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短編集

最終決戦で魔術や剣じゃなくて、なぜか俺はクイックルワイパーを武器にして戦う

作者: 楠木 翡翠

【作者より】

作者はコメディに疎いですので、ご了承の上、拝読を願います。


 ここはマルハチの魔王城。

 マルハチにはたくさんの冒険者が集っている。

 魔王城付近にはあまり人気がなく、俺を含んだ男性3人、女性2人の計5人がその入口に佇んでいる。


「よっしゃー! ついに魔王城に着いたぜ!」

「うん!」

「最終決戦だな!」

「いざ、戦場へだな」

「みんな、最後だからって気を抜かずに頑張ろう? ねっ?」

『うん!』


 俺達はぞろぞろと魔王城に入っていった。


「ふはははは……! 冒険者よ、よくぞ来やがったな!」


 と野太い声で俺達を出迎える魔王とその側近(そっきん)


「さあ、行こうぜ!」

「よし、武器を召喚しよう!」


 俺達が武器を召喚しようとしたら……。


「なんだこれ!?」


 俺は普段、聖剣を使って戦っているが、召喚された武器はなぜか知らないが、クイックルワイパーが出てきた。


「私は変わらないよ」

「私も」

「俺は変わらないが……」

「僕も……」


 他の4人の武器は今まで通りだった。


「オイ、クイックルワイパーって……」

「掃除グッズだよな……。聖剣は?」

「知らん……。なんで、俺だけ……」

「あっでも、武器は変わらなくても呪文が違う!」

「私もだ」


 よって、5人中3人が今までと違う武器や呪文で戦うことになった。


「さて、しゃーないから、これらで頑張って戦おうぜ!」

『うん!』

『ああ!』


 俺はクイックルワイパーの持ち手を魔王に軽く突っつくとあまり気づかなかった。

 その時、他のメンバーは側近や魔王に向かって銃で撃ったりしている。

 魔法を使うことができる女性陣からは、


「マルゲリータ!」

「クッキー!」

回鍋肉(ホイコーロー)!」

羊羹(ようかん)

「パンケーキ!」

「バナナセーキ」


 などと美味しそうな呪文が響いてきた。


「なあなあ、君達は美味しそうな呪文が飛び出すけど、今までのはどうしたんだ?」

「私達はそれしかないんだよ」

「そういうあなただってクイックルワイパーじゃない!」

「お前だって、人のこと言えないだろ!?」

「そうだけどさ……」


 俺は側近をクイックルワイパーのモップ部分を使って押しつぶしたり、バトンのように回してその遠心力を使って弱体化させたりした。


 話しながらではあるが、みんなで攻撃をしあったり、守りに入ったりして、協力して魔王と戦う。



 *



 戦い始めて何時間経っただろうか……。

 側近はすべて倒し、魔王だけが残った。


「あとは魔王だけだね!」

「気をつけて片付けようぜ!」


 俺はクイックルワイパーを、他のメンバーも武器を構えると魔王が、


「かかってこい!」


 と例のごとく野太い声で俺らに戦いに挑む。


 全員が全員、魔王を倒すことに専念した。

 俺はクイックルワイパーを魔王をお尻に突っ込んでみたりして遊びながら戦う。

 お尻に突っ込まれたせいか魔王がかなり弱くなってきた。


「よし、トドメだ!」

「おう!」


 俺はクイックルワイパーを聖剣に見立て、ズバッとXの字に斬りつけるようにした。

 すると、


「やめてくれー……」


 と魔王がの太くか細い声で言い、泡のように弾け、姿を消した。


「やったのか?」


 俺はメンバーに問いかけると、


「みたいだな」

「やったね!」

「かっこよかったよ!」

「凄かった!」


 と賞賛していた。


「俺達は他のパーティーより早く魔王を倒したんだよな」

「ああ、僕達は英雄だよ!」


 その時、俺はこのメンバーで最終決戦ではクイックルワイパーというおかしな掃除グッズを武器にされたりしたが、楽しく戦うことができたと思う。


「なぁ、またこのメンバーで戦おうぜ!」


 俺達はまたこのメンバーでパーティーを組めるよう、これからも冒険を続ける……。

2015/06/07 本投稿

2015/06/08 改稿

2015/08/09 改稿

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― 新着の感想 ―
[一言]  こんにちは。おもわず笑ってしまいました。  女性陣が使う魔法。 「マルゲリータ!」「クッキー!」「回鍋肉!」「羊羹」「パンケーキ!」「バナナセーキ」は、口に押し込んで強制的に食べさせる魔…
[一言] マルハチっていう名前のホームセンターで悪ノリしてる学生達だと私はそう思ってる。
2015/06/08 08:07 退会済み
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