第一章:光を失いし者
この物語は、AIと共に創り上げた執筆作品です。
ストーリー制作にAIを取り入れることで「物語をいち早く読者の皆様にお届けすること」を最優先しました。
更新が1年以上も止まってしまう作品を、やきもきしながら待つのは辛いですよね。私自身、そんな経験がたくさんあります。だからこそ、この物語はハイスピードで執筆を進め、必ず最後まで駆け抜けること、そして完結させることを皆様に約束します。
この作品は物語のテンポと展開の速さを重視しているため、人によっては描写が簡潔に感じられる部分もあるかもしれません。じっくりと重厚な文学作品を楽しまれている方には、少し物足りなく感じさせてしまう可能性もございます。
とはいえ、物語は【4部構成、全12章】で、すでに完結済みです。
「AIと共に創る、必ず完結する高速小説」という、この新しい試みに少しでも興味を持っていただけましたら、ぜひ最後までお付き合いいただけると嬉しいです。
風は音もなく、色もなかった。
瘴気に蝕まれた大地を吹き抜けるそれは、草木の香りも土の匂いも運ばず、ただ乾いた埃を巻き上げるだけだ。リアムは、丘の上に立つ一本の枯れた大樹に背を預けていた。空は万年、灰色の薄布を被せたように淀み、太陽ですら、その輪郭がおぼろげな銀色の円盤にしか見えない。
ここは、彼の故郷だった村の跡地だ。 そしてこの大樹は、恋人エリアナの墓標代わりだった。もっとも、彼女の亡骸はどこにもない。村のすべてが「灰色の嘆き」に飲まれたあの日、人々も、家々も、そこに満ちていた温かな営みも、すべてが塵となって消えた。
リアムは目を閉じる。 祈りを捧げるためではない。彼に祈るべき神はもういない。ただ、瞼の裏にかすかに残る幻影を、消し去らないように繋ぎ止めるためだ。太陽の下で笑うエリアナの顔。風に揺れる亜麻色の髪。彼の名を呼ぶ、鈴のような声。 色は、とうに失われた。音も、もう聞こえない。それでも、彼はこの場所に通い続けていた。まるで、自分という存在がまだここにいることを、虚空に証明するかのように。
騎士団から賜った長剣の柄を、無意識に握りしめる。かつて刻まれた王家の紋章は摩耗し、もはや判別も難しい。誰かを守るための剣術は、今や生き延びるためだけの殺しの技に成り果てた。正義も、栄光も、彼にとっては色褪せた絵空事だ。
その時だった。 カサリ、と乾いた葉を踏む音。 リアムの目がゆっくりと開かれる。その瞳に、感傷の色はない。あるのは、獲物を前にした獣の冷たい光だけだ。 音の方角に目をやると、丘の麓から二つの人影が、おぼつかない足取りで登ってくるのが見えた。 人影、と呼ぶにはあまりに生気がない。全身は埃を被ったように灰色で、顔には目も鼻も口もないかのように、のっぺりとしている。かつて人間だったもの――「嘆き人」だ。
彼らは、リアムが放つ微かな生命の熱に引き寄せられるように、ゆっくりと、しかし確実に距離を詰めてくる。
リアムは静かに立ち上がった。 剣を抜くのに、一瞬。 駆け寄る一体目の喉元を、水平に薙ぐのに、一瞬。 振り返りざま、二体目の心臓があった場所を突き刺すのに、一瞬。
悲鳴も、血飛沫も上がらない。 リアムの剣に貫かれた「嘆き人」たちは、まるで乾いた土人形のように音もなく崩れ落ち、灰色の塵となって風に溶けていった。
後に残るのは、完全な静寂だけだ。 リアムは剣を軽く振って塵を払い、鞘に戻す。何の感情も湧かなかった。喜びも、悲しみも、怒りさえも。ただ、そこに在った脅威を取り除いただけ。呼吸をするのと同じ、生命維持のための作業だ。
彼は再び大樹に背を預け、灰色の空を見上げた。 この世界は、すべてが灰色だ。 そして、自分の心もまた、同じ色をしている。
終わりなき日常が、また一つ繰り返されただけ。そう、彼は思っていた。 この数日後に出会う一人の賢者が、その灰色の心に波紋を広げることになるとは、まだ知らずにーー