表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
その恋は星空のように  作者: 佐和多 奏


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1/2

初恋は夕焼け色に染めてやった #1

雲に隠れていた夕陽が顔を出したのだろうか、オレンジ色の光が、靡くカーテンの隙間から教室に差し込んでくる。

「私、好きな人ができたの」

綾音(あやね)からのその言葉、少しだけ不安になった。その感情を映し出しているようだった。

「好きな人、できたんだ! いいね! ちなみに、誰、かな……」

綾音の、色付きリップで少しだけ濃くなった唇が縦に動く。

「透くん」

時間が止まったような気がした。

少し空いてる窓から風が吹いた。綾音のすらっと長い髪が靡いた。


――

『漢字わかるんだ! 透くん、すごいね!』

幼稚園の頃、(とおる)はわたしの憧れだった。

足は少し遅かったけど、絵がとっても上手で、何より頭がよくて。私はひらがなもあんまりわからなかったから。

よく公園で遊んだりもして。小学校に上がってからは、一緒に花火をしたこともあった。

透は、花火を2本に持って、青色と緑色の光を放ちながら、なんか必殺技? みたいなのを叫んでて、頭がいいのに無邪気で少し可愛いなって思って笑ったりしてた。

花火がだんだん無くなってきて、2人で線香花火に火をつけた。

バケツの水面が反射してキラキラする。空は星が降るように綺麗で。そこは、私と透の2人だけ。

『……なあ、紗凪(さな)

『……ん?』

私が透のほうを見ると、透は少し目を逸らした。

そして、また、私の方を見て、言った。

『俺たち、大きくなったら、結婚しような』

その透が、さっきまで無邪気に笑ってた透とは思えないくらい、かっこよくて、声が綺麗で、そして、何より、とっても嬉しくて。

『ふふっ、いいよ。結婚しよ』

そう言うと透は顔をとっても紅くして、笑顔になって。

『よっしゃ! 約束』

って。私たちは、小指を結んだ。2人で笑い合いながら。そのまま線香花火が落ちてしまったんだっけ。忘れちゃった。


――

中学校の正門とは逆側にある自転車置き場は過疎ってる。でも、だからこそ、いつメンと集まりやすいのかな。

今日も、私は綾音と一緒に、自転車を引きながら中学の門を出る。

「さよなら〜」

「さよな……あ、紗凪! ……今日の小テスト満点だったな。これからも頑張れよ」

なんだよ〜もう心臓に悪いな……。適当に返事して学校を出る。

「ねえ、綾音、そういえばさっき部活行く前に話してた、好きな人、って……」

「ああ、えっとね、そうなの、私ね、好きなひ……っ!」

綾音は急いで俯いた。綾音の奥で、ツンツン髪の毛の日向が私たちに向かって手を振っている。今日も元気なこと。 そして、その奥に、やっぱり。前髪が目にかかりそうな透が、日向を冷たい目で見ながら自転車を引いている。

「よお、綾音と紗凪! 部活おつかれい」

ひひっと日向が笑う。透はそれを無視して前に進み続ける。綾音がフフッと笑い、

「おつかれいって、全然疲れてなさそうじゃん日向(ひなた)

ってつっこむと日向が、

「は、はあつかれてるし! グランド10周走ったんだから」

って言うと透が小さい声で

「5周」

とか言ってツッコミ入れるから面白くて笑って。


私たち4人は、帰り道、みんなで合流できた時は、近くの神社で夜が更けるまで話す。同じクラスで仲良くなって、最初は、中学生ってたのしー! とか、先生に見つからないかな、とか色々考えてたけど、夏休みが過ぎて9月も後半に差し掛かった今、いつのまにかそれが日常になっていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ