第7話 勇者と男
ナイトが放つ技をドラゴンは尻尾で受け止めようとしている。ナイトの剣とドラゴンの尻尾がぶつかったその瞬間、私たちの目にはあり得ない光景が映った。
地面は隆起し、ドラゴンは尻尾で攻撃を受けるどころか、鱗とか関係なく尻尾ごと胴体を2つに切られていた。
「終わったな」
ナイトがそう言って私達のもとに戻ってくると、腰を抜かしている私とブラムに手を差し伸べる。
「ほら立て。今から下山するぞ」
あまりのことに口を開けずにいるとブラムが私より先にナイトの手を取り立ち上がった。
「ナイトお前、そんなに強かったのかよ!」
「ああ」
「すげぇな!どうやったんだよ! 今の」
私もブラムの真似っ子をするようにナイトの手を取って立ち上がる。
「本当に、すっごい威力でした」
「なんで最初から使わなかったの?」
「最初から使っては奥義ではないだろう」
それを聞いたブラムは納得した様子で頷いていた。
(いや非理論的すぎるでしょ!!)
(私達が必死に戦ったあの時間は何だったのよ!)
(て言うか! 鱗はがした意味って何!?)
私は内心でそう思いながらも心のなかにとどめておくことにした。私は今日男という生き物のサガを見た気がする。所詮、ナイトも男子だ。
私たちが山を下りた頃には、もうすでに空の色はきれいなオレンジ色に染まっていた。
んー。今日は一段と疲れた。宿屋に行ったら温泉にいきましょうっと!
「なあナイト」
「なんの用だ」
「俺を仲間にしてくれないか?」
昨日断られたばかりだと言うのに、懲りないブラムはまたナイトに仲間入りを志願している。そんな事を言ってもナイトから返ってくる返事は決まっている。
「勝手にしろ」
そう、勝手にしろ……勝手にしろ!? どうやら、ナイトはブラムを仲間にするらしい。
「いいのかよ? 本当に?」
「そうだと言っている」
「よっしゃあ!!!」
「よかったですね!」
こうしてブラム・シールドハートが仲間に加わった!! 戦力は増したが、それと同時に不安も増した気もした。
「なぁナイト!」
「なんだ」
「仲間になったんだし、俺のこと名前で呼べよな!」
「そうだな」
「ところでナイトって……なんで裸なんだぁ?」
「勇者だからだ」
――世間の勇者様に対する圧倒的風評被害!!




