第22話 グッバイ。港街
ナイトは図書館で情報を集め、ブラムは修行、そして私は魔法の研究に勤しみ、あっという間に2週間の休日は終わりを迎えた。
港街を出ようとする私たちを、船で出会った子供たちがお見送りに来た。
「勇者様! 2週間の短い間、ありがとうございました! おいしいものを食べさせてもらった思い出に、お金の援助まで、このご恩は末代まで忘れません!!」
子供からの感謝の言葉。普通の大人の表面だけの感謝とは違う、心からの感謝だ。この純粋な感謝にナイトがなんと答えるのか。それが気になる。
「そうか」
うん。いつも通り。悪く言うと、気持ちがこもっていない。良く言うと、無駄のない。そんな返事だ。
ナイトのいつも通りすぎる返事に子供達は若干戸惑っているが、笑顔でお見送りをしてくれている。そんな空気を和ませようとしたのか、それともただ単純なだけなのか、ブラムが話し始める。
「こっちこそ、お前らがいてくれたお陰で、大分楽に街で過ごせた! 感謝してるのはこっちも同じだ! そうだよな! ナイトー!!」
笑顔で感謝を伝えたブラムは、「お前もお礼くらい言おうぜ」と言わんばかりにナイトの頭を引っ張って、子供たちの眼前まで持ってきた。
「そうだな。お前たちの協力により、情報収集が捗った。ありがとう」
ブラムは、感謝の言葉を伝えたナイトに「ヘッ」と笑みを向けたあと、ナイトをもとにいた位置まで戻した。
私は正直驚いた。ナイトから「ありがとう」と言う言葉が出たことに。私の予想では「感謝する」や「助かった」等の言葉が出てくると思っていた。ナイトも素直な部分があるのだと感心している。
「おい。何を考えている?」
「いやだって、ナイトから『ありがとう』って言葉が出てくると思わなくて……」
「お前は一体、俺をなんだと思っている? 俺は『感謝の言葉はしっかりと伝えろ』と教わってきた。その通りにしているだけだ」
「そう……なの?」
「そうだ」
ナイトの受けてきた教育、少し気になるな。勇者としての教育なのか、それとも普通の人としての教育なのか。この世には数多の教育方針があるが、ここに全裸で立っている時点で前者ではないだろう。
私が考えを巡らせていると、ナイトに目で「早く行くぞ」と訴えかけられたので、子供達に簡単な挨拶をして、さっさと港町を出ることにした。
「二人とも、私からもありがとう。また会いましょうね」
「「せーの!」」
「「はい! また会いましょう!!」」
去り際、別れを告げた私に、女の子の方の子供が語りかけてくる。
「フィオナさん、フィオナさん!」
「どうしたの?」
「ナイトさんと、お幸せにしてください!!」
「え?」
この子は何か勘違いをしているようだ。私はナイトを勇者で、いざというときに頼りになる、かっこいい大切な仲間だとは思っているが断じて、恋心を抱くことはない。
「いや、私とナイトはそう言うのじゃなくて――」
「照れ隠ししなくて良いですよ!! フィオナさんの顔を見てると分かります! 赤いですもん」
「いや、あの赤みは裸を見たからで――」
私が誤解を解こうと少女と話し込んでいると、前からナイトが、冷えた視線で私を見つめ、
「早くしろ」
と急かしてくる。このまま話し続けられる雰囲気でもない。私は誤解を解くことを諦め、港町をあとにするのだった。
「「バイバーイ!!」」
私たちを見送るその声は、より一層私の気恥ずかしさを掻き立てるだけだった。
――ナイトに恋心を抱くなんて、本当にあり得ない!! 理論的じゃないわ!
投稿しました!! 書き方のスタイル? というのを少し変えてみました! 読みやすくなっていたら幸いです!




