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203.北の果ての国-1

彼はある国の王である。

北の果ての国で行われている調停のため、この土地にやって来た。

北の果ての国の国境付近では、砲撃の音が止まず、日々多数の死者が出ている。


彼はある廃墟の都市に足を踏み入れた。

無惨に破壊された街には、誰の姿も見当たらない。

建物は粉々に破壊され、黒い煙があちらこちらで燻り、ちらちらと赤く光る炎が燃えるものは全て白い灰に変えてしまっている。


入国前にその国の逃亡者から話を聞く機会があった。

戦争が始まると、都市の住人達は早々に移動を開始し、戦火の届きにくい国の内部に居を移しているとの話だった。


街には武器を携えた哨戒の兵士と、逃げ遅れた野良猫が餌を探して彷徨い歩いている。


彼はあるものを探して歩いている。

彼の姿は、兵士の目にも、野良猫の髭にも反応しない。

彼は誰とも話すことなく、廃墟の都市をひとり歩いている。


“戦争とは、このようなものなのか”

彼は黒く焼けた地上から、立ち昇る幾筋もの煙で太陽の光が遮られた灰色の空を見上げた。

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