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第10話 Reverse

船が出港してまもなく、初めて船に乗った私は絶賛船酔い中だった。波の揺れる感覚は船に乗ったことのない私には、胃がひっくり返るように感じる。


「おいフィオナ。お前、大丈夫かよ?」

「さっきからすげー顔してるぞ」

「え、ええ。大丈夫……よ」

「ほ、本当かよ」


ゲプ、オェエ……オロロロ

食道から登ってくる嫌な臭いと喉が焼けるような感覚。そう、私はたまごサンドを盛大にReverseしてしまった。


「いや、どこが大丈夫なんだよ!?」

「ご、ごめ――オロロロ」

「おい! フィオナ!」

「誰か! 船医はいるかー!?」


目が覚めたら、ベッドの上にいて、目の前にブラムとナイトが座っている。


ブラム曰く。そのまま、ボロ雑巾のように床に倒れ伏した私は、ブラムによって船医のもとに運ばれたらしい。その後、酔い止めをもらった私の体調は、快方に向かっていった。


「落ち着いたか?」

「ええ。大分良くなったわ」

「まだちょっと虫酸が走るけど。比喩とかじゃなくて、マジで」

「仲間なんだから、空元気とかやめろよな。仲間なんだから」

「ありがとう。でも二回言わなくても分かるわ」


ちなみに、私が倒れた時お風呂に入っていたナイトは私のReverse itemの掃除をさせられたらしく、不服気な顔でそっぽを向いている。


「お前はもう少しそのベッドで休んでおけ」

「吐いてしまった分は、枕元に俺が切ったリンゴを置いておいた。それで補給するといい」


そう言われて、私はナイトが指を差した方向に視線を走らせる。確かに、お皿が置いてある。小さめな皿に並べられたリンゴは、愛らしいリンゴの形に切られている。


「これ。本当にナイトがやってくれたの?」


私は裸エプロンの男がキッチンで、リンゴをウサギの形に切っている姿を想像して思わずクスッと笑ってしまう。


「何がおかしい?」

「フフッ。何でもないよ」

「そうか」

「俺は少し外の様子を見てくる。お前達はここで大人しくリンゴでも食べていろ」

「はーい。いってらっしゃーい」


そう言うとナイトは、振り向かずに右手を軽く上げて、踵を返した。私がリンゴをむしゃむしゃと頬張っている中、ブラムが話し出す。


「いやぁ。ナイトさっきすごかったんだぜ?」

「そうなの?」

「ああ!」

「リンゴ二個を37秒で全部ウサギ型に切っちまったんだぜ?」

「それはすごい」

「あいつには多分隠れた料理の才能があると思うんだよ」


私とブラムがそんなナイトトークに花を咲かせていると、ガシャーンと医務室の扉が勢い良く開く。入ってきたのは一人の幼い少年だった。少年は私のベッドの前まで来ると、


「なあ姉ちゃん! クッキー食べない?」


と3枚のクッキーが乗ったお皿を差し出してきた。こどもが持ってきてくれたクッキーだけど、普通に食べてしまっては理論派とは言えない。ここは慎重にこの前手に入れた【鑑定】を使ってみよう。


私は小声でボソッと「【鑑定】発動」と唱えた。すると私の目には、見間違いとかではなく、完全で完璧な【鑑定】で出てきた結果は、【めっちゃ毒】と表示されている。


――うん。めっちゃ毒。めっちゃ毒って……えぇ!? これ子供が持ってきてくれたクッキーだよね?


いや……もしかしたら調理の過程で何か変なものが入ってしまったのかも。私はそう言い聞かせながら鑑定の精度を上げていく。すると、【少年お手製麻痺毒】と表示された。


――って、お手製!? 作ったの!?

そして私はこの場にブラムがいたことを思い出す。


――ブラム。食べちゃだめ! 毒が入ってるわ! 私がそう言おうとした刹那。


「モグモグモグ……うまいな!」

「ありがとな。少年」


――すでに全部食べてる!?

ブラムは3枚あったクッキーをいつの間にか全て完食していたのだ。少年はいつの間にやら消えていて、ブラムは空気に向かってずっと話しかけていた。


「ブ、ブラム?」

「ん? どうした?」

「大丈夫? なんか違和感とかない?」

「特にねえけど……あ!」


ブラムは何かに気がついた様子でパッと顔を上げる。

ちょっと怖い……え? クッキーで? ブラム死んじゃうの?


「フィオナの分。食っちまってごめんな」


よかった。一旦は大丈夫そう

一応鑑定でブラムの状態を確認しておこう。


ブラム・シールドハート LV42

HP:15620/14798 MP:2000/1850

耐久力:14332 腕力:4263 脚力:6375

敏捷性:2006 

特技           性格

 【属性盾:火、水、土、氷】 天真爛漫

 【隠密】、【硬化】

【ストッパーシールド:火、土】

スキル        状態

【大食い】        超元気


――特に異常もないし、よかった。

ブラムの無事を確認した私は安心して、パチパチパチパチと雨粒が打ち付けられる音が聞こえることに気づいた。


「雨か。珍しいな」

「そうね。予報では今日は晴れだったけど」


――ガシャーンッ!

医務室中に大きな音が鳴り響く。気付くと窓の方に大きな人影。


「なんだてめーは!?」

「どこから入ってきやがった!」


ブラムはすでに盾を構えて、戦闘態勢に入っている。私もそれに遅れじと立てかけてあった杖を構える。


「私ハ魔王軍南方部隊隊長にシテ、魔王城四天王のヒトリ――」

「陰惨のウィオネでごザいマス」


――突然現れたその男は、身長2mをゆうに超える。体の大きな道化だった。




ウィオネさんの口調……ものすごく書くのめんどくさい

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