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妹注意報!うちの妹は、干物ときどき天使!?  作者: こりんさん@クラきょどコミック5巻12/9発売!


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第42話「テーブル席で」

 俺と星野さんが向かい合って座る。

 それはさっきまでと同じなのだが、俺の隣に楓花、そして星野さんの隣には柊さんが座る形で、この四人掛けのテーブル席は埋まる形となった。


 つまり、前を見れば美少女、その隣にも美少女、そして隣を見ても家族ながら美少女――。

 そう、改めて思えば、この席の俺以外の三人はこの町で四大美女と呼ばれる美少女達なのだ。

 そんな中、普通の男子高校生である俺がポツリと一人混ざっているのだから、今更になって居辛さみたいなものを感じてしまう……。


「えっと、もし違ったら申し訳ありません。――星野さんって、もしかして星野桜さんですか?」

「え? は、はい! そ、そういう貴女は――柊麗華さん、ですよね?」


 隣に座った柊さんと星野さんが、お互いの名前を確認し合う。

 今日が初対面にも関わらず、お互いのフルネームが分かったということは、もちろんお互いの存在を知っていたから。


 聖女様と大和撫子――。


 この町でそう呼ばれる四大美女の二人は、少し驚くように互いの顔を見つめ合う。

 お互いが相手のその優れた容姿から、こうして誰なのか予測が的中してしまうのだから、四大美女という存在が本物だということを意味していた。


 こうして互いを認識し合った彼女達は、初めましてと嬉しそうに微笑み合う。

 思えば、以前柊さんは自分と同じ境遇の楓花へ興味を持っていたのだから、それはきっと星野さんに対しても同じ思いを抱いているはず。

 そしてそれは、星野さんも同じ気持ちなのだろう。

 柊さんと知り合えたことを喜んでいるのが、その表情に分かりやすく表れているのだから。


 そんな、出会えたことに嬉しそうに顔を見合わせる二人の姿。

 それはやっぱり、ただただ美しくて、どこか神々しさみたいなものまで感じられるのであった――。


 だが、同じ四大美女のもう一人――お隣の大天使様はというと、まだここにいる件を納得はしていない様子だった。

 浮かべるぶすっと不満そうな表情は四大美女台無しだし、テーブルの下では俺の足をゲシゲシと蹴ってくるのである。


「――ふーん、可愛い子だね」

「ん? ああ、まぁ」

「どこで知り合ったの?」

「あー、えっと……この間の週末、買い物に出かけた時だよ」

「え、あの日!?」

「そう、あの日」


 まぁここで下手な嘘を付く必要はないだろうと、俺は素直にいつ知り合ったのか答える。

 すると楓花は、蹴っていた足をピタリと止めると、何だか物凄く驚くように俺の顔をまじまじと見てくるのであった。


 ――いや、そんなに驚くことか?


 その謎のオーバーリアクションに、俺までちょっと驚いてしまう。

 しかし、思い返しても今の話に不味い要素なんてどこにも無いはずなことを再確認する。


 すると楓花も、驚いたかと思えば今度は後悔しているような、よく分からない表情を浮かべ始める。

 そんな表情のコロコロ変わる楓花の様子に、俺はもう考えるのを止めた。

 俺が考えてもよく分からないし、何かあればこいつは直接文句を言ってくるはずだからと……。


 そんなわけで、改めて三人の姿を見ていると、俺の中で新たな考えが生まれる。

 それは、目の前で急接近した星野さんと柊さんと同じように、楓花も仲良くなれれば全てが丸いんじゃないかと。


 だって彼女達は、同じ四大美女だから。

 今の集まりだって、人間リハビリが目的なのだ。

 そういう意味で言うと、柊さんはともかく、楓花だって中々対人スキルが低いと言える。

 ランクF……いや、EかDぐらいなもんだ。


 だから、ここで三人が仲良くなることは星野さんはもちろん、楓花にとってもきっと良いこと。

 現に柊さんとは仲良くなれているのだし、まさしくWIN-WINってやつじゃないか。


 ――まぁでも、ここは様子を見るべきか。


 そこまで思い至って、俺は一度冷静になる。

 なんてことない、ここへ来ることを二人へ言わなかった理由と同じだ。

 星野さんから望まれない限り、俺が勝手に首を突っ込むのはやっぱりルール違反な気がするから。

 だからここは、星野さんと楓花、二人の自発的な歩み寄りに期待するしかないと思っていると、なんと星野さんから楓花へ話しかけてくれた。


「……あの、楓花さん。初めまして、星野桜です」

「あ、うん……は、初めまして」


 星野さんは、柊さんと会話が出来たことを弾みに、勇気を出して自分から楓花へ話しかけてくれた。

 そういう意味では、きっと今も星野さんの中では人間リハビリ実行中なのだろう。


 しかし、予想外だったのは楓花の反応の方だ。

 さっきまで、割と不貞腐れながら俺の足をゲシゲシ蹴っていたくせに、いざ星野さんに話しかけられると急に大人しくなってしまったのだ。


 その様子は、緊張している感じというよりも、どちらかと言うとバツが悪いといった感じ。

 先程勢いで、星野さんに対して失礼な発言をしてしまったことに、罪悪感みたいなものを感じているのだろう。


 だがその結果、星野さんはあわあわと慌て出す。

 柊さんとは上手く自己紹介し合えたのだが、楓花とはギクシャクしてしまったことで続きの話が思い浮かばないのだろう。


 ――顔は可愛いのに、本当に二人とも残念コミュ障だよなぁ……。


 星野さんは星野さんで、配信では普段あんなにもハチャメチャなのに、現実ではここまでコミュ障なのかい! と思わずツッコみたくなるほどの内気っぷり。


 そして、そんな気まずそうにチラチラ見合う二人の姿を、一歩引いたところで面白そうに眺める柊さんという、気が付けばこのテーブル席は随分とカオスな状況に陥ってしまっているのであった――。




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