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酒は飲んでも飲まれるな

Ep.2 姉が神だったらどうすりゃいいの…


「では、化け物さん、また次のイベントでお会いしましょう」

「了解です!お疲れ様でした!」

サイゲリアを後にした化け物は夜風を浴びながら都会の街を一人歩く。

魔法が発達した現代。多くのものは魔法により動いており、街燈や電車も走っている。都会は夜でも騒がしく、多くの店では酒飲みが騒いでいた。


「うぃ~ヒック。のみすぐたよおお。エバちゃん~~結婚してぇえぇえぇえ」

ドンッ!化け物は何かにぶつかる。

「キャッ!」

「うぃいぃぃいいえあ?あ、女の子?ごめんねぇぇぇえ…ヒック」

「う、うわ、おじさん、酒臭いですわね…って、貴方もしかして…」

ぶつかって尻もちついていた少女は立ち上がり、化け物の顔をまじまじと見つめた。

「うぃ~?あはは、お嬢ちゃん、エバちゃんだったのか~(?)可愛いなぁもう(?)」

「は、はぁ?なんでそんな…い、い、いや貴方もしかして、あの有名な最強の冒険者フォートなんじゃないですの!?」

王国には冒険者と呼ばれる者たちがいた。彼らは魔法の力を利用し、未開拓の地を開拓したり、魔王の支配する国との戦争をしたりして得た報酬で生活を送っている。その中の一人、フォートと呼ばれる冒険者は「王国最強」として有名だった。

フォートは素顔を見せない。いつも黒いローブと黒いマントを身にまとい、何故か全身真っ黒である。戦闘以外でほとんどその姿を見かけない、どのような私生活なのか。

いつもどこかで、誰かがフォートのことを話題に挙げていた。何といっても彼は冒険で得た報酬額が歴代冒険者の中でも最高額なのだ。これは、彼は今までで一番の、最強冒険者であることを意味する。

「この人、私が昔一度だけ見た、フォートの顔にそっくりですわ…」

「エバちゃ~ん、結婚して~」

「ア、アイドルのエバのことを言っているのですか!?私はエバではありません!髪の毛の色も違うでしょう!?私は新人ですが冒険者です。女だからってなめているとたたき切って…」

「エバちゃんじゃないなんて、たえ、られ、ない…」

泥酔したフォートは大泣きしながら少女の腰に抱き着き奇声を発する。

「ちょ、ど、どこさわって!」

「うわああああああああああああああ!!エ、エバちゃん!!無視とは何事か!?」

「む、無視なんかしてな」

「う、う、うえああああああああ!!エバちゃん…エバちゃん…う、うう、ひぐ、ひっひっひっぐ…う、うえ、おえええ…」

「いいかげんに…しなさい!!」

少女は腰につけていた剣を鞘ごと引き抜き、フォートのことを思いっきり殴りつけた。

「うごごごごご…お?」

頭を強打されたフォートはよろめきながら近くの電柱によりかかる。少し正気を取り戻したようだ。

「お、おお?お前誰だ?」

「はぁ、はぁ、あ、貴方私に何をしたか覚えてないんですの…?」

「ぇあ?何か…やっちゃいました…?」

「セクハラですわ!セクハラ!状況を理解してください!私がここで叫べばあなたは牢獄行きですのよ!?」

「ななななな、なに、何言ってんだおま、お前!?か、金か!?今流行りのおぢさん狩りってやつか!?」

技術が発達した現代において、個々人はス魔ホを用いてSNS(凄いネットワークサービス)にアクセスし多くの人に情報を発信できるようになった。それに伴い、少しでも不快に思えばSNS上で共感者を募り、「我々に不快な思いをさせた人間を大人数で叩きのめす」ことが可能になった。既存のモラルは時代と共に変化したのだ。特に社会体に弱いと一般的には言われる立場の者は、それを利用して「たたきのめし」をし易いという構造になっているため、特に弱くないものが弱いふりをして暴れるといった始末…。特に少女は「かよわい」立場を利用し、年配男性を脅して金品を巻き上げる事例が数多く報告されている。

しかし、フォートには金が無かった。周りには言っていないが、儲けたお金はすべてエバを推すことに消えている。ここで金を巻き上げられるわけにはいかない。

「かかかかか、金はないんですうううううううう!!ゆ、ゆ、許してくださいいいい!!」

「別にお金なんか…あなた、冒険者ですわよね?」

「!?な、なんでそれを…?」

「え、えーとそれは…私は天才冒険者ですからね、わかってしまうのよ!」

「た、確かに俺は冒険者だが…金はないぞ!!」

「なんであなたほどの人が貧困しているんですの…まあいいわ、私は冒険者として強くなる必要があるんですの」

「は?」

「私には神のように崇拝している姉さまがいますわ。姉さまを守れるくらいに強くなりたい」

「お、おう」

「だから、私をあなたの弟子にしなさい!!」

「うえええええええええ、嫌すぎ」

フォートははいつくばってその場を離れようとする。

「今すぐSNS上であなたのことを晒上げますわよ?」

「わ、わかった!落ち着け!!で、弟子だな!弟子ちょうど欲しかったんだ!」

こうして、フォートに一人弟子?ができた。

「私はシュメリア!王国最強になる冒険者ですわよ!」

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