表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

フォロワー

私のSNSのフォロワー数が一人増えた。それは平凡な日常を崩壊させる始まりだった。


プロフィール画像は設定されていない灰色のアイコン。アカウント名は「user_20240203」。つまりは初期アイコンである。


何となく不気味に感じたので即座にブロックしようとしたが、その前に気になってそのアカウントを確認した。投稿、フォロワー、フォローは全て0。少なくとも私の事はフォローしてるのに...だ。アカウントの作成日時は3年前と表示されていた。つまり、この3年間このアカウントで何も活動してなかったということだ。何とも言えない不気味感に寒気が止まらなかった。


その夜、昔の投稿から「いいね」が付き始めた。家族との食事、友人との旅行、そして日常の何気ない瞬間。「いいね」は着実に現在に向かって進んでいく。


特に不安を感じたのは、「いいね」が付いた投稿に明確なパターンがあることだった。位置情報を載せていない投稿でも、どこで撮影したのかを正確に把握しているかのように、その場所での私の行動に関連する投稿にだけ、規則正しく「いいね」が付いていく。私が一人で写っている写真。自宅周辺での投稿。夜の投稿。


深夜2時、全ての投稿への「いいね」が完了した。


ブロックしようとした時、DMが一つだけ届いた。添付された画像は、私が今住んでいるマンションの間取り図だった。


警察に相談したが、具体的な脅迫や危害がない限り、動けないと言われた。


次の日から、私のアカウントには、撮った覚えの無い自分の写真が投稿され始めた。通勤電車の中、オフィスのデスク、昼食時の店内。全て数分前の写真。投稿者は私のアカウントになっていた。


パスワードを変更しても無駄だった。二段階認証を設定しても意味がなかった。セキュリティを強化するたびに、「user_20240203」からの「いいね」が付く。


今日も私のアカウントには新しい投稿が続いている。「たった今」という表示とともに、見知らぬアングルから撮影された私の姿が次々とアップロードされている。まるで誰かが、至近距離で私を見つめているかのように。


スマートフォンに新しい通知が表示された。「user_20240203」が、私の最新の投稿に「いいね」を付けた。その投稿は、私がこの文章を見ているところを後ろから撮影した写真だった。



[完]

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
>投稿、フォロワー、フォローは全て0。 少なくとも主人公のアカウントはフォローしているんだから、フォロー0はミステリー。
正体不明のフォロワーの存在……ラストで身の毛がよだち、なんとも言えない読後感に襲われました。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ