刹那の夢・久遠の運命(さだめ) 6
体育倉庫
下手側に倒れている水晶
水晶:……あー、よく寝たぁ~~っ。あれ? ここ体育倉庫?
そーよ、私、閉じ込められて……ちっ、まだ鍵が開いてないや。
いつになったら出られるのかなぁ? 眠たい……
そういえば何か夢を見てたっけ? どんなんだったかなぁ~~。
何か物音
水晶:アクアマリン!? ……アクアマリンって宝石の名前じゃない。
何言ってんだろ? 夢!! そう夢で見たのよっ!!
アクアマリンったら“異世界”から来たーって、
異世界なんてある訳ないじゃん、馬鹿馬鹿しい。ま、服は違ったけど。
最後の方で何か聞こえたのよね、少し低い声で……
いじめっこA・Bが上手から登場
A:そろそろ反省したかなぁ?
B:紅ーっっ、もう出てきたら?
A:もしかしてビビってんの?
体育倉庫の鍵を開ける
B:紅? おっかしいなぁ、いるハズなのに……
水晶:「次元が開く」
A:何言ってんの? ほら、出なさいよ。
今日はこれくらいにしてあげたからさぁ。
B:明日からはもっとひどいかもしれないけどぉ。
水晶:「次元が開く」
雷の音
A:なっ……なんっ!?
水晶:「おや? いたのか、ちっとも気付かなくってねぇ。
何を怯えてるんだい?」
B:紅、あんた……?
水晶:「ああ、水晶に用があるのか」
……あ!! 二人とも何でこんなトコに閉じ込めるのよ!!
何? 顔色悪いけど、大丈夫!?
A・B 怯えながら上手に去ろうとする
大きな雷と共に倒れる
水晶のいる下手側にだけ照明
水晶:私……何かした? あんな怯える事ないと思うんだけど……
……夢では、いつのまにか本音を話してたエメラルドに。
なんか嬉しかった、夢の中だけでも素直になれたから。……たぶん
『強がってないで素直になれ』って言いたかったのかな?
でも、そうそう素直になれるものじゃ……
「そういう星のもとに生まれたからだよ水晶が。
私の為にわざわざこちら側にきてくれたしねぇ……
ああ、そうだ。先程の2人の力を使ってしまおうか。
ジルコンとアクアマリンだったか……?生き返らせる位はできるだろう」
雷の音が掻き消える
水晶:「ローズ・クォーツ、いいえ水晶。貴方があっちの世界に来てくれたから
私はこっちの世界へ来れた。有り難う、感謝する」
ラケシス:私の名は……運命を表す“モイライ”の中の一人。
運命を割り当てその運命の決定者「ラケシス」。
この世界の人間共は自分勝手すぎる、先程の2人のなんと愚かな事か。
水晶のような人間が増えていくのはどうにも許せぬ。
「分からせるのよ運命を、分からせるのよ死を。
夢は一瞬にして過ぎ、運命は永遠に廻る」
……くくっ、ハハハハハハ……
巫子 上手より登場
巫子:水晶? あ、良かった。さっきね、水晶が閉じ込められたって聞いて……
水晶? 水晶っ!!
水晶:……あ、巫子。どうしたの?
巫子:どうしたのじゃないわよ、探したんだから! ほんとあいつら許せない。
どうしたの? どっか痛めたの?
水晶:う……ううん、何でもない。
巫子:「何でもない」じゃないでしょー。言いなさいよ、もう。
ったく、さんざん心配かけさせて……
水晶:夢……見てた……
巫子:夢? どんな?
水晶:なんか素直だった。どうしてか分からないんだけど……
いつもの私なんだけど、どこかが素直な?
巫子:……現実もそうだといいんだけどねー。その方が可愛いじゃん?
水晶:もう、何言ってんの巫子。……でもそうなれるといいよね。
巫子:えらいっ水晶!! そろそろ帰ろう? けっこうな時間になってるよ。
水晶:そうだね、帰ろう。
二人が上手に向かう途中で暗転
「分からせるのよ運命を、分からせるのよ死を。
夢は一瞬にして過ぎ、運命は永遠に廻る。
私はモイライの中の一人“ラケシス”」
緞帳 閉じる
「全ての運命は私のもつ“運命の歯車”によって決まる」
fin.
最初の台本という事で気合を入れたらどうにも厨二病くさい……じゃない、ヲタ要素満載だったのでラケシスの部分を削って、ジルコン部分も削って『放課後の白昼夢』になりました。
他にも書きかけの台本がいくつかありますが、冒頭部分だけだったり、登場人物だけだったりなのでなかった事にしようと思います。
ここまでお読みいただきありがとうございました。