたんだもん」


「いらっしゃいませー」

午後3時近くになると、午後のお茶を求めるお客様の来店が相次いだ。

お客様が席を立っても、すぐ次のお客様がいらっしゃる。

お店にとってはありがたいことだが、

今、アヤカの頭にはあの音大生4人組のことがぐるぐると回っていた。

傍目はためにはとても仲が良さそうな今どきの女子大生達だった。

それが、どうやら目には見えないいろんなモノが渦巻いていたらしい。

そろそろアヤカの休憩時間だった。

とりあえず、すぐユキコさんに電話しよう。

アヤカはそう決めていた。

ユキコさんはアヤカが大学卒業後、

このカフェ・ヴェルデを開くまでの十数年勤めていた益戸タウン社の編集長であり、

直属の上司であった。

大のカフェ好きであるユキコさんは、ミナが作るお菓子の大ファンで、

時々この店にも来てくれる。

オープン時には雑誌で取り上げてくれたりもした。

そしてこの前の事件のときは、アヤカ達の調査にも協力してくれたのだ。

「チカ、私、そろそろ休憩に行っても大丈夫?」

「うん!・・・あ!ヨウコさん達!キクさん、サクラさんもいらっしゃいませ!」

サクラさん?

アヤカが振り向くと、3人の女性が玄関に立っていた。

「こんにちわ、今日も美味しそうなものばかりね」とヨウコさん。

ヨウコさんもこの間の事件に巻き込まれた1人だ。

アヤカ達の調査に協力してくれ・・・そして、悲しい思いもした。

けど、もうすっかり立ち直っている。

芯が強く、一筋縄ではいかない女性だ。

お隣の広い日本家屋にお手伝いのキクさんと一緒に住み、

自宅で華道と茶道教室を開いている。

ちなみに何を隠そう、薙刀の達人(一度、実際にお手前を見た)。

いつも着物を着ている印象だったが、

今日はアイスブルーのふわっとしたボトルネックのニットに、

グレーのロングスカートという洋装だった。

肩からは白のストールをまとっていて、

足元は高めのグレーのパンプスを合わせている。

いつもぺたんこ靴のアヤカには、

80代でハイヒールを履くヨウコさんに恐れ入るばかりだ。

「いい匂いですね、今日は何がお勧めなんですか?」

キクさんがカウンターに乗ったたくさんのお菓子を前にしてチカと話している。

今日はグレーのハイネックのニットに、黒のロングスカート。

首には鮮やかなスカーフを巻いている。

小柄ながらもこのキクさんもヨウコさんに負けないくらい強い女性だ。

この前なんか、警察相手に一歩も引かない迫力を見せていた。

「おばあちゃん、これもいいんじゃない?」

ベビーピンクのVネックニットに、

青いジーンズというカジュアルな服装のサクラさんは、

渦中の聖マリア女子大学の児童学部に通い、将来は保育士を目指している。

今日はいつも束ねているロングの髪を下ろしていて、

ほぼスッピンだ。

それでも表情がクルクルとよく変わる、活発な可愛らしいお嬢さんだ。

「こんにちわ、今日はアップル・ジンジャー・スコーンがお勧めですよ」

アヤカが近づきながら声を掛けた。

「まあ、そうなの?アヤカさんのお勧めなら間違いないわね。

私はそれで・・・あと、珈琲もお願いね」

ヨウコさんが微笑む。

「あの・・・ヨウコさん、私これから休憩時間なんですけど、

皆さんとご一緒してもいいですか?

実はサクラさんにちょっと聞きたいことがあって・・・」

「もちろんいいわよ。・・・でもどうしたの?珍しいわね・・・」

ヨウコさんはけげんな顔をアヤカに向けた。

一瞬ギクッとした。

チカに代わってアヤカが3人分と自分の分の珈琲を用意し、

ヨウコさん達のテーブルに向かった。

3人は窓際の4人掛けのソファ席に座り、なごやかに話している。

この雰囲気を割って、事件の話をするのは気がひけたが、

サクラに大学の話をぜひとも聞きたかった。

「ねえ、アヤカさん。今朝のウチの大学の事件知ってます?」

サクラの方からズバリと聞いてきた。

どきっとしたが、ちょうどよかった。

どうやって話を切り出そうかと思っていたところだ。

「ええ・・・知ってるわ」

「今朝の事件のほかに、実は先週もウチの生徒が襲われる事件があったんです。

それで今日の事件でしょう?

おばあちゃんがすっごく心配してて・・・」

そう言ってサクラは隣に座るキクさんをチラッと見た。

「だから、さすがにウチの大学も今日は休校にしたんです。

警察も来ているみたいだし・・・」

なるほど、だからこの時間にココに来ているわけだ。

「ほんと、心配で・・・しばらく学校を休んだらって言ったんですけど、聞かなくって」

キクさんが困ったように顔に手を当てため息をつく。

「あら、ダメよ、キクさん。あなたの孫娘ですもの、あなただったらどう?

聞かないでしょ?」

ホホホと上品にヨウコさんが笑う。

「あの・・・サクラさん。

その今朝の事件のことなんですけど、小泉ココロさんって方、知ってます?」

「え?いえ、まったく・・・学部が違うし。児童学部と音楽学部の棟は隣りなんですけどね」

やっぱりダメか・・・。

サクラはそのまま話を続けた。

「もしかしたらすれ違っていたかもしれないけど・・・防音室あたりとかで」

「そうですよね・・・え?サクラさん、音楽学部の防音室、知ってるんですか?」

「?ええ。ほら、私保育士を目指してるでしょう?

オルガンとかも練習しないといけないので、たまに使ってるんです」

あ、そっか!

そういえば、幼稚園の先生は歌とかオルガンとかも弾けないといけないんだっけ。

「じゃあ・・・先週の事件の被害者、池ノ上マイさんのことは・・・?」

「アヤカさん、随分興味深々ね・・・」

ヨウコさんが口を挟んだ。

「好奇心?それとも・・・なんかまた始めたのかしらね・・・?」

そして、面白がっているようだった。

「始めたって・・・あ、もしかしてこの事件のことですか?

さっきからアヤカさん、すっごい聞いてきますよね?

もしかしてまた、調べてるんですか?」

あらら、私ってばさりげなく聞くのがヘタなのかしら。

これじゃ、探偵失格ね。

なんだかバレてしまったようなので、アヤカはしょうがなく事情を打ち明けた。

「・・・というわけなんです。今回ウチとはあまり関係がないんですけど、

ちょっと気になってしまって・・」

アヤカの話を聞くと、キクさんがすぐ反応した。

「調べていただけるんならお願いします!

もし、サクラも危険な目にあうかも思うと私は心配で心配で・・・」

「そうね・・・アヤカさんは調査の才能があるものね」

と言ったのは、ヨウコさん。

「わあ、面白そう!・・・っと不謹慎だったかしら。ごめんなさい」

サクラが肩をすくめた。

「ううん。・・・じゃあ、協力してもらえる?・・・特に今回はサクラさんに」

「え?私?」

「ええ、取り合えず・・・作戦会議ということにしませんか?」


午後5時になるとテイクアウトを求めるお客様のラッシュの時間になった。

すでにチカは帰ってしまったので、アヤカが一人で対応していた。

カウンターのお菓子は残りあと少し。

(今日も千客万来で有難いことだわ)

そこへカランという鈴の音が鳴った。

「いらっしゃいませ・・・ユキコさん!」

「お疲れ、アヤカ!勝手に座ってるわね」

ユキコさんはさっさと空いている席に歩いていった。

アヤカは後ろの厨房の窓を振り向くと、

「ミナ、ユキコさんが来たの・・・お相手、お願いしていい?」

と声をかけた。

「わかった。今行く」

厨房の窓の奥からミナの声が聞こえた。

もう明日の仕込みを始めているらしく、いい匂いが漂っている。

ミナはシェフコートを脱ぎ、玄関右にある厨房のドアから出てきた。

手に持ったお皿には三角形のスコーンが2つ。

カウンターに入りトレーにスタッフ用珈琲のマグを2つ乗せ、

ユキコさんのテーブルに近づいていった。

「こんにちわ、ユキコさん。これ、新作なんです。感想を頂けたらと思いまして・・・」

そう言ってトレーをテーブルに置き、ミナもユキコさんの正面のソファに座った。

「あら、新作!?味見はいつでも大歓迎よ!」

ユキコさんが早速スコーンを手に取っている。

「うん・・・いい香り、洋酒・・・ブランデーかしら・・・?」

そして口に入れる。

「中には栗が・・・ブランデーに漬けたのね。うん、これは大人向きのお菓子ね」

「ええ、たまにはこういうのもいいかなって。・・・どうですか?」

「私は好きよ。珈琲にも紅茶にも合いそうよね」

ミナとユキコさんは知り合ってから、お菓子に関する情報を交換したりして、

かなり気が合う仲になっていた。

お客様が途切れたので、フロアをぐるりと見渡すと、

今のところお客様も落ちついていて、カウンターを離れても大丈夫そうだ。

アヤカもマグカップに珈琲を入れて、カウンター下に入れておいた雑誌と一緒に、

ユキコとミナのテーブルに向かった。

「お待たせ、編集長」

「あら・・・懐かしいわね、その呼び方」

ユキコさんがハハハと笑う。

「電話でお話した件ですけど・・・

まさか、ユキコさん本人が取材に行っていたとは思いませんでした」

アヤカはヨウコ達と話をしたあと、ユキコへ連絡をしていた。

あの学園祭の記事を書いた人が誰かを知りたかったのだ。

「ええ、ちょうど、別件の取材があったから、ついでに私が行ったの。

まあ・・・下見で大学を見てみたかったからなんだけどね」

「下見・・・ですか?」

ミナが首を傾げた。

「実はウチの娘が、聖マリア女子大を志望しているのよ」

「え!編集長のお嬢さん、もうそんな年でしたっけ?」

アヤカが言った。

「そうよ~。ウチの娘ももう17才だもの。私も年取るワケよね~」

ユキコさんが天を仰いだ。

阿部ユキコさんは、バツ1のアラフィフで、2人の子供を持つシングルマザーだ。

すでに上の息子さんは自立して家を出ていて、

今は高校生のお嬢さんと2人暮らしだ。

出版社では、スタッフにアメとムチを使い分ける鬼編集長として君臨し、

自身もパワフルに動き回り、外回りまでこなす強者つわものだ。

「そう、別件っていうのが来月益戸の『21世紀の森ホール』で行われる

コンサートの取材だったの。

・・・2人とも『ショウ・ヤマテ』って知ってる?」

アヤカとミナは揃って首を振った。

「ほら、ここ」

ユキコさんが雑誌のページをめくった。

「ここに出てるのが山手ショウよ。

若い頃からいろんなコンクールで賞を取った世界的なピアニストで、

今は欧州中心に活躍しているの。

今年から聖マリア女子大学の特別客員教授になったの、2年限定らしいけど。

それで、そのショウ・ヤマテの取材で行ったんだけど、

大学では学内オケの監修や優秀な生徒の留学選考もしているらしいわ。

それで今回、学園祭の取材も一緒にしてきたわけ」

一気にそこまで言うと、ユキコさんは珈琲をごくりと飲んだ。

ショウ・ヤマテは45才。

年齢よりも若く見え、写真からはエネルギーが溢れ出してくるようだ。

プロフィールによると、都内の音大からオーストリアに留学し、

数々の世界的コンクールでいくつも賞を取り、

今も華々しい活躍を見せているらしい。

「どお、男前でしょ!・・・結婚しているらしいんだけどね、ドイツに奥様がいるらしいわ。

あーあ、もし独身だったらほっとかないのに・・・」

ユキコさんが大きくため息をついた。

すると遠くにいたお客様が立ち上がったので、ミナがサッと立ち上がった。

「私がお見送りするから、話してて」

小さな声でミナが囁いた。

「ごめん」

アヤカも小さい声で言った。

「それで・・・この写真の4人なんですけど・・・何か覚えてます?」

アヤカが雑誌を広げて、写真を見せる。

「う~ん、特に変わったことはなかったけど・・・ちょっと待ってね・・・」

そう言ってユキコさんはバッグから手帳を取り出し、パラパラとページをめくった。

アヤカはその様子をじっと見守った。

もしかしたら、何かヒントになることを聞けるかもしれない。

「・・・この4人、ショウ・ヤマテの提案でカルテットを組んだみたいね」

「え?そうなんですか?」

そこへミナが新しく入れた珈琲マグを持ってきた。

「ありがとう、ミナさん」

「何か別の焼き菓子も持ってきましょうか?」

「ええ、もちろん頂くわ!オススメ、お願いね」

そう言いながら、今度はバッグからデジカメを取り出した。

(懐かしいなあ・・・。

私も編集者時代、いつもメモとデジカメと音声レコーダーを持ち歩いていたっけ・・・)

デジカメをアヤカの手の平に置き、ユキコさんが横から操作した。

「・・・ほら、この人がショウ・ヤマテね。・・・これがその4人」

ユキコだんがボタンを押すたびに、写真が次々と出てきた。

舞台裏から、他の出演者や、教授達。

何かヒントはないかと見ていたが、残念ながら期待したような画像は無かった。

ミナが皿とともに戻ってきたので、

デジカメをテーブルの上に置いてみんなで見られるようにした。

「それでね・・・あ、これキャラメル風味のフィナンシェなのね・・・・。

その留学生を決める選考会の最終選考に残った6人のうちの4人らしいわ。

・・・この香ばしい風味がいいわね。

だからこの優秀な4人がカルテットを組めば、そりゃ優勝するでしょうね・・・」

ユキコさんは半分ほど食べたフィナンシェをお皿に置いて、

珈琲をごくりと音を立てて飲み込んだ。

留学生の選考会を4人で争った?

じゃあ、ただの友人じゃなく、お互いがライバル関係ってことなの?

「・・・だから、もしかしたらこの写真・・・」

そう言ってユキコさんはデジカメを人差し指でトントンと叩いた。

「心の中では・・・笑顔とは反対の顔が隠れていたのかもしれないわね」


「ユキコさん・・・一緒に聖マリア女子大に行ってくれませんか?」

「え!?なんで・・・もしかして、また?」

アヤカがうなずいた。

「池ノ上マイさんは学校に忍び込んだ通り魔のような男に襲われたって警察は言ってますけど、

それにしては・・・彼女の取り巻く状況が引っかかるんです」

「それは・・・アヤカの勘?」

「そうかもしれませんけど、この最初の被害者、

池ノ上マイさんがその留学生に選ばれたらしいんです」

「え!?そうなの?・・・じゃあこの学園祭のあとに決まったのね」

「それに・・・妹のチカによれば、この・・・」

アヤカが写真中央左の女性を指した。

「深田エナさんが、このマイさんを殺しそうな目で見てたって言うんです・・・」

「・・・・・」

「チカは洞察力が鋭いんです。

だからそういう印象を持ったってことは・・・そうなんだと思います」

「そうね、彼女、人を見る目があるもの。雰囲気に敏感というか・・・」

ミナも助け舟を出してくれた。

「なるほどね・・・」

ユキコさんが小さくうなずく。

「サクラさんの・・・あ、会ったことないですよね。

お隣の長谷川さんのお手伝いさんのキクさんのお孫さんなんですけど(えーい、ややこしい)、

彼女、聖マリア女子大の生徒なんです。

音楽学部じゃなく、児童学部なんですけど・・・」

「あ、ウチの娘も児童学部か栄養学部を希望してるの・・・」

「そのサクラさんから聞いたんですけど、

聖マリア女子大はお昼は生徒以外の一般にも食堂を開放しているらしいんです。

だから、明日、私もサクラさんと一緒に行ってみるつもりなんです」

「ふーん。それで私にもって?」

「ええ・・・その、お忙しくなければですけど。

・・・ユキコさんがいれば、関係者から話を聞きやすいと思って」

ユキコさんがソファの背もたれに体を預け、腕組みした。

「・・・いいわ。またやろうっていうのね、調査を」

「はい。・・・ユキコさんが嫌じゃなければですが・・・」

「いいに決まってるじゃない!

またあの興奮が味わえるのね!やりたいに決まってるじゃないの!」

他のお客様がこっちを見るほど、ユキコさんは息巻いていた。

アヤカはミナをチラッと見たあと、気づかれないように息をそっと吐いた。

ここにも、事件に魅入られた人がいた。


午後6時半、アヤカは車を走らせていた。

あのあとユキコさんは、

「だったら大学に取材できるか聞いてみる。

そうしたら直接話が聞けるかもしれない」

と言って帰っていった。

うまくいけば、こそこそしないで堂々と校内を歩けるかもしれない。

店を閉めると、アヤカとミナは残った焼き菓子を店オリジナルの箱に詰め、

カフェ・ヴェルデから20分のところにある益戸西病院に向かっていた。

ミナは自分のバイクで車の後ろから追随していた。

ネットで調べたところ、病院の面会時間は7時まで。

「ミナ、うまく会えると思う?」

「さあ・・・まだ意識不明だとしたら、無理ね。

でも、ご家族は付いているかもしれないわね」

そう・・・目的はもちろん池ノ上マイに会うため。

とは言いたいが、しょせん警察でもマスコミでもないアヤカ達が

事件の被害者に早々に会えるわけがない。

ひょっとしたら・・・本当にひょっとしたらだけど、

池ノ上マイの様子か、家族に話を聞けるかもしれないという

微かな希望はあった。

到着した益戸西病院の広い駐車場はすでにガラガラで、

数台しか車は停まっていない。

あと少しで面会時間が終了するので、大半はもう帰ってしまったのだろう。

アヤカとミナはそれぞれ駐車スペースに止めると、玄関で合流した。

益戸西病院は、益戸市内はおろか千葉県でも有数の総合病院だ。

県外からも診察に来たり、政治家や有名人もこっそりと入院したりしているらしい。

敷地も広く、最近改装も終わったので病院はどこを見てもピカピカだ。

玄関のガラスの自動ドアから入ると、広いロビーにたくさんのイスが並んでいる。

今は人影も少なく、ガランとして、無機質な雰囲気が漂っていた。

一番奥にある受付デスクに歩いて向かおうとしたとき、

前から歩いてくる女性とすれ違った。

ん?

アヤカが振り向くと、その女性は玄関から出ていこうとしていた。

あれは・・・確か。

「どうしたの?アヤカ」

女性の背中をずっと見ていたアヤカにミナが声をかけた。

「ミナ、あれ、深田さんよ」

「え!?」

隣りでミナも振りむく気配がした。

少し躊躇したが、ちょうどいい、チャンスだ!

ちょっとだけでも話が聞けるかもしれない。

「行ってみようよ、ミナ」

そう言うとアヤカはミナの返事も待たずに走り出した。

「待って!」

ミナが後ろから早歩きでついてきたのがわかった。

アヤカが深田エナを追いかけて自動ドアを出ると、彼女は駐車場に向かって歩いていた。

1台の黒塗りの車に近づいていくと、左のドアから人が出てきた。

遠かったが駐車場のライトの明かりで、相手が男性なのは分かった。

なぜかわからなかったが、アヤカは近くにある車の影にサッと身をかがめた。

ミナも釣られて同じような姿勢をとる。

「なんで隠れるのよ?」

小声でミナが聞く。

「わかんない・・・シッ」

「・・・まだ意識不明だって・・・早く・・・」

深田エナの声だ。

「このまま・・・」

(このままじゃよく聞こえない。もう少し近づかないと・・・)

キョロキョロと辺りを見回すと、ここから2人がいる車まで、

もう1台シルバーのワゴン車が停まっている。

あの車までこっそり行けるだろうか。

ジェスチャーで伝えると、ミナが大きくうなずいた。

「・・・行くよ!」

小声で言った。

腰をかがめながら素早く移動した。

この姿勢はアラサーにはつらい。

ワゴンのお尻あたりに滑り込み、恐る恐る顔を出してみる。

ホッ。

どうやら気づかれていない。

2人は黒の車・・・あれはベンツかな・・・の運転席、じゃない、

外車だから右は助手席か・・・のそばでまだ立って話していた。

「どうするんだ・・・」

男性の声がハッキリ聞こえた。

「・・・だから、このまま死んでくれれば、私が選ばれるのよ」

深田エナが言った。

(え!?)

アヤカは衝撃のあまり、声を上げそうになった。

それって・・・池ノ上さんの・・・こと!?

横を向くと、ミナも声を上げるまいと口を押さえている。

「物騒なこと言うなよ・・・誰かに聞かれたら・・・」

男性がたしなめていた。

駐車場のライトと近づいたおかげで男性をじっくりと観察することができた。

年齢は30代始めくらい、明るい茶色の髪、

ベージュのスーツを着くずしていてノーネクタイだった。

背は180センチ以上ありそう、スタイルも良くて・・・しかもハンサム!

そのときミナが素早くスマホを取り出し、写真を撮った。

「念のためよ」

ナイス!ミナ!

「・・わかってるわよ・・・ホラ、さっさと車出してよ!」

深田エナはいらいらしていた。

「はいはい、我がままなお嬢さんだなぁ・・・」

男性は困ったように笑いながら、助手席の扉をゆっくりと開けた。

「まさか、この車で女の子をナンパしてないでしょうね?」

ドアの前で深田エナが横目で男性をにらむ。

「そんなことはしないよ、信用ないなぁ。

僕は君本人にも君の才能にもホレてるんだからね・・・」

そう言うと、深田エナの手を取った。

うう、歯が浮きそうなセリフだ。

こんなにハンサムじゃなかったら、笑ってしまいそう。

「どうだか。随分おモテになるみたいですからね、センセイは。

この車、私のなんだから、忘れないでよね!」

深田エナが手を振りほどき、サッとシートに滑り込んだ。

「本当に気が強いなあ・・・でもそこがキミのいいところだよ」

そう言ってドアを閉めたあと運転席に回り、あっという間に駐車場からベンツは走り去った。


アヤカとミナは立ち上がり、車が走り去った方角を見ていた。

先に口を開いたのはミナのほう。

「聞いた・・・・?」

「うん・・・」

2人とも呆然としていた。

友達が意識不明で生死をさまよっているというのに。

全く心配していないどころか、あの会話は・・・まるで・・・。

ミナがボソッと言った。

「私たちの勘、当たっているかもね」

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