第1話 裸の勇者と旅立ち
街に入ると、そこには市場や鍛冶屋に宿屋などお店がたくさん並んでいる。これが王都だ。眩しい日差し、雲一つない青い空。
今日はとてもいい天気だ。今私の隣に立っているこの男がいなければ、私の顔まで青くなることはなかった。
市場の商人や道行く人々がこちらをチラ見している。
「ナイト! せめて服くらい……!」
ナイトは無表情で私を一瞥する
「必要ない」
(必要ない……?
倫理的にそれはどうなの!?)
私が必死に服を着せようとしても、ナイトは軽くかわす。まるで空気を切るかのように、布は中を舞った。
街の子どもたちが口々に囁いている。
「勇者って……裸……?」
「すごい筋肉……!」
ナイトはその視線を無視し、淡々と歩みを進めていく。
私は思わず額に手を当てた。
(落ち着け、フィオナ。
今は理論よりも行動で止めるしか……!)
「もう! このままじゃ逮捕されちゃうわよ!」
服を羽織らせようとする私の手を、ナイトは片手で払いのける。
一呼吸置いてから、
「街の人達……どう思っているんだろう?」
と尋ねる私にナイトは冷静に答える。
「別に気にしていないだろう。」
(いや、絶対気にしてるでしょ!!
子どもたちとか視線ガンガンだし!!)
商人が遠くからコソコソ噂している
「……あの人、勇者だって」
「裸だけど?」
「いや……裸だよな?」
私は顔を真っ赤にしてナイトに詰め寄る
「いい加減に服を着てください! このままじゃ街中が大パニックよ!」
「俺はこれでいい」
ナイトは溶けたアイスクリームが元の形に戻るほどクールに言った。でもその顔があまりに真剣すぎて余計に笑えてくる。
結局、ナイトは最低限の旅装備だけを身に着け、裸のまま私と旅に出たのだった。
歩きながら私は心の中でツッコミ続けた
(なんでこんなにクールなの……!て言うか私、あんなに引っ張ったのに服1枚も着せられてないんですけど!?)
こうして裸の勇者と必死な魔法使いの、
世界を救う旅が始まったのだ。
――やっていけそうにありません
本格的な旅を次回からやってきます!




