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台本たち  作者: 魅桜
夢の中
20/27

夢の中 1

ざかざかと書いただけの未発表作品。

1番最初のセリフを言いたかっただけともいう。



登場人物


恵夢(えむ)


声1 恵夢の友達

 2 恵夢の友達

 3 ?

 4 恵夢の親








恵夢:私は二人を殺した事、後悔しない。



  チャイムの音



声1:おはよー、恵夢。


声2:どうしたの? 元気ナイじゃない。


恵夢:そんなコト……ないよ。


声1:あ、恵夢ぅ、今日ヒマ?


声2:ヒマだよねー?


声1:アタシ欲しい本があるんだけどーw


声2:何アンタ、本読むの?


恵夢:わかった。本屋に寄るんだね。



  チャイムの音


  間



恵夢:嘘。本屋に行ったって、まともなモノ買わないくせに。

   ただファッション誌や情報誌を見るだけ。

   「たいしたことないじゃん」とか言って、そこら辺でダベって帰るだけ。

   私は興味ないのに。



  暗転



声1:恵夢ぅ、行くよぉー


声2:うっわー、恵夢のカバンぶあつっ!! 何はいってんの?


恵夢:え? 参考書……問題集……


声1:頭イタくなるー


声2:さーすがマジメ♪


声1:ベルやPHSも持ってなさそーだし。


声2:いらないでしょぉ、恵夢()()()()


恵夢:ケータイなら持ってるよ? でも使わないし意味ないなって……


声1:えー、じゃあさ番号教えてよ。


声2:アタシらがかけてあげるからー。


恵夢:今度ね、番号覚えてないし。ほら本屋についたよ。私、小説の所にいるね。



  間



恵夢:……意味のないバカっぽい会話。「番号教えて」って言ってたけど、

   どうせ、ワンコールしたらすぐ切るんだよ。で、こっちにかけさせる。

   掛けなかったらメールが来る。それでも反応しなかったら次の日は地獄。



  間



声1:あ、いたいた。恵夢ぅ?


声2:本、買ったの?


恵夢:うん、面白そうなの見つけたから。


声1:タイトル何ていうの?


声2:その本ムズかしい?


恵夢:二人は買わないの?


声1:あー、()()はぁー……


声2:恵夢に盗ってきてもらおうと思ってー。


声1:やってくれるよねぇ?


声2:アタシ達、友達だしぃ。


恵夢:え……? やだ……


声1:別に捕まらないって盗るくらい。


声2:何よできないのー? バッカじゃない?


恵夢:やりたくないよ!! 万引きって事でしょう?


声1:いーからその雑誌、早く!!


声2:あーあ、店員がこっち見てるしぃ。



  間



恵夢:何が友達よ、万引きよ。私は嫌だって言ってんのに。

   こっちの都合はおかまいなしで……もぉ嫌っ!! 私は一人でいたいの。



  暗転



恵夢:ただいまー。二人共、入って入って。


声1・2:おじゃましまーす。


恵夢:何、飲む?


声1:何でもいーよ。


声2:恵夢の部屋ってドコだっけぇ?


恵夢:リビングでいーよ。その方が広いしお菓子とかも出しやすいし……



  間



恵夢:和やかな時間、叩き壊したくなる。

   ゲームをしながら好みの男の話だのブランドだの援助交際の話だので

   盛り上がってる二人。適当に話を合わせていた筈の私は……

   いつのまにか包丁を取り出して二人に振りかざしていた。



  間



声1:――――――っっ!?


声2:キャーーーーーー!!


声1:何……す…………えむ……


声2:恵夢!!何すんのよっ!!


恵夢:刺したの。だってあんた達ムカつくんだもの。


声1:……ムカつく……って……


声2:アタシが何したっていうのよ!?


恵夢:……したじゃない。嫌だって言ってんのに万引きさせたりしたじゃない!!

   私は一人でいたかったのに、一人が良かったのに。

   何とか我慢してきたけど、もう無理。耐え切れない。


声1:……あ……いた……い…………痛いぃぃぃぃぃ


声2:あんた自分が何やったかわかってんの?



  間



恵夢:肉を貫く感覚、肉がヒクついて赤い血が流れた。

   とても汚れてて、でも綺麗で。

   包丁に力を籠めると肉体がビクンと大きく揺れた。

   なんて簡単に壊れるんだろう。もっともっと刺してみたい――……

   そして皆、死んじゃえばいーのに。そうよ、皆、皆皆皆皆!!

   死んじゃえーーーーーーーーっっ!!



  間



恵夢:……ふふ……あ、手に血がついちゃった。


声1:あんた……狂ってる……


声2:こんな事して……いいと思ってんの……!?


恵夢:いっぱい刺したのに元気がいいね? 二人共、私をなんだと思ってたの?

   いつもいつも「黙ってついてくる」ぐらいにしか思ってなかったでしょ?

   確かにいつも黙って側にいたけど、それは断ったらすぐに暴力に訴えて

   従えようとしてきたからじゃない。いいよね、弱者を見つけられるって。

   私は二人みたいに要領よくないからいつも皆のいいなりみたいだったけど。

   すごく辛かったんだよ? どうしてここで言えないんだろう。

   どうして自分の意見を言う事が出来ないんだろうって。


声1:言おう……としてなか……ったから……だろ……


恵夢:まだ喋れるんだ? イイ加減に死んでよ。


声1:――っ!! ――――――……っ!!


恵夢:やっと黙って私の話を聞いてくれるね? とっても嬉しいよ。


声2:キレてる……あんた……狂ってる……


恵夢:キレさせたのは誰? ……あんたも死んでよ。ほらっ!!


声2:え……えむぅ……? ――――っっ!!


恵夢:これで私に万引きや援助交際とか強要しようとするヤツがいなくなった。

   嗚呼、でも刺すの楽しかったぁ。あの二人、恐怖で涙浮かべて……

   これで私がいつも感じてた恐怖を分かってくれたよね?



  間



恵夢:私の回りに血がたくさん広がってた。倒れてる二人。落ちてる包丁。

   白と黒と赤。三色のみがやけにリアルで。けれどすごく綺麗で。

   永遠の眠りについてるであろう二人がとても神聖なものに見えた。

   汚れている()()の人間なのに。私は罪に溺れていた。

   人殺しという大罪――……




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