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妹注意報!うちの妹は、干物ときどき天使!?  作者: こりんさん@クラきょどコミック5巻12/9発売!


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第7話「初対面」

 約束の放課後がやってきた。


 ちなみに昼休みは、あのあと教室へと戻るや否やクラスのみんなに囲まれてしまったのは言うまでもなく、俺は魔王だの何だのと言いたい放題ずっと尋問された。

 それでも、きっと柊さんは楓花と仲良くなりたいという話を聞かれたくなかったからこそ、わざわざ俺を呼び出したのだと思うから、俺は何とか適当に理由を誤魔化しておいた。

 幸い、みんなも俺なんかがあの四大美女と何があるなんて微塵も思わなかったようで、何かあったわけじゃないと分かると無事に解放されたから助かった。

 ……いや、それはそれで悲しい気がしなくもないのだが。


 とりあえず、俺と柊麗華の間に男女の云々的な何かがあったわけではないという事だけははっきりと伝えておいたため、それだけ確認出来れば良かったのだろう。


 まぁそんな事はいいとして、本当の問題はこれからである。

 このあとついに、四大美女と呼ばれる二人が初対面する事になるのだ。


 まだ楓花には何も言っていないのだが、あいつの事だからどうせまた俺と一緒に帰ろうと、勝手にうちの教室へ来るだろうと思っていると――。


「あ、いたいた。帰るよ良太くーん」


 教室の入り口から、友達を呼ぶ感じでさも当たり前のように声をかけられる。

 そう、案の定今日も楓花は、我が物顔でうちの教室へとわざわざ迎えに来たのであった。


 そんな楓花の姿に、今日も教室中の視線が集まる。

 これが二回目だからとかは全く関係なく、ただそこにいるだけで、会話中だった人や帰り支度中だった人も、全員が引き寄せられるように視線を向けずにはいられない存在。


 そしてどこからともなく、まるで本当の天使を見たように「おぉ……」という感嘆の声まで漏れ聞こえてくるのであった。

 それ程までに、楓花の周囲に対する影響力には計り知れないものがあった。

 そしてそれは、俺も今日、同じ四大美女である柊麗華を前にして痛感したため、今ではそうなる気持ちは正直よく分かった。

 俺にとっての楓花が特例すぎるだけで、四大美女というのは本来そういう存在なのだと。

 だからこそ、そんな四大美女がまだ他に二人もいるなんて、一体それがどんな女の子なのかなんて全く想像も出来ないのであった――。


「おーい、良太くーん?」

「はいはい、分かったから」


 催促する楓花に返事をして、俺は鞄を持って立ち上がる。

 こうして今日も、周囲からの嫉妬や羨望といった様々な視線を全身に浴びながら、兄妹揃って下校するのであった。


 全く、いつまでこんな事を続けないといけないんだろうか。

 楓花ももう高校生なのだ。だったら、さっさと彼氏ぐらい作ってくれたら…………いや、それはちょっとあれだな、うん。


 ――いや、そうだ! これから会う柊麗華と仲良くなってくれれば、それが一番丸いじゃないか!


 女の子同士、そして四大美女同士一緒に帰るような仲にさえなってくれれば、それが一番自然だ。

 そう思った俺は、自分の自由と平穏を取り戻すためにも、これからの展開にちょっと期待しながら校門へ向かって歩く。

 しかし、そんな企む俺に気が付いたのか、楓花は少し訝しむような表情でこっちを睨んでくるのであった。

 こういうところだけは、無駄に鋭かったりするんだよなぁ……。



 ◇



 そしてついに、俺達は校門の前へとやってきた。

 校門の柱のところには、約束通り柊麗華の姿があった。


 遠目に見えた段階から、やはりその美貌は人の目を惹き付けるため、そこにいるのが柊麗華だというのはすぐに分かった。

 そして、柊麗華とバッチリ目が合ってしまった俺は、やっぱりちょっと緊張しながらも予定通り話しかける。


「あ、柊さんお待たせ」

「いえ、そんなに待ってはおりませんので」


 なんとか自然な感じで話が出来た……と思う。

 しかし、その瞬間俺の制服の裾をグイッと強く引っ張られる。

 少しよろつきながら隣を向くと、そこには物凄い顔をした楓花の姿があった。


 俺と柊麗華の顔を交互に見ながら、楓花は何故か戸惑っているけど怒っているような、絶妙な表情を浮かべているのであった。


「――な、なに!?」

「あぁ、悪い楓花、こちらは柊麗華さんだ」

「初めまして、楓花さん」


 戸惑う楓花に対して、とりあえず俺は柊麗華を紹介した。

 柊さんも、俺に合わせて優しく微笑みながら楓花へ一礼するのだが、楓花の困惑は落ち着くどころか更に加速していく。


「――えっ!? ふ、二人は、ど、どういう関係なの!?」


 思わず出てしまったような、そんな一言。

 その一言で、どうやら楓花がとんでもない誤解をしている事が分かってしまったのであった――。


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