表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
台本たち  作者: 魅桜
人形の女主人
15/27

人形の女主人(ミストレス) 4


ウーティス:中の線が千切れていく。心の銅線が少しずつ無くなっていくわ。

      外は動くの。でも、中は動かないのよ……


  カラン(戸の音)


ウーティス:いらっしゃいませ。<人形の館>へようこそ。

      私が人形ですか? ええ、人形です。造られた物ですから。

      え? 何が可笑しいんですか? 笑ってないで答えて下さいませ。

      どうして笑われるのか……学生さんですよね?

      制服を着てらっしゃるから。

      こんな時間まで何をなさってたんですか? え?

      何故怒るんです? お母さんみたい……?

      私はただ、貴方が何をなさってたか。この時間に制服を着て

      歩いていらっしゃる方いないですから……


ウーティス:椅子にお掛け下さいな。お話を聞きたいですわ。

      紅茶でもご用意致しましょう。え? お酒が飲みたい?

      カクテルでしたらご用意できますが。イマージュ、イマージュ!!

      あ、まだ買い物から戻っていないんだわ。私が作りましょう。

      少々お待ち下さいませ。


  カラン(戸の音)


ウーティス:お帰りなさいイマージュ。カクテルを作って欲しいの。

      私には“スコーピオン”を、お客様には“フロリダ”を。

      あらあら、人形に見惚れているみたい。

      ゆっくりと見てもらいましょう。

      人形を買っていく人がいなくなってきたわ。

      こんなにも綺麗な瞳をしているのに。整った顔立ち。

      人形を「怖い」という人もいるわ。どうしてなのかしら。

      イマージュ、御苦労様。御免なさいね、今日はもう休んでいて頂戴。

      大丈夫よ、有り難う。お客様、ご用意出来ましたわ。


ウーティス:美味しいですか? “フロリダ”の材料ですか?

      御免なさいノン・アルコールです。

      カクテルの話は終わりにしましょう。

      私の名前を言っていませんでしたね「ウーティス」と申します。

      え、ええ、ここは<人形の館>人形(ドール)が欲しいのでしたら、

      お売り致します。プレゼントですか? 正直な方ですねぇ。

      それなら少しオマケ致しましょう。喜んで頂けるといいですね?

      頑張って下さい王子様。

      貴方のキスでお姫様の目が覚めるといいですね。

      それでは、ご機嫌好う。


  カラン(戸の音)


ウーティス:もうお客様相手に喋るのがやっと。手が動かないわ。

      左手が……腕も……中身が壊れきってしまったのね。

      私は操り人形(マリオネット)になってしまったの? ……誰が私を操るの?

      今日は、もうおしまい。……閉店(クローズ)




ウーティス:もうすぐ完全に壊れてしまう女主人(ウーティス)、ただの人形(ドール)となった。

      動く事は無い。勿論、喋る事さえも。




ウーティス:心が空になっていくのが分かるわ。もう身体も動かない……

      もうすぐ壊れてしまう。今の私は幻想?

      ほんの少しだけ残った精神ね……私は何の為に造られたのかしら?

      そして何故壊れるのかしら? ……イマージュは眠りについたわ。

      新しい女主人(ミストレス)の為に。……もう……おしまい…………


  倒れるウーティス







  カラン(戸の音)


ハイマ:いらっしゃいませ。<人形の館>へようこそ。

    私はこの<人形の館>の女主人(ミストレス)「ハイマ」です。

    ごゆっくり人形を御覧下さいな。私の名前の意味ですか?

    「血」という意味です。




  緞帳 下がる



カクテルの本を読むのが楽しかったなぁ……

童話も段々と内容が残酷になっていくものにしました。なるべく声が同じにならないようにを気を付けましたが、どうしても似通ってしまいましたね。

掛け合いの部分は特に気を付けましたが、一人芝居は難しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ