序章
すでにそこには何もなく、何もあることを許されるず、
そこにあったのはただ二人
互いに余力もなく、あと少しでどちらかが、あるいはどちらもが死へと至る。
そんな状態であった。
『君は何で世界征服?世界を滅ぼそうとしたんだい?』
【何を、そのようなことに答える意味があるのか?】
『今さらかもしれないけど、戦う相手が何を考えているのか知っておきたくてね。』
【知れたこと、我らの世界を作るためだ。
今の世界に我らの居場所はない。
ならばこの手で掴み取るのみ、ただそれだけのことだ。】
『…共に生きるという選択肢はなかったのかな?いやなかったんだろうね。』
【いかにも、我らは違うものだ。
どちらかのみがこの世界に生きることができる。
貴様らが我らを邪悪と呼ぶのと同様に、我らは貴様らを邪悪なものだと思っているのだ。】
『ならせめてこれで終わりにできるといいんだけどね。』
【…ここで決着がついても所詮は一時のものだ。この戦いはどちらかが完全に滅びるまで終わらぬ】
『僕は次の世代には夢を見たいね。』
【貴様らは瞬く間に死ぬ、だからわからないのかも知らんが、我らにとっては続いていることなのだ。夢さえ見れんよ。
結局は違う存在が分かり合えることなどないということだ。】
『戦ってしまった僕には何も言えないけれど、それでもって思うよ。僕にとっては次の世代、君にとっては仲間に夢をみたいと思うよ。』
【ここで死ねば夢など見れん】
『なら夢を見るためにここは勝たせてもらおうかな。』
【くだらん理由だ。】
『戦うには十分な理由さ。』
その戦いは世界の在り方を決めるために、
互いに譲れなかったために、
それは………