~グリーンジャムを添えて~
第1話(一) 秋暑の候から
[特集1.お茶屋も唸る本格派! 珈琲だけじゃない一風変わったメニューをJapanese純喫茶で「喫茶グリーンジャム」
若き店主に伺った!こだわりの詰まったお店は、祖父母の代から孫の代までと続く思い出の詰まった場所だった。]
雑誌の特集が組まれてから1年あまり。お客が途絶えない日は無かった。
はい、グリーンジャムトーストのセットをお二つですね。
お飲み物はいかがなさいますか。……蒼寝紅
えぇっと。。私はオリジナルブレンドで……お客A
僕はグリーンティーで……お客B
かしこまりました……蒼寝紅
"カランカランカラン"
すいませーん……お客CDF
"はーい、いらっしゃいませ"……蒼寝紅・???
祖母の時代まで遡って、時代は高校生……。
グラスの曇りも取れなくなってきたなぁ。これもそろそろ寿命か。
"カランカランカラン"
おはよう、ハルキ。いらっしゃい。……蒼寝紅
おう、おはよう。……南春季
ハルキくんおはよう。今日も二人で当校かい?……常連の山田
あ、おはようございます。そうっす。……南春季
そうだよー。……蒼寝紅
毎朝のこの景色だけは昔から変わらない。もうずいぶんとお客は減ってしまったけれど。
紅、もう行きんしゃい。……蒼寝碧
あとは、ばあちゃんが面倒見とっから。……蒼寝碧
碧さん、わしはまだボケちゃいないよ。せめて接客って言ってほsh。……常連の田中
あら、そうかい。
はい、コーヒーお待ちどうさま。……蒼寝碧
あぁ、、はいはい。どうもねぇ。……常連の田中
田中さんごめんね、もう行かなきゃ。ばあちゃん、田中さん行ってくるね。……蒼寝紅
「”いってらっしゃい”」……蒼寝碧・常連の田中
最近じゃあ、感覚も怪しくなってしまって……常連の田中
手に慣れたマグにカウンター、目が見えんくなってもここでは珈琲が飲めるだろう。
最近じゃあ、いつどうなるかもわからん。もう知っている人より知らない人の方がたんと多い住宅に街。
おいしいね。……常連の田中
もはや覚えているものしか味がわからないような気がするけれど、ここはまだ覚えている。来たい思う味と思い出を。
そうかい? あの子もいい味出すようになったでしょう?…蒼寝碧
まだ見えるよ。いるんだね、まだここに。……常連の田中
私もね、、写真がね。ここに置いてあると、あの人が。まだ立っていてくれてる。そんな気がしてね。……蒼寝碧
よく自慢してたからね。……常連の田中
「俺の孫だ」って。私の孫でもあるのにねー……蒼寝碧
なんべん聞かされたかしれない。俺が撮ってやったてのに……常連の田中
えぇ、そうねぇw 私ら意外に自慢する人なんていないくせにね……蒼寝碧
写真に写るのが嫌いな彼が唯一、亡くなる前に紅と店の前で撮った写真である。撮影:田中