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エピローグ

     エピローグ


 夏休みが終わり新学期が始まった。

 卓郎がいつものように学校の下駄箱を開けると、中にはごみがいっぱい詰まっていた。

 卓郎は黙ってごみを片付け始めた。

 後ろから鎌田がどん、と卓郎を突き飛ばし、卓郎は前のめりに転んでひざを突いた。

 やれやれ。

 そのまま卓郎は何も言わずに手のひらをもみじのように広げ、中指で押し上げて眼鏡を直した。

「おっ、眼鏡の直し方が変わったな」鎌田があざけるように言う。「かっこいいなー。夏休みで大人の階段をのぼったんじゃね」

 卓郎は無視した。


 ホームルームが始まると担任が転入生を紹介した。

「えー、今学期から転入してきたアーイシャ柴田さんだ。

「アーイシャだってよ」

 赤間と仲間たちはひそひそ話をした。

「あいつ黒人だろ」「アフリカのジャングルから来たんでね」

 転入生の紹介が終わり担任が出てゆくとさっそく赤間がやってきた。

「キー、キキッ」アーイシャの前で頭をかきむしりサルの鳴きまねをする。アーイシャの反応は早かった。

 みぞおちに一発パンチをくらわして動きを止めた後、思わずほれぼれするような後ろ回し蹴りが赤間の顔面に炸裂した。

「ギャッ」赤間は顔を抑えて倒れた。

「どうしたのウジ虫野郎。文句があるならかかって来なさい」

 アーイシャは中指で天を指して挑発する。赤間は鼻血をだらだらと垂らしながら戦意喪失したように片手を挙げた。

「そのくらいにしておけよ」卓郎は割って入った。

「なにそれ、なにそれ。こいつと知りあい?」鎌田が驚きに目を見開いて問う。

 卓郎は振り返った。いじめられっこであることは変わらないが、今はなにも怖くない。

「おれの……相棒バディさ」

 アーイシャと顔を見合わせてにかっと笑った。その後ろで美香がぷっとふくれていた。


 一時間目が終わると卓郎は廊下で見かけた少年に近づいた。少年は友達もなさそうでどこかおどおどしている。

「おれ安肝卓郎。きみ一年生?」

「は、はいっ」少年はしゃちほこばって気を付けをした。

「あのさ。昼休みか放課後にちょっと話があるんだけど」

「な、なんですか」少年は不安そうな顔をした。

 卓郎は笑顔で言った。

「すごく大事な質問があるんだけど」

「え?」

 卓郎は声をひそめて聞いた。

「きみさ……いじめられっこ?」



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