刹那の夢・久遠の運命(さだめ) 5
森の中
アクア:龍の森って思ってたより明るいな。
水晶:そーだね、思ったより早く着いたし。
アクア:……でも良かったのか? エメラルドに何も言わずに出てきて。
水晶:いーの、これで。心配性なんだから、もう。
アクア:へいへい、それより水晶。その袋なんだ?
水晶:ローズ・クォーツの時の服、お土産に……と、あれ?
水晶 袋をごそごそ
アクア:もしかして水晶……入れ忘れたのか? んなモンお土産にするから……
水晶:ううん、ちゃんと入れてるよ。エメラルド……らしいや。
アクア:エメラルドがどうかしたか?
水晶:なんでもない。非常食のつもりなのかな? クッキーが入ってる。
エメラルドだ、きっと。あ、おいし。
クッキーを食べる水晶(本物でも可)
アクア:何やってんだ水晶? あ、てめー物食ってる場合か!? 一つくれ。
水晶:結局食べたいんじゃないのよ。はい、どーぞ。
アクア:お、けっこーいける。それにしてもこの森……れ……? 力が抜ける……
ガクンッと倒れるアクアマリン
水晶:大丈夫、アクアマリン? ……ねぇ、景色変わってない?
嵐のような音
水晶:ウソッ!? ここ体育倉庫じゃない、どうしてっ!?
アクア:良かった……じゃねぇか……戻れて。
水晶:でもアクアマリン、あんただんだん……
アクア:平気……平気……。多分オレの力が森に吸い込まれて、
次元があいてんだろ。オレが……倒れちまう前に……離れとけよ……?
水晶:もう倒れてるじゃないのっ!! 嫌よ、私のせいであんたが……
アクア:大丈夫……だって……
起き上がれず倒れたままのアクアマリン
水晶:……どうしてここに来たのか分からないまま私は戻るの?
元の世界へ……? ねぇっアクアマリン目を開けてよ。
私、何が何だか分かんないよ。どうして倒れてるの?
私をからかってるんでしょ?
遠くで雷の音
水晶:キャッ……!? ねぇアクアマリン……ねぇったら起きてよ。
アクアマリン、いい加減に起きてよっ!! ねぇ!!
私、どうしてここに来たの? 何で戻るの? 訳わかんないよぉ!!
雷が二人の近くに落ちる
水晶:キャァァァァァァァァァ――……
「刹那の夢・久遠の運命……運命を廻す時が来た」
アクア:大……丈夫か? ……水晶。
水晶:アクアマリン!? そっちこそ大丈夫なの? まさか幽霊とかになって……
アクア:……かもなぁ……
「その者は死にはしない」
水晶:誰? 誰なのっ?
「ほう……私の声が聞こえるのか……これは都合のいい……」
アクア:……? 苦しくなくなった? なんでだ……?
「お主の力を使って次元を開けなくてもよくなったのだ。
そこの娘のおかげでな」
水晶:……私?
アクア:誰だ? 姿を見せろっっ
「姿を見せろ? くくっ、何を言う。私の姿が見えてないのか? これは失礼」
倒れる水晶
アクア:水晶に何をしたっ!?
水晶:「姿を見せろと言ったではないか。人間に姿を見せる事は出来ないのでね。
私の声が聞こえてるらしかったから、姿も見えてると思ってしまったよ」
アクア:水晶……?
水晶:? どうしたのアクアマリン。私の顔をまじまじと見て。
アクア:いや……何でもない。
水晶:「私が何処にいるのか分からないのか?」
!! 今……私、しゃべっ……!!
「おお、すまぬ。この体しばし借りるぞ、言い忘れていた。
それにしても……何と不都合で窮屈な体。これが人間の体か……」
アクア:お前……誰だ? なんでこんな事を……
水晶:「こんな事? 言う必要はない、名乗る必要もない」
かまいたちのような風の音
アクア:うわぁ……!?
水晶:「おや? あっけない。どうしてこんな事? ……か。そうだな……
それは……“運命”の為……だ」
カミナリの音
暗転