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異世界で家を買いました  作者: 葉月奈津・男
『恵』編
3/404

ミーレス3 オブジェクトリーディング

25/6/22。

ごちゃごちゃしていた文面を読みやすく。

ところどころ、に訂正を。

書き直しました。

 

 意識が回復した。

 まず確認したのは、目の前に広がっているのがオレの部屋ではないことだ。

 病院のベッドでもない。


 すべてが夢や幻覚だったというオチではなかったってことだ。

 現代地球の観点で言えば、16世紀ごろの貴族の邸宅にあるような部屋。

 家具もその時代の様式に似た形式のものが置いてある。


 ここまでなら、なんの不思議もない。

 あの騒ぎの余波を受けて気を失いでもしていたのだろうと予想できる。

 どうでもいいことだ。

 ちょっと気になったのは、吹き飛ばされて汚れていたからか服を着替えさせられていたということぐらいだ。


 誰に服を脱がされたんだろう?

 まぁいい。

 気にしない。


 重要なのは、その家具全てに『タグ』が付いているということだ。

 そして、そのタグが明らかに物質として存在していないことが明らかであること。

 紛れもなく、淡い光を放つ非物質が見えるのだ。


 なんだろう?

 そう思うと同時に、視界の隅で、ウィンドゥが展開した。

 パソコンのモニターを見ているような感じで。



 『情報タグ』:対象指定で情報開示。



「なるほど」

 思わずつぶやいた。

 オレにも、『特殊能力』は附属しているらしい。

 ライトノベル系主人公必携『鑑定』の能力だ。

 説明らしい文を読んでタグの一つに目を向けると、タグが展開してその家具が持つ情報の「インデックス」が表示された。

 さらに、そのインデックスを指定すると、細かな情報が展開されていく。



『クローゼット;衣服を収納するための家具。マホガニー製。製作者ランド・ルー。買価80万ダラダ。使用年数、28年。』



 見ていくと情報はさらに細分化して、材料となった木の採取地から製造工程で使われた技術までが浮かんでくる。

 いわゆる『鑑定』以上の能力だ。

 見える深度が違う。


 材料の出所にまで遡るとなると鑑定というより・・・『来歴検索』と呼べそうだ。

 たしか・・・オブジェクトリーディング、というんだったか?

 この手の能力のことは。


 わかりやすく、ベターなので『鑑定』ということにはしておくが。

 それにしても、周囲にあるすべてのものにタグがある光景というのはちょっとツライ。

 頭がクラクラする。

 なるべく意識しないような訓練が必要かもしれない。


 コツコツコツ・・・・。


 廊下を音が近付いて来た。

 はじめ、何の音かと怪しんだが、足音だ。

 やたらと硬い音なので、別の音に聞こえたが間違いなく足音だ。


 読書狂の頭が中世、使用人は木の靴を履いて主人に自分の居場所を常に知らせる必要があったという知識を吐き出した。この足音のおかげで、家の主は使用人に見られたり聞かれたりしたくない出来事を隠すことができたのだとか。

 起き上がったりせず、目だけを開けていたのは幸運だった。


 まだ目を覚ましていない風を装いつつ、足音の主が現れるのを待つ。

 予想した通り、一応のノック音のあと数秒して、白と青で彩られたスタンダードなメイド服の女性が入ってきた。

 40ぐらいのおばさんだ。

 マンガではメイドといえば少女だが、実際は家事をするのだから中年の方が多いという事実を思い出す。


 タグが付いているので、読んでみた。

 生き物にもタグはつくようだ。


『リセル。市民。女。42歳。メイド。Lv52。ロレンタ家メイド。既婚。夫、バドック。』


 名前、階級や種族、性別、職業――ジョブというべきか――とそのレベル。その他備考、といったところだ。

 他にもだらだらと年表なんかが浮かんできたが、途中で読むのをやめた。

 細かく、深く読もうとすると、文字化けが激しくなって意味の通じない文章になったからだ。

 さすがに、人の人生を覗き見ることはできないらしい。


 はっきりわかるのは、いまこの瞬間に、何をしたいと考えているか、ぐらいだ。

 おそらく、時間が経って「思考」が「記憶」になるとロックがかかって本人にしか読み出せなくなる。

 そんなところなのではないだろうか?


 彼女は・・・オレを叩き起こしたい、と願っているらしい。

 早く帰りたいのにオレが寝ていると帰れないようだ。


 御愁傷様。

 リセルおばさんには悪いが、このまま起きるわけにはいかない。


 もう少し「検証」が必要だ。

 薄目のまま、ウィンドウを確認する。

 展開されたタグの中に『教養』という見出しを発見した。


 展開してみると、この世界で生きる上で当たり前の日常知識が羅列されていた。

 洗濯や掃除の仕方がやたらと具体的に書かれている半面、政治経済地理となると恐ろしくアバウトだ。


 経済など、通貨が金貨、銀貨、銅貨があるとしつつ、金貨の描写が曖昧なのに銅貨は彫られている線の一本一本まで正確に表現されている。

 銅貨はよく使うし、大切なのでしっかり記憶しているが、金貨は見たことも触れたこともほとんど・・・いや、全くなくて表現できていないのではないだろうか。

 つまり、その人が持っている知識、または思い込みを加味した印象、が表示されているということだ。


 地理に至っては、この屋敷の内部と自分の家は細部まで網羅されているが、その二つを結ぶ道や親戚知人の家はそこそこ、この地方の街の所在はいいかげん、大陸全土となるともはや無だ。もやもやとした霧になってしまう。

 白紙の日本地図を見せて、東北の人間に島根県は? と訊いても正確には指差せないのと同じだ。


 何にしてもこの能力は便利かも。

 ちょっと嬉しくなる。


 もっと面白い情報とかはないかな・・・。

 考えながら展開されているウィンドウを見ていくと、『人物図鑑』があった。

 たぶん、リセルが知っている人間の、リセルなりの情報が記入されているのだろう。

 とりあえず、ここの主のことは知っておきたい、と思う。



 『ティオリア・ロレンタ。貴族。女。38歳。剣術士Lv32。サリアス・ロレンタ侯爵夫人。』



 それが、この館の主であるようだ。

 貴族はわかるけど、剣術士ってなんなのか。


 鮮明な顔写真付き、結構な美人だ。

 かなりきつそうではあるけど。

 目が覚めたとなれば、おそらくこの人にお目通りということになるのだろう。

 会う前に人となりとかを知っておくとかなり有利だ。


 展開する。

 かなり赤裸々な情報が浮かんだ。

 その中には全裸で沐浴している姿もあってちょっとドギマギする。

 性格は好奇心旺盛、きらきらとした宝飾品の収集家、甘いものが好き、自分の思い通りに事が運ぶとご機嫌になるが思いの方がころころと変わるため合わせるのは困難。


 現在はご機嫌が悪い。

 原因は・・・ミーレス?


 人の名前らしい、名前の部分が他とは違う色になっている。

 リンクでも貼ってあるのか?


 その通り。

 クリックすると、その顔写真付きの情報が別ウィンドウで浮かぶ。



『ミーレス・ジュヌード。奴隷。女。16歳。戦士。性格は温厚。仕事は丁寧。侯爵様の遠縁の者が金に困って売りつけに来た。』



 奴隷制度もあったのか。

 文化的には元世界の16世紀ごろに近いようだし、驚きはない。

 ちょっと、男のロマンがうずくけど。


 次の問題は、ここで起きるかどうかだ。

 これから対峙することになるだろう相手の人物情報を手に入れたとはいえ、それはあくまでもリセルおばさん基準だ。

 人の感覚は個人差が大きい。

 他の人のも確認しておきたい。


 しかし、リセルおばさんによれば夫人は自分の思い通りにいかないと機嫌が悪くなるようだ。

 あまり待たせるのも得策ではないかもしれない・・・どうする?

 迷ったが結論は出せずに終わった。


 別の人物が入ってきたからだ。

 こちらは足音がしなかった。

 それもそのはず、入ってきたのは侯爵夫人その人だ。


「まだ目を覚ましませんか?」

 静かな口調だ。

 貴婦人、としての威厳がある。


 リセルは無言で頭を下げた。が、内心では・・・舌打ちをしていた、「帰れなくなる」、と。

 夫人の方はといえば・・・なにか、妙に興奮している。

 頭の中では・・・オレの荷物が輝いていた。


 なにか気を引くものでもあったのだろうか?

 情報を展開しようとしたオレの注意が逸れた。


 夫人のあとに続いてもう一人入ってきたのだ。

 大きなお盆を捧げ持っている。

 お盆の上にはオレの荷物の古いポーチと服、それにカードだ。

 そして、その人物は・・・ミーレスだった。


 リセルおばさんの記憶はやはり当てにしてはいけないと思う。

 現物は人物図鑑で見た物より100倍綺麗だ。


 艶やかな青味のある銀髪に涼し気なブルーの切れ長の目。

 そして・・・胸が大きい。


 少なくともオレが生で見た中ではトップだ。

 リセルと同じ、メイド服の上からでもその存在感がわかる。

 侯爵夫人を後回しにしてさっそくタグを開・・・こうとした。


 あ・・・。

 声を上げそうになって慌てて飲み込む。


 彼女と目が合った。

 オレが起きていることに気が付いたらしい。

 オレはゆっくりと上体を起こした。


「ご迷惑をおかけしたようで、申し訳ありません」

 三人の中心に立つ侯爵夫人に頭を下げる。

 向うに指摘される前に動くのが得策だろう。


「あら、いえいえ、かまいませんよ。というよりこちらが巻きこんでしまったのですもの。詫びるのはこちらですわ」

 おほほほ、とあからさまに上品ぶって笑い声を上げる。

 あの口元に手の甲を当てて、少し上を向く、まさに貴族夫人のイメージどおりの笑い方だ。


「ありがとうございます」

 再び頭を下げる。


「お礼の必要はありませんよ。わたくしは今からあなたに頼みごとをしようと考えていますからね」

「頼み事、ですか?」

「ええ、この子をもらっていただけないかしら?」

 ミーレスが驚いた顔で夫人に目を向ける。

 この子、と侯爵夫人が指し示したのはミーレスのことだった。


「は? え? どういうことでしょう?」

 くれるというなら、もちろん拒否などあり得ないが、いったい何がどうなれば人をくれるなんて話になるのかが理解できない。

 犬や猫の子じゃあるまいし。


「詳しいことは申しませんが。先の騒ぎの原因がこの子にあって・・・もてあましているのです。正直、どこかに売り飛ばしたいぐらいなのですけど、遠戚の娘ですしそれはさすがに体裁が悪いでしょう?」

 体裁以前に人としてどうなのかと思うが、口にはしない。


「もちろん、それではこの子が不憫だとも思ってはいますよ? 奴隷に落ちた時点でこの程度は普通とは言え」

 あー・・・そうか。

 奴隷は人ではなく商品か道具、または家畜扱いか。

 奴隷の存在しなくなった世界に生まれ育ったので、その辺の実感が全くわかないが奴隷とはそういう存在なのかもしれない。


「それでどうしたものかと思っていたわけですが・・・あなた、先日降臨されたという勇者様の関係者でしょう?」

 先日? 昨日じゃなく?

 疑問を持ったが、現代日本のようにテレビやネットで速報が出るわけではない世界だ。

 噂話でしか情報伝達がなされないのだとすれば、日にちのズレは当然。


 むしろ昨日の今日で情報を得ているのがすごいと考えるべきか。

 すっと伸びた手が、お盆の上からカードを拾い上げた。

『異世界人』とはっきりと書かれている。


「先の騒ぎを起こした者たちも、勇者様と事を起こしたくはないでしょうから、あなたのそばに置けば安心できます。お代はいりませんわ。厄介ごとに巻き込まれていただこうというのですもの、無料で差し上げます。いかが?」

「そう、ですね。オレもまだ、この世界をよく知りませんし誰か側にいてくれればと思っていましたから助かります」

 事実だ。

 そんな建前がなくても、こんな美人をくれるという話を断るほどオレはリア充じゃない。


 だが、そういうことなら、少しでも儲けは大きくしたい。

 少し考えてみた。


「そういうことでしたら、いまひとつ。どなたか、わたしの身を引き受けてくださる方をご紹介いただけませんでしょうか?」

 身元引受人、後見人、保証人・・・この世界のこの国がどんな社会体制を採っているかはわからないが、なにかの時に後ろ盾になってくれる人がいて不利になることはあまりないはずだ。


『異世界人』というあるんだかないんだかわからない後ろ盾ではなく、ちゃんとしたものがあるにこしたことはない。

 翔平にはあまり頼りたくないし。


「! そのようなことであれば、わたくしにお任せなさい。このようなことになったとはいえ遠戚の娘を託すのですもの、何か困ったことがあればいつでも頼ってくださってよくってよ」

 背筋を伸ばし、見下ろすような態度で約束してくれた。

 もしかすると、誓約と言ってもいいかもしれない。


「・・・リセル!」

「はい、奥方様」

「イシュリアに、わたくしの『認証』を用意するよう伝えなさい。それとメルカトルを至急呼ぶようにとも。それが済んだら、あなたはもう下がっていいわ」

「かしこまりました、では、失礼させていただきます」

 落ち着いた態度で頭を下げたが、リセルの頭の中では家で待つ孫をあやす自分の映像が大迫力で上映されている。

 孫バカの祖母だったのか・・・頭の中を少し覗けると言っても、本当に少しでしかないということだろう。

 孫どころか子供がいることすら気付かなかった。


「あなたはとっとと自分の荷物をまとめなさい。これからはこの方が貴方の所有者よ」

「は、はいっ」

 急な展開に呆けていたミーレスが慌てて一礼し、速足で去って行った。


 厄介事が片付いた、なんて良い日でしょう!

 夫人の頭の中は見事にバラ色だ。

 自分の想い以上にうまくいっている事態に、踊り出したいほど機嫌がよくなっているようだ。

 貴婦人の体裁を壊さないよう自重はしているが。


 わずかな間が空き、ぱたぱたと足音が廊下を進んでくる。

 眼鏡をかけた女性が、封筒のようなものを持って部屋に入ってきた。

 タグを展開するとイシュリアと出た。

 この家の女官長という立場らしい。


「奥方様、お持ちいたしました」

 一礼して差し出された封筒を一瞥して、夫人がオレに目で合図をして寄越す。


「わたしの保護下にあるという証明書です。たいていの商家にはこれ一つで出入りが可能になるはずですわ」

 受け取れ、ということらしい。

 オレはベッドを降りて床に片膝をつくと恭しくその封筒を受け取った。

 その様子をティオリアが満足そうに見届けた。


「イシュリア。ダンドクを呼んで来てちょうだい」

「かしこまりました」

 なんか、ずいぶん目まぐるしく人が出入りするな。

 ちょっと疲れてきた。


 昔は王や皇帝は家臣を呼ぶためだけに数十人もの人間を使って権威を示したという。

 大臣に意を伝え、大臣が副官に、副官から役人に、役人から騎士に、騎士が使者に、使者が馬車を使うため御者を呼び・・・という具合に。

 格はぐっと下がっているが、貴族も特権階級としてそれに倣うのだろう。


 イシュリアとダンドクは十分経たずにやってきた。

 その間に、ミーレスが戻ってきている。


 着ている服がメイド服から薄手のチュニックに変わっていた。

 手にはよれよれの革製トランクが一つだけ。

 それで荷物は全てであるようだ。


 それと・・・首輪?

 首に鉄なのか、黒々とした首輪がはめられていた。

 ファッション・・・ではないだろう。ファッションセンスが皆無のオレでもわかる。

 だとしたら、やっぱり『首輪』なのだろうか?


「お呼びにございましょうか?」

 気にはなったが、質問できる場面ではない。

 意識を切り替える。


 ダンドクは、侯爵家の騎士団長だった。

 実用本位の鎧で全身を固めた武骨な男だ。

 ジョブの欄に騎士(上)とある。


「武器庫を開けて、この者たちに装備を一式お譲りしなさい」

「者たち・・・と申しますと、この奴隷にもとなりますがよろしいので?」

 騎士団長は慎重に確認した。


 なにか、すごく嬉しそう?

 夫人が答えようとしたが、それより早くドアをノック音が震わせた。


「メルカトルにございます」

 入ってきたのは、眼光鋭い中年男だった。灰色の髪で同色の口ひげを蓄えている。

 タグを見ると、ジョブは奴隷商人とある。


 夢にまで見た実物だ。

 男と生まれて、本好き(ライトノベルに傾倒している)であれば、金を稼いで足しげく通いハーレムを作るのを夢想しないわけがない。


 そうか。

 異世界に召喚されるとそういう特典があるのだった。

 異世界、いいかも!


「丁度よいところに。奴隷の転売をしたいの。手続きをしてちょうだい」

 そう言われたメルカトルの目が忙しなく夫人とミーレス、そしてオレを確認した。

 頭に浮かんでいるのは「転売するのか?」という驚きだった。


「承知いたしました。ではカードを書き換えさせていただきます」

 早くしろ、とばかりに夫人が自分のカードを突き出している。

 丁寧に頭を下げ、奴隷商人はカードの表面を指で叩いた。


「・・・これで、ティオリア様のもとからミーレスは離れましてございます」

「わかった、進めよ」

「ははっ」

 冷淡な夫人の反応にメルカトルは眉一つ動かさなかった。

 慣れているのだろう。

 次はミーレスだ。



『ミーレス。奴隷。女。16歳。戦士Lv3。所有者:ハルカ・カワベ。』



 次は当然オレになる。



『ハルカ・カワベ:異世界人。男。15歳。冒険者Lv1。所有奴隷:ミーレス。』



「お客様はミーレスの所有者となりました」

 ずいぶんと簡単な手続きだ。

 もう終わったらしい。『異世界人』というのを見て、少し驚いていたようだが、さすがに商人だ。

 見事にスルーして仕事に戻る。


 スルー出来ていないのはミーレスのほうだな。

 改めて目の当たりにして驚いたのか、真丸くなった瞳でオレを凝視している。


「所有しておられるあいだは年に五万ダラダの税金を納める義務が生じます。滞納しますと所有権をはく奪されますので、お金に余裕ができましたらこまめにお支払いすることをお勧めいたします。そのときには是非、当店をご利用ください」

 奴隷商人のメルカトルがオレに告げる。

 淡々とした営業口調で。


 オレは、ちらりと横を見た。

 所有権を手に入れたミーレスが立っている。

 それはもう最高に綺麗な子だ。

 顔は整っているし、なにより服の上からでもはっきりとわかる大きな胸。


 この素晴らしい女性がオレの奴隷・・・。

 おっと。いかんいかん。


 白昼夢を追い払い、メルカトルの言葉に耳を傾けた。

 カードが再び光を発している。

 住所らしき文字が浮かんだ。


 ・・・このカード。

 スマホ並みに情報伝達や住所の登録なんかもできるのか。

 万能だな。


「わかりました、その時はお願いします」

 オレは奴隷商人に対して頷いた。



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