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【第5部〜旧世界の魔神編〜】  第3章 1000年後の世界

 天道神君として天界を支配した私は、自分の理想郷を作り上げる為に奔走していた。気がつくと恋もする事なく、早1000年が過ぎた。アナトとしてではなく、神崎瑞稀として、人間として暮らしていた日々を懐かしく思った。

「そう言えば1000年経ったけど、山下巧くんは不老長寿だから、まだ生きているはずだ」

そう考えると、会いたくてたまらなくなった。ちょっと留守にしても大丈夫だろうと思い、下界に降りた。

 人間界は1000年前とは、まるで違う世界だった。超高層ビルが立ち並び、人類は地上の支配者の様だった。しかし今は荒野と化し、高層ビルも遺跡の様になって残っていた。人の気配など、まるで無い。

「嘘っ、一体どうしたの?」

口に出したが、思い当たる節はあった。恐らく人類は、核兵器を使った大戦争を起こしたに違いない。では、もう人類は滅んでしまったのだろうか?例え不老長寿と言えども、病気や怪我をすれば死んでしまう。あくまでも、ただ寿命が長いと言うだけの事だから。

自動書込地図オートマッピング

地図を浮かび上がらせると、「検索・山下巧」と呼んで地図を指で弾く様にタップした。タップした所から波紋状に広がって行く。しかし、何の応答も無かった。巧は、既に亡くなっているのだろう。そう思うと膝から崩れ落ちる様にして地面に伏せると。大声で泣いた。もう少し早く自分が来ていれば、巧は死なずに済んだかも知れない。苦しんだのかな?楽に逝けたのかな?などと思慮を巡らせたが答えは出ず、更に涙は止まらなかった。

 すると、地図に反応があった。ある1点が青く光ったのだ。急いでそこに行ってみると、荒地で何も無かった。もしかすると、この地面にたくみの遺体が眠っているのかも知れないと、一瞬頭によぎったが、死んでいる者には反応しないはずだ。だとすると、地面の中。つまり、核シェルターか何かに避難して生活しているのでは?と考えた。しかし、どうやって地面の中へ行こうかしら。本来なら入口があったはずだ。核で巻き上げられた土砂で、入口が埋められたのかも知れない。入口を見つける魔法やスキルなんて持ってない。でも確か核シェルターには、2ヶ月分しか食糧が保存されてい無いのでは?放射能汚染は2ヶ月でおさまるのが理由だと聞いた事がある。しかしこの荒れ方は、2ヶ月どころか数百年は経っているのでは?だとすると、どうやって生きて来たのだろう?普通に考えれば隠し通路でもあり、地上に出て食糧や飲み水を得ているのかも知れない。

「ラァラララ~♪ラ~ララ~」

 歌を唄えば気付いてくれるかも、と思って私は大声で歌い始めた。1時間、2時間…結局6時間ほど歌っても、何の変化も無かった。すでに辺りは薄暗くなり、月や星が見えていた。

光之堅牢ライトニングプリズン

この中に居れば、私に対する全ての攻撃は無効となる。それに、光の堅牢と言うくらいだ。周囲を照らすほど、明るく光っている。私はこの中で眠る事にした。

魔法箱マジックボックス

 折り畳み式のソファベッドを取り出して横になると、すぐに眠りに着いた。どのくらい眠っていたのか分からないが、ふいに何かの気配を感じて目が覚めた。

「誰かいるの?」

 返事が無い。殺気を感じないので、私に対して敵意は無いのだろう。

此方こちらの様子を伺っている?)

大方おおかた、私を食べようと腹を空かせた野犬でもいるのかも知れない。私は欠伸あくびをすると、二度寝した。

 顔を直射する陽射しが(まぶ)しくて目が覚めた。少し肌寒く感じる。

上菜シァンツァイ

 この生活魔法は、1度でも食べた事のある食事を再現して出せる呪文だ。この呪文さえあれば、食糧問題は一気に解決するが、食べた事が無い物は出せないのが残念だ。

「はぁ、美味しい。やっぱり和食よねぇ」

 ご飯にお味噌汁、卵焼きに焼き鮭、納豆に海苔、冷奴にお漬物。朝食としては十分過ぎる。それらを綺麗に平らげた。

 辺りに焼き鮭の香ばしい匂いと、お味噌汁の香りが漂っていた。するとやはり、何者かの気配を感じた。しかし、一定の距離を保っていて近寄ろうとはして来ない。

自動書込地図オートマッピング

赤い光は無いから敵意は無いのだろう。白く光っている場所に飛んでみたが、誰もいない。

「何で?でもここに居るって点灯してるけど、壊れてるの?これ…」

 いやいや待て待て、機械ならまだしも、これは魔法だ。魔法が壊れるとか有り得ないから。ではバグか、人以外に反応しているのか?もしかすると、虫に反応しているのか?でも虫に気配って何なのよ?とか思い、地面に伏せて顔を近づけると、点灯している周辺に目を凝らした。すると、何やらうごめいているのを見つけた。

拡大水鏡(クォダァシュェイジン)

右の人差し指の先に、水鏡で出来た虫眼鏡の様な拡大鏡で、それを見た。

「キャア!」

 それはアリの様に群がっていた、人間であった。自分が巨人になったのか、人類が小人になったのか分からない。なるほど、通りで探しても誰も居ないはずだ。居たけど見えなかっただけなのだ。

 私は彼らと会話して情報を得る為に、身体のサイズを同程度に小さくした。

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