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第25話 ヴェオス

今回はナイト視点です!

「隔離……か」


気付けば俺は真っ暗な密閉空間に閉じ込められていた。俺は先程まで仲間と共に階段の中辺りに立っていたはずだ。結界術の類いだな。


「あまり動揺しないのですね」

「動揺してどうなる? 状況の把握、次の行動を考えるのが先だ」

「仰る通りですね。私も向こう見ずなのは嫌いです」


青白い肌に、服に付着した血痕、それに口から見え隠れしている八重歯、この要素から目の前にいるこの魔族は吸血鬼、またはそれに近いものだということが考えられる。


俺が取るべき手段としては、まず真っ先に向かっていくのは悪手だ。カウンターなどの技を使うかもしれない。周りの状況の確認を少し優先させよう。フィオナやブラムの方も気になる。会話による探りを入れてみるのも有効だろう。


「この結界。かなり強固なようだな」

「私の部下が作った結界ですからね。それに、物理的な時間も働いていないんですよ?」

「ほう。興味深い」


「物理的な時間が働いていない」と言うのは、少し抽象的すぎて分かりにくい。この空間内では少なくとも、動くことはできている。時が止まったと言うニュアンスではないだろう。この場合、この結界は外部とは隔絶された時間内に存在しているというニュアンスに感じられる。だが、これも推測の域をでない。


ヴェオスは俺が剣を抜くのと同時に、自身の血液から剣を形作る。


「それが吸血鬼の技か」

「【血形(けつぎょう)】と言った技でしてね。ある程度上位の吸血鬼なら誰でも使えるんですよ?」

「少なくとも、俺が知る吸血鬼にそんな技を使った奴は居なかった」

「まぁ、取り敢えず始めませんか?」


奴に会話は少し難しかったようだ。構えた血の剣の切っ先を俺に向け、切れ長の目を光らせている。


「お前の言う通りだ。たまには魔族も正論を言うのだな」


「バチーン!」この隔絶された空間内に響く音は、刃と刃がぶつかる音ではなかった。ヴェオスの握る剣の形は、グニャリグニャリと変化し、俺の振り下ろした剣を食い止めた。攻撃を留められた俺は三歩後ろに下がる。


「気色が悪いな」

「あまり失礼な事を言うものではありませんよ。勇sy――」


――勇者奥義其の一(ブレイブファースト):ブレイブ・スラッシュ


「おっとあぶない」


本来この技は、縦に4匹並んだ成体のドラゴンをいっぺんに切断できる威力を持った技だが、どうやら四天王からすると、片手で受け止めるような技らしい。


「反撃しますよ?」


ヴェオスの右腕から出た血が、雨粒のように自分目掛けて飛んでくる。そのシャワーのような弾丸は、反射神経だけで見切るのは困難だろう。回避行動による移動で、自分はドーム状に展開された結界の壁際に追いやられている。


「連撃斬」


向かってくる血の弾丸を攻撃し、魔力の流れを断ち切る。案の定、切られた弾丸はただの血液に戻り、床に落ちる。


「血柱」


床に溢れた血液が自分めがけて鋭利な柱を立てる。回避行動を取ろうと、体を横に逸らすが、柱はそれを追いかけてくる。


少し抉られた薄皮から血が出てくる。傷口に対して、マジックポーションを使うが、傷は治らない。どうやら不治の情報は事実だったようだ。


「どうです? 治らないでしょう。この結界は、私かあなた、どちらかが死ぬ事で解除される仕様になっています」

「何故、それを言う?」

「モチベーションづくりですよ。脱出でも企てられたらめんどくさいですし」


ニヤリと嫌な笑みを浮かべるヴェオスを睨む。こっちを自分と同じ土俵とすら思っていない、魔族特有の嫌な笑いだ。俺は昔から、この顔が嫌いだ。


情報は、十分に集めた。


――ここからが、本番だ。


俺はマフラーを脱ぎ捨てた。

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