俺らの前世は異世界人? ~とある冒険者パーティーが、ちょっと困った話~
困ったことになった・・
ここにいる4人が、同じ人物の人生を夢の中で見たと言うのだ。
しかも二人は女性だし、種族も違う
え、もしかして元はお前らと俺、同じ人ってこと??
よくよく聞くと、皆同じタイミングで違和感を感じ、昨夜の夢でーってことらしい。ちなみに、そのタイミングと言うのが・・
昨日、1ヶ月以上もかかった迷宮の探索がようやく一段落。そこで手に入れた秘宝やら報酬とやらがかなりの金額になった。それは4人で分けても相当なもので、装備の更新や修理、消耗品などの補充、自分達へのご褒美をかなりの額使っても余った。・・ってことで、どうせなら豪華な夕食を行きつけの食事処で用意してもらって、飲み食い倒れようぜー! って話になったんだ
ある程度食いまくり、飲みまくって落ち着いた頃、食事処のおやっさんが試作品のサービスだとか言って冷たいデザートをくれたんだ。それを食べようと俺がスプーンを持った時、
他の皆と同じタイミングでくしゃみした
どうもその時が恐らくキッカケらしい
「ふぇっ、へっっくしょん」
「クシュン」
「ぶぇーっくしょん」
「グブーブッ」
4人してくしゃみが揃って、おいおいお前ら仲良しか? お前もな! 的な感じで大爆笑したんだが、どうもその時から頭の中に違和感・・というかなんと言うか・・説明しにくいんだが、なんかモヤモヤーっとしたものが頭に流れ込んできてるのを、なんとなーく感じたんだ
それぞれ、風邪かな? 迷宮の中めっちゃ寒かったけど、外に出たらポカポカ陽気だったしねーと、デザート食べながら話してた。でも、ゲプクルルゴグルブ(念の為、睡眠時間を長めに取ることを推奨する)、まぁ食い過ぎたし今日はとっとと寝るかーって話になって、その場はお開きになったんだ。んで、それぞれの部屋でぐっすり寝た時に、その人物の追体験的な夢を見たらしい。と言うか見た
俺たち冒険者というのは、少しの違和感でも見逃さない。そして、見逃させない。同じパーティを長く組んでいるならば尚更だ
微妙な夢を見てなんだか落ち着かなかった俺は、朝御飯で皆が集まった時に、この夢を皆に相談しようと思った。そんな俺が周りを見渡したら・・おいおい。皆が皆、同じような深刻な顔をしているじゃないか
参ったな、こりゃ。まー俺のは笑い話にも出来そうだし、少し軽めな感じで俺から切り出そう! と、リーダーである俺が相談を始めたら、それ私も俺もグルルブ (わたくしも) となったのだ
そして、意識の擦り合わせというか、内容の再確認というか・・それぞれの夢の内容を確認しても全く同じ。その人物の外見も何もかもを聞いても全く一緒。こりゃまいった! となって今に至るわけだ
(ただ、名前は分からなかった。冒険者タグのようなものも付けてなかったが、何より文字が読めなかった)
内容的には、よく分からない出来事や、遺跡などでたまに発掘されるキカイとか言われるのを延々と弄ってたり・・まぁ、1割も理解は出来なかった。一番そういうのに詳しい姫様だって、理屈が不明過ぎてほぼ不明、知識として活用するのも難しいとのことだ
ただ、俺も理解出来た・・と言うか、出来てしまったと言うか・・うん。アレだ。キカイとかは訳分からんが、絵とか声とか動きとか・・まぁ、視覚や聴覚に関することは分かるんだわ。その内容がまた・・色々と男の欲望らしい、男なら分かる、男にしか分からない! まさにエロス!!
街中では女の子の姿をねっとり見てたし、姿や年齢も違うであろう様々な女性達をモチーフにした動く絵? もよく見てた。スゴくよく見てた。そして詳しくは語らないが、あいつは独りで楽しんでた・・まぁ、それを俺らが見てるとか、絶対に思ってないよなっ!
まったく・・俺ともう一人の男はまだ良い。俺は人族こいつはエルフ族で、夢のあいつの年齢も多分おんなじくらいだったしな。でも、同じエルフ族でも女の子や、リザード族のお姫様にまで同じ夢を見せる事はないよなぁ・・ホント
ま、そんな悲しい理解はどっか遠くに置いておきたいのが山々だったんだが、皆同じ内容の夢見てるしなぁ・・極力話題に挙げたくもなかったが、なんせ夢の半分近くがそれ関連だ。よほどハーレムとやらに夢を持っていたんだろうな・・案の定その内容の話になると女性陣の顔はとても微妙だ。とてつもなく微妙だ。街にいる可愛い女性を見るだけで目の保養が出来る、そんな気持ちなんてのは俺ら男性陣にしか分からん!! え、こらお前、目をそらすな!
ま、まぁ、これでこの話は終わり・・としようとした
が、
「貴方もそのように姫や他の女の人を見ているのですか? 私だけでは満ち足りないと、そのように感じているのですか? 」
とか、
「グブグル、グクグブグク、ゲブブゴグルブグ。ククグルルッ、ルクップゲゲルル、クッブゴブルルゲブ」
(発情状態の改善や、種の保存という点ではある意味理解は出来るかもしれないが、ハーレムなどは前時代に廃れた風習である。貴兄らもあのような非効率的、非現実的な行為を希望しているのであれば問題であり、今後の付き合いをも考える必要があると愚考する)
とか・・
もう、男としては否定したいがある意味で否定しがたいような・・男2人して微妙かつ神妙な顔をして否定したり上手く流したりして、女性陣からの尋問をやり過ごすしかなかった。くっそー! 会ったことも無いってーのに、夢のアイツの援護とかしたくもねぇ! もーほんと迷惑としか思えん!!
まったく・・そんな事、ちっとも考えたこと・・・・・・
うん、無いよ? 無いからさ、そんな目で俺をミナイデエェェ
と、まぁ、言葉と視線で吊し上げにあった俺を含めた4人の話し合いは数時間に及んだ
あの話し合いから一週間
そんなこんなはあったが、俺たちは今日も冒険者だ
あいつが使ってたキカイらしきものの作製など俺らに出来るわけもなく、食べてたものや着ていたものは勿論、あいつのやっていたほぼ全ての行動についても根本的に理解が出来ない。しゃべってた言葉すら分からなかったしな!
まったく本当に無意味な記憶である
結局は、何事も変わらず。俺たちは俺たちで前に進もう
とまぁ、そうなった
ただ、話し合いをした日から、俺にだけ女性陣からの視線が少し冷たい気がする・・いや、気のせいだろう。気のせいだよね?
「さてと、皆の準備も出来たし、食糧も竜車に詰め込んだ。それじゃ南方の砂漠地帯で見付かったっていう遺跡の調査に行くかー! 」
「砂漠って装備の隙間に砂が入り込んじゃって大変なのよねー 」
「はぁー。昼は暑いし夜は寒い。あーいやだいやだ。これが王家の依頼じゃなきゃ断るのになぁ」
「グブゲ。ゲブグルルガ」
(そう言うな。これもまた有名税というやつだ)
あれからあの夢は見ていない。そして、俺たちの関係も変わっていない
元から異様に息ピッタリすぎるパーティだったしなっ! 神官共が言う命の運び手ってやつが、俺らに押し付けたイタズラ、きっとそういう事なんだろう
悪いな。俺には、俺たちには、お前の居場所を提供できそうにもない
だからさ。俺らの来世ってのに期待して待ってろや
一回出来てんだから、もう一回くらい、な
神:予備の予備の予備まで用意したのが失敗だったかのぅ
男:あんな記憶を見られたら、もう絶対出られない! 来世こそハーレムを・・