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妹注意報!うちの妹は、干物ときどき天使!?  作者: こりんさん@クラきょどコミック5巻12/9発売!


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第57話「いつもの集まり」

 今日も一日授業を受け終えると、俺達はいつものカフェに集まる。

 先に星野さんの姿があり、俺達が到着したことに気が付くと、それはもう嬉しそうに微笑みながら手を振ってくれた。


 そんな風に、金髪碧眼の美少女に手を振って貰える身内感というか、それだけで何とも言えない優越感みたいなものを感じてしまう。

 周囲に対して、あの子は俺達のことを待ってくれてたんだぞってね。


 そして俺達の到着から少々遅れて、如月さんもカフェへとやって来た。

 やはり一人だけ距離が離れてしまっているのだが、それでもこうして来てくれることが嬉しかった。

 そんな如月さんも、特徴的な銀髪に赤みがかった瞳は現実離れしているというか、神秘的な美しさを感じてしまう。


 でもそれは、一緒に来た柊さん、そして妹である楓花も同じで、ふとしたタイミングで彼女達がこの町の四大美女ということを何度でも分からされてしまうのであった。


「……あの、良太さん。隣いいですか?」

「あ、うん。どうぞ」


 何故か立ち上がった星野さんは、そう言って俺の座っている隣のテーブル席へとやってくる。

 美少女からの急なそんな申し出を断れるはずもなく、俺は簡単にドキドキさせられてしまう。

 でもよく考えてみれば、ここにいるそもそもの理由が星野さんの人間リハビリなのである。

 だから星野さんは、その延長戦で俺とだけ話したいようなことでもあるのだろうと思うと、現実は悲しいかなしっくりくるのであった。


 しかし、その星野さんの行動がキッカケとなり、この場は急に荒れることとなってしまう――。


「わたしも、今日は良太くんの隣がいい」


 まず初めに、何故か星野さんに便乗する如月さん。

 その目的は分からないし、表情はやっぱり無表情なのだが、どこか思い切ったような色が見えるのは気のせいだろうか……。


「ちょ、ちょっと! なんでよ!」


 そしてそうなると、妹の楓花も黙っていない。

 お兄ちゃんっ子の楓花的には、兄を取られるような思いなのだろうか。

 それは俺からしても可愛いなと思える部分ではあるのだが、もう高校生なのだからやっぱり兄離れはすべきだと思う。


「では、わたしもそっちに行きましょうかね」


 まぁ普段なら、ここで良い感じに仲裁してくれるのが柊さん。

 しかし今回は、悪ノリでもするように便乗してくるのであった。


 こうして、楓花以外の三人が俺の座るテーブル席へ移動してきた結果、楓花だけが元いたテーブル席にポツンと一人残されてしまうのであった。

 

「ちょ、ちょっとぉ!」


 何とも言えない表情で悔しがる楓花。

 その姿はちょっとかわいそうでありつつ、楓花が一人敗けをするという珍しいパターンに少し笑えて来てしまう。

 でもまぁ、楓花一人だけ離れているのは流石にかわいそうだから、俺は自分の机を楓花の方へ寄せて、五人で座れるように機転を利かせた。

 というか、最初からこうしておけばよかった。


 こうして、結局くっついたことで星野さんと逆側で俺の隣になった楓花は、それはもう勝ち誇ったような表情を浮かべつつ、しれっと俺の膝の上に手を置いてくるのであった。


 それは兄妹だから許される所業なのだが、俺の膝の上に置かれた手は他の三人の注目を浴びる。

 そして何を思ったのか、逆サイドの星野さんも「えいっ!」と一言気合いを入れつつ、同じように逆の膝の上に自分の手を置いてくるのであった。


 ――ちょ、え!? なにこれ!?


 四大美女に挟まれて、二人から膝の上に手を置かれる俺。

 それはもしかしなくても、傍から見ればエンペラーそのものだと自分でも納得してしまう――。


 楓花はともかく、顔を赤らめながら密着してくる星野さんに、俺の鼓動はドキドキと高鳴り出してしまう――。


 そして、何故か睨み合う楓花と星野さんに、目の前には如月さんと柊さん。

 無表情の中にも、憤りの色が見える如月さんに、張り付いたような笑みを浮かべる柊さん。

 そんな二人からの圧も相まって、変な汗が流れ出す俺――。


「あっ、そ、そうだ! そろそろGWだね!」


 だから俺は、慌てて話題を振る。

 早いもので、今週末からいよいよGWが始まるのだ。

 彼女達にとっては、これが高校生活で初の連休だ。

 きっとやりたいこととか色々あるに違いない。


「りょ、良太さんは、何か予定あるんですか?」


 すると星野さんが、すぐに話に乗っかって来てくれた。

 助かったと思ったのも束の間、超至近距離で顔を見上げるように語りかけられるのは、やっぱり破壊力が凄まじい……。


「い、いや、俺は特に予定はないから、Vtuberでも見てのんびり過ごそうかなーって」

「Vtuber……いいですねっ!」


 俺がVtuberという単語を出したことに、その青くて綺麗な瞳をキラキラとさせながら、星野さんはとても嬉しそうに微笑んでくれた。

 何を隠そう、彼女こそがあの人気Vtuber桜きらりちゃんの中の人なのだ。

 だから当事者として、喜んでくれているのだろう。


「……また良太くんは」

「な、なんだよ?」

「別にぃ……」


 すると、急にまた不機嫌になる楓花。

 何がそんなに気に食わないのか分からないが、どうせ楓花もすることがなくて、結局兄妹一緒に過ごすことになるのが毎年の恒例なのだ。


 そんな掴みどころのない会話を展開していると、閃いたように柊さんが口を開く。


「じゃあ、みなさん宜しければ、うちの別荘に遊びに来ませんか?」

「え、別荘?」

「ええ、毎年行っているんです。だから皆様も、宜しければ」


 どうやら別荘というのは、本当にあの別荘なようだ。

 何となく生まれが良いんだろうなとは思っていたけれど、生まれてこの方別荘持ちの人なんて会ったことがなかったため、素直に驚いた。


「近くに川もあるので、そこでBBQとかも楽しめますよ」

「よし行こう!!」


 BBQと聞いて、ガッツポーズをしながら行くことを即決する楓花。

 まぁそんなお調子者の楓花は一旦置いておくとして、俺は残り二人の反応を窺う。


 如月さんは、何かを考え込むような素振りを見せていたのだが、俺のことを見ると何か良いことを思いついたように無表情の中にも薄っすらと笑みを浮かべる。

 そして、「分かった、行くわ」と一言返事をする。


 そして星野さんはというと、恥ずかしいのかもじもじと悩んでいるようだった。

 でも柊さんの「星野さんはどうかしら、ご一緒できると嬉しいのだけれど」という一言が嬉しかったのか「……それじゃあ、行きます」と恥ずかしそうに即答するのであった。


 こうして、四大美女と呼ばれる彼女達が、このGWは一緒に過ごすことが決定した。

 まだ知り合って日も浅いのだが、こうして彼女達が自発的に繋がり合っていることが嬉しかった俺は、うんうんと一人頷きながらみんなの背中を押すことにした。


「良かったね、みんな楽しんで来いよ!」


 女の子だけ水入らずで、目一杯楽しんできて欲しい。

 こうして彼女達がなんやかんや仲良くやれている事に満足しながら、そう一言だけエールを送った。


 しかし、俺の一言を聞いた四人は一斉に俺の方を振り向く。

 そして四人とも、まるで信じられないものでも見るような目で俺のことを見てくるのであった。

 他の三人ならまだしも、柊さんまでそんなリアクションをしてきたのは、正直ちょっと意外だった――。


「いやいや、何言ってるの良太くん」

「同じく」

「りょ、良太さぁん……」

「――ちょっと驚きました」


 そして四人は口々に、俺に向かって思い思い言葉を投げかけてくる。


 ……まぁ俺も、そこいらのラブコメ鈍感主人公とは違うのだ。

 だから彼女達が、何故そんなリアクションを向けて来るのかぐらい分かっているつもりだ。


 でも、よく考えて欲しい。

 女の子四人の中に、男が一人混ざって旅行に出掛けることが出来るなんて、それこそラブコメのハーレム主人公ぐらいなもんだ。

 現実では普通にハードルが高いし、行ったところで絶対にどうしていいか分からなくなるに決まっている。

 しかも相手は四大美女、どう考えても気軽に「俺も行くー!」なんて言える状況じゃなかった。


 だから俺は、正直別荘にはちょっと興味があるけれど、今回はしれっとフェードアウトするつもりだった。

 けれどどうやら、彼女達はそれを良しとはしてくれないご様子……。



「――ほ、ほら、俺男一人だし?」

「何言ってるの、今だってそうじゃん」

「たしかに」

「りょ、良太さぁん……」

「ちゃんと部屋も別々で用意できますし、そこまで気になさらなくても大丈夫ですよ?」


 他はともかく、最後の柊さんの建設的な一言が一番効いた。

 こうして逃げ道を塞がれた俺は、気軽にノーとは言えなくなってしまう――。


 そしてさっきから、俺の腕を掴みながら泣きついてくる星野さんにいたたまれなくなってしまった俺は「……分かったよ、行って大丈夫なら行くよ」と力なく返事をするしかなくなってしまうのであった――。


 その結果、俺の返事を聞いた四人は一斉にパァっと表情を明るくさせたかと思うと、嬉しそうにハイタッチをし合って喜びを分かち合うのであった。

 そんなに俺が行くのが嬉しいもんかねと少し呆れながらも、そうして喜んでくれるのは悪い気はしない自分がいた。


 こうして今年のGW、俺は四大美女達と一緒に、柊さんの別荘へと遊びに行くことになってしまったのであった。



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