第8話 お風呂in裸の男
村に戻ったあと私は、宿の温泉に疲れを癒やしに来ていた。どうやらここ『オオキ村』一帯は温泉地帯らしい。浴槽に面している壁には、大きな『ルデンゴラド山』の絵が描かれている。シャワーをチャッチャと済ませ浴槽に浸かるとちょうどいい温かさの温度に、ポチャポチャとなるお湯の音。
――とっても気持ちいい、脳がとろけそう。
心のそこから癒される時間を堪能して、かれこれ1時間以上お風呂に入っている。
――ガシャン! お風呂場の扉が開く音だ。誰か入ってきたのかな?
「ここが温泉かぁ! でっけーなぁ!」
「そうだな」
浴場中に鳴り響いたその声はブラムとナイトのものだった。ブラムとナイトがこちらに向かってくるので、思わず深いところに座る。にごり湯でよかった。
「お! フィオナじゃねぇか!」
「お前もこの温泉に来てたんだな!」
「ちょ、ちょっと! なんでいるのよ!」
私はナイトとブラムにお湯をバシャバシャ飛ばして暴れている。「ちょ、落ち着けって!」と言うブラムの制止も無視してお湯をかけていると
「お前こそ何を言っている。今は混浴の時間だろう」
「え?」
そう言われ浴場の扉に目を向けると、確かに混浴と書かれている。長風呂しすぎて混浴の時間になったことに気づいていなかった。
「ほんとだ。ごめんなさい!」
「まったく困るぜ」
私が頭を下げながらナイトに視線を向けると、あることに気づいた。
――ナイトが場にふさわしい格好をしている!
そう。大浴場と言う場所では、全裸は正装なのだ。ナイトのこの姿は、この場では異常な姿ではない。水に濡れた黒髪は一段と輝き、見慣れているはずの身体はより逞しく思えた。
「何をじっくりと見ている。風呂場で人の体を注視する行為は無作法だ」
「ご、ごめん」
そう言われナイトから視線を外した私はブラムと目が合う。ブラムは戦士職らしく腕が太く、身体もとても大きい。ブラムは自慢げに胸の筋肉を張っている。
「へへへ。すげーだろ!」
そう語るブラムの後頭部にナイトはゲンコツを炸裂させる。
「いってぇ。なにすんだよナイト」
「当たり前だろう。見せつける行為も無作法だ」
「悪ぃ悪ぃ。確かにそーだよな」
「フィオナもすまん!」
「ううん。こっちから見たんだし」
そういった私は長風呂していたこともあり、ナイトとブラムがあっちを向いた隙にお風呂を上がったのだった。
――お風呂。気持ちよかったなぁ




