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第16話 優しいのか、優しくないのか

私達の数十時間に渡る船旅は終わり、私達は隣国である『クルセイト帝国』に到着した。漁師さんたちが朝から魚を持ってきたようで、周りにある市場は活気に満ちている。


「ほう。あいつらもきちんと来たようだな」


ナイトの視線が指す方に目を向けると、子供たちがこっちへ走ってきている。


「お待たせしてしまって。すいません!」

「ううん。全然待ってないわ」

「おう。気にすんなよな!」

「ありがとうございます」


ナイトは「さっさと行くぞ」と言わんばかりに、街の方へさっそうと歩みを進めていった。


一言くらい、声かけてあげればいいのにな。ナイトはそう言うところダメなんだから。勇者としてもっと社交的にするべきよ。


「早速宿まで案内してもらう。いいな?」

「は、はい!」


子供は元気でいいな。朝だと言うのに元気で満ち満ちとしてる。うん、元気が一番よ。それにしても綺麗な街。街の人もみんな笑顔だし。


「おい。おいフィオナ、聞いているのか?」

「は!」

「ごめん。ぼ〜っとしてて聞いてなかった……!」

「へへっ! 珍しく悩み事か? 相談なら乗るぜ?」

「ううん。結構大丈夫」


ブラムはガーンッ!としょぼくれた顔をした。それにしても私が周りを見えてないなんて、不覚だわ。


「さっきまでの内容をもう一度話そう。この街に大体2週間程度滞在する。俺は魔王や魔族についての情報を集める。お前達はその間各々やりたい事に取り組むといい」

「わかったわ」

「鍛え時だぜ! 強くなって、驚かせてやるよ!」

「ああ」


2週間の自由時間はとっても大きい。新しい魔法や特技の習得、魔法の応用の研究にナイトの服選びだってできる。何しようかな。


「え、えっと!!」

「お! どうした!」

「宿屋! 着きました!」


私達が話し合いをしている中、かなり進んでたみたい。この街の宿屋は、西洋の建築方式を取り入れているようで、前に入った宿屋とは雰囲気がかなり違う。


「ご苦労だったな。礼を渡そう」


そう言ったナイトは金貨を取り出して、子供たちの手に、そっと乗せた。


――って、金貨!? 金貨って、1枚約260000万マノンなのよ!? 


その気持ちは子供たちも同じなようで、突如として手に入った大金に体と思考がフリーズしている。


「ちょ、ちょっとナイト!!? そんな大金渡しちゃっていいの!?」

「ああ。金なら俺の交渉術であの村長のババアから金貨14枚ほど搾り取った」


搾り取った!? そういうのを搾取って言うんじゃないんですか!? 「俺の交渉術」って絶対ずっと「俺が勇者だ」って言ってただけだよね!? て言うか、ババアってなに!? 勇者のくせに口悪すぎない?


「「あ、ああ」」

「ほんとにこれ、おいらたちもらっていいの?」

「ああ。無論、そうだからお前の手に渡っている」

「で、でもおいらたちその人のこと殺しかけちゃって……」

「生きているのだから良いではないか。お前等の働きに見合った対価だ」

「う、うぅ。ありがとうございます! これでしばらく生きていける」

「知らん」


ナイトは終始冷たい目をしているけど、本当は優しいのかもしれない。


子供達は金貨を握りしめて、私達のもとを後にした。


「ばいばーい!! 勇者様ー!!」

「そうだな。また会おう」

「じゃあな! ガキども!」

「二人ともまたねー!!!」


子供達を見送った私達は、宿屋へ向かった。ナイトの優しいところをみた私は、ナイトに話半分で聞いてみることにした。


「ところでナイト!!」

「なんの用だ」

「私にも金貨ちょうだい?」

「断る」


――やっぱりナイトは優しくないのかもしれない。

1マノン=2円くらいってことでよろピク

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