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【第6部〜アイドル編〜】  第19話

 私の撮影再開が始まった。記憶を失ってからの俺にとっては、演技は初めてだ。ぎこちなく、つたない演技でNGを36回も出した。

 しかしそれでも皆んな温かく見守ってくれていて、イライラしたりしている人はいなかった。申し訳なさと、心の広さに感動して、涙腺が緩んで泣いてしまった。

「瑞稀が皆んなに愛されている証拠だな?」

 ヂャンに肩を叩かれると、抑えきれずに肩を震わせた。

 撮影が一通り終わり落ち着くと、監督に食事に誘われた。肩を抱かれて車に案内された。

「えっ!まさかカウンタック!?」

 俺はスパーカーに憧れた時期があった。ガルウイング、ドアが上に開くのが格好良いと思った。

「分かるかい?でも残念ながらカウンタックでは無いんだ。ランボルギーニエキドナ462だよ。ボクも似ているのが気に入って買ったんだ」

 ドアを上に開くと、感動した。乗り込むと車体は低く、目線は俺の腰より下も低い。

「グォン」

 アクセルを踏まれると、身体にGがかかる。

「凄い!」

 まさに飛ぶ様な速さで走る。ただ、歩行者もいるかも知れないので危なくて、怖かった。

「どう?気に入った?」

「え、あっ、ハイ。ただ人が歩いてると危ないので、ゆっくり走って欲しかったです」

「次は気を付けるよ」

「あれ?そう言えば、何で監督の言葉が分かるんですか?私」

「ボクもね『自動翻訳オートトランスレーション』が使えるんだよ」

「そうなんですね?なら言葉の壁は無くて良いですね」

「そうだね。所でキミ、張玉ヂャン・ユーとは上手く行っているのかい?」

「上手く行ってるとは?」

「恋人なんだろう?その、結婚とかさ」

「あははは、恋人じゃないです。良い友人だとは思っていますけど」

「そう…恋人じゃないんだ…」

 監督はニヤリとほくそ笑んだ。


「瑞稀!瑞稀を見ていないか?」

「Mizukiちゃんなら監督に呼ばれて何処かに行ったな」

「何だって!?」

張玉(ヂャン・ユー)が焦るのも無理はない。中国の芸能界では、半ば公然と枕営業が行われているからだ。

 中国人の女性が男性に求める第1位は、優しさでもイケメンでも無い。金だ。自分の豊かな生活を保障してくれる男性を求める。生活水準を上げてくれるなら、男性の顔など関係ない。相手が金持ちなら、どんなブサイクだろうが年寄りだろうが、抱かれる事に抵抗を感じない。

 女優を目指した者はヒロイン役を夢見る。少しでも良い役になれる為に監督と寝る。監督が自分を気に入り、キープされれば次の作品にも呼ばれる。お気に入りになれば、今の役よりも良い役を貰える。

 ヒロインの侍女役にでも抜擢されれば、ヒロインと共にほぼ全話に携わる事になり、露出も増える。そのため、目を付けられれば、他の監督の作品にも呼ばれるチャンスが生まれるし、人気が出る可能性もある。

 更にはパトロンが付いたりすれば、そのバックアップで無理矢理ヒロイン役を勝ち取る事も出来る。つまりスポンサーの愛人になると言う事だ。

 こうして見事ヒロインの座を掴む事が出来れば、10億ものギャラを手にする。その為なら、監督と寝るくらい大したことでは無いのだ。

 監督から求められずとも、自ら進んで色目を使い、積極的に接触する。有名監督ともなれば、女に不自由する事は無い。売れていないとは言え、女優だ。彼女達は、ただチャンスが無いだけで、美人揃いだ。

 後宮の美女3000人と言うが、本当に美女3000人も抱いた者は少ないだろう?と自慢げに豪語する監督もいるくらいだ。

 俺に彼氏が居ないと知った監督は、誘って来た。

「次のボクの作品で、是非キミをヒロインにして撮りたい。だから…良いよね?」

 わざわざ中国まで来てドラマに出たのだ。せっかくのチャンスなので、爪痕を残して帰りたい。次に繋がるチャンスなら、迷わず飛びつくべきなのだろう。

「申し訳ありません。Hは出来ません。その他の事なら、受け入れますので、それで許して頂けませんか?」

「そう?それでも良いよ、今日の所は。まだ撮影は続くからね。キミの気持ちも変わるかも知れない」

 抱き寄せられて口付けをされると、舌を絡めて来た。されるがままだったが、タバコの臭いがキツくて眉をしかめた。

 胸に触れると喜んだ。

「日本人の胸は柔らかく、マシュマロの様だと表現されるが、今日それが本当だと分かった。キミのお陰だ」

 上半身裸にされ、直接胸を揉んだり触ったりして感触を楽しむと、胸を掴んで指が沈むのを確認する様に見ていた。

「日本人もそんなに変わらないでしょう?」

「とんでもない。この弾力、それでいてこの柔らかさ、張り。素晴らしい。たまらない、早速頂くよ」

 舌を使われながら吸われると、子宮がゾワゾワした。気持ちいい…。胸なんて、触られたり吸われたりして、一体何が気持ち良いんだ?と思っていた。

「ふふふ…」

「どうしたんだい?」

「ううん、くすぐったいかと思ったけど、少しムズムズ、ゾワゾワする」

 再び口付けをされた。

「ボクの作品はキスシーンも多い。だから、ボクが教えてあげる」

 キスだけでネットリと、1時間はかけられた。

「嗚呼、瑞稀。最高だ。甘い匂いがする。これは天香(天の物と思うほど良い香)では無いのか?瑞稀、会えて良かった。最高だ。どうしても挿入れたい。挿入れさせてくれたら、5000万元…10億、10億円払う。お願いだ。瑞稀をどうしても抱きたいんだ」

「お金で身体なんて売ったら、売春してるみたいで、嫌だなぁ。別にそんなつもりも無いし、お金が欲しい訳でも無いけど…前払いなら良いよ」

 どうせ枕営業する事になるかも?とか内心は思ってたし、お金をくれると言うなら貰っておこう。

 電子マネーで送金が完了した。

「こ、これで…本当に良いのかい?」

 俺は頷くと目を閉じて足を広げた。

「はあぁ~、なんて綺麗な足をしているんだ?」

 足をサワサワされ続けて撫でられること、1時間。本当に中国人は足が好きだな。足の指を舐められ、かかとまで舌を這わせると、男性のモノを両足裏に挟んで擦ったりしていた。そして、足首から太腿までゆっくり時間をかけて舐められた。

 俺は焦らされて、秘部は濡れに濡れて垂れ、シーツはお漏らしした様になっていた。

「ふふふ、もう挿入れて欲しいだろう?瑞稀。だが、まだまだお楽しみはこれからだ」

 舌と指で何度もイカされた後、ようやく膣内なか挿入はいって来た。腰を突く度に、お腹が出ているので、ペチペチと音がした。俺は行為が終わるまでずっと目を瞑っていた。膣内なかに射精されると、「10億も払ったんだから、1発で終わるとは言っていない」と言って朝まで抱かれ続けた。

 シャワーを浴びると監督は、俺が泊まっているホテルまで送ってくれた。すると、ホテルの前でヂャンが待っていて、俺と監督が車から降りるなり、監督に殴り掛かった。

「止めろ!止めて!」

 俺が監督を庇うと、ヂャンは激怒した。

「そいつを庇うのか!お前は、俺の気持ちを知っていて踏みにじったんだ!」

 怒りが収まらず、俺の襟首を掴んで右手を振り上げた。殴られると思い、両手で顔を守って目をつぶったが、その手が振り下ろされる事は無かった。

「お前との縁はこれまでだ。2度と俺に話しかけるな」

 そう言って立ち去った。俺は力無くその場に座り込んだ。取り返しのつかない事をしてしまった後悔と罪悪感で、心が押し潰されそうになった。

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