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第24話 突・入

インフルBにかかっちゃって……。更新遅れました!!

「いやぁ。助けていただきありがとうございます!」


私達が助けた男は、『タダノン・モヴ』と名乗った。聞くと、彼は面白半分で廃墟に近づき、運悪く魔王城四天王に出くわしてしまったらしい。しかし、四天王とあろう者が一般人一人を逃がすなんてあり得るのだろうか? それに、お腹に大きな傷がある状態でここまで逃げてきたというのも不自然だ。


然し所詮は限られた情報から出た考察に過ぎない。だが警戒しておくに損はない。こっそりナイトにも耳打ちしておこう。


「ねぇナイト」

「どうした?」

「この人ちょっと怪しくない? 仮にも相手は四天王でしょ? それに、ここから件の廃墟までって、結局距離あったわよね?」

「そうだな。仮にあの男が魔族に与する者、またはそれに準ずるものだった場合、その先の展開を予想することは容易にできる」

「うん」


ナイトも同じ事を考えていたようだ。もしあの男、『タダノン・モヴ』が本当に魔族と何らかの関わりがあるのだとしたら、何かしらの対処は打たないといけない。


「もし、本当にあの人が魔族側だったなら、どうする?」

「妙なことを聞くな。そんなことは決まっているだろう」


ナイトの返答は決まっているようだった。何と答えるのかは大体予測はつく。と言うか、この容赦のない男なら絶対こう応える。


「――もちろん殺す」


――ですよねー。うん、わかってた。分かってたよ? でも、一応勇者らしい回答が出てくると期待しちゃうじゃん? 「助ける」だとか「更生させる」とか、でも魔族側に繋がりがあると分かった瞬間に殺すらしい。


私達はモヴを警戒していたが何事もなく、彼は街の方へ去って行った。どうやら『タダノン・モヴ』はただのモブだったらしい。


モヴと別れたあと、私達は北西の方向へ歩みを進めて行き、太陽が真上に来る頃には、件の廃墟に到着していた。


外観は古びた石造りの建造物。元々は立派なお城だったみたいだが、今や苔の集まりと化していた。中には明かりはないようで、広がった暗闇がより一層不気味さを引き立てていた。


「おぉ! でっけぇなぁ! ここがさっき言ってた廃墟ってとこか!」

「気をつけろ、ブラム。あまり大きな声を出すと敵に気づかれる可能性がある」


ナイトの注意をブラムは、そ~と、息を吐くような小さな声で「わかったぜ〜」っと返した。


――そこまで小さくしなくてもいいんじゃないかな……?


「フィオナ。必要な荷物は持っているか?」

「うん。大丈夫だよ」

「そうか。ならばこの廃墟に突入するとしよう」

「「ラジャー」」


入り口の扉は壊れており、普通に開こうとしても、開かない。こういう時は、一家に一体力自慢の出番だ。立て付けの悪い扉をブラムがパキッと空けてくれた。


「よし! そんじゃあ入ろうぜ!」

「うん。ありがとうブラム」


廃墟の中は薄暗く、所々にクモの巣が張っている空間に、ナイフで切刻まれたような机、奥の方には上の階へ続く階段が存在していた。


「汚いところだな。四天王とやらはそんなにも自堕落な生活をしているのか」


――いやいや、そこ気にする? 普通暗闇に巣食う敵だーとかそういう事分析するもんなんじゃない?


そうやって廃墟のなかの家具や、道具、痕跡などを分析していると、二階から「バシャーン」っとバケツに入った水が盛大に溢れたような音が響いた。


「うおっ! なんだ!?」

「どうやら四天王とやら、またはそれに縁のある者は二階に居るようだな」

「気をつけて、罠かもしれない」

「そうだな」


二階へ上がる階段の先には人間の死体と大きな血溜まり、さらにその先には三体の魔族が階段の中腹辺りにいる私達を見下ろしていた。


一人は、身体の色は赤黒く、髪の毛も白い女の魔族。地面に崩れ落ちた死体を踏んで、薄ら笑いを浮かべている。二人目は、金色の長髪で、顔は青白く、そして背中に虫のような羽根の生えた魔族。三人目は短髪で、ナイトよりも二周りほど体の大きい魔族。


どの魔族も、普通のモンスターとは異なる異質な雰囲気を醸し出しているが、そのなかで長髪の魔族だけが、一際邪悪な魔力を放出している。きっとこの魔族が四天王なのだろう。


私達が相手の様子を伺っていると、長髪の魔族が口を開く。


「やっと来ましたね、勇者。アナタを待っていました」

「貴様が、『不治のヴェオス』。でいいんだな?」

「ええ。私が魔王城四天王不治のヴェオスでございます」

「そうか」


そう言ったナイトは、剣を抜きつつ、ヴェオスの方へ歩みを進める。ナイトは殺る気のようだ。


「ナイト、気を付けて!」


そう言った私の声は、ナイトに届くことはなかった。気が付くと、私の周りにはナイトも、ブラムも居なかった。唯一居たのは先程目の前で死体を踏んでいた、女の魔族だけだった。


「――魔法使いさぁん。楽しませてちょうだぁ〜い?」

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