表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
台本たち  作者: 魅桜
人形の女主人
13/27

人形の女主人(ミストレス) 2


  カラン(戸の音)


ウーティス:いらっしゃいませ。<人形の館>へようこそ。

      あらあら、可愛らしいお嬢さんね。

      いけませんよ? こんな真夜中にお外へ出るなんて。

      いつ狼に食べられるか分からないんですから。子供扱い?

      そうですか? でも、私より子供でしょう?


ウーティス:怒ってらっしゃるんですか? 怒った顔はいけませんよ。

      女の子は笑顔が一番素敵なんですから。私の名前ですか?

      「ウーティス」と申します。


ウーティス:イマージュ、カクテルをお願い。私には“レッド・アイ”を。

      こちらのお嬢さんには“シンデレラ”を。

      “シンデレラ”はノン・アルコールだから大丈夫。

      シンデレラのように十二時までには、お家に帰りましょうね?

      それにしても……外は冷え込みますねぇ。

      風が吹いてきたようですよ。


  風の音


ウーティス:はい、どうぞ。冷たいですからね、お菓子もどうぞ。

      美味しいですか? ……そうですか、お口に合って良かった。

      人形劇? 今日はもう駄目ですよ。

      途中で眠ってしまったら意味がないでしょう?

      ほら、もうすぐ十二時。シンデレラの時間は終わりです。

      貴方も帰らないといけません。気を付けて下さいね。

      それでは、御機嫌好う。


  カラン(戸の音)


ウーティス:イマージュ……この体はもたないかもしれないわ。

      ほら……もう足が壊れかけているし……えぇ、今日はもう閉店(クローズ)




ウーティス:人形の館の女主人(ミストレス)……女主人(ミストレス)も、人形。

      女主人(ミストレス)が壊れると、この人形の館は消え新たな女主人(ミストレス)が生まれる。

      人形(ドール)だらけの夜の店。昼は女主人(ミストレス)という人形は動けない。




シンデレラ:ああ、ガラスの靴の片方を落としてきてしまったわ。

      十二時の鐘、ずっと鳴らなければいいのに……

      そうすればずっとこのまま。このままでいられる。

      王子様と一緒にいられる。


シンデレラ:私にもそのガラスの靴を履かせてください。駄目ですか?

      えっ、いいんですか!? 失礼っと……ピッタリです。

      え!? 王妃に!? 私がっっ!?


  鐘の音


シンデレラ:もう十二時の魔法は解けないわ。ガラスの靴も、もういらない。

      勇気を持てば、望みは叶うのだわ。




ウーティス:私の望みは叶いやしない。この身体を治す事は禁忌(タブー)だから。

      イマージュももう壊れかけている。

      「ウーティス」とは「誰でもない」

      「イマージュ」とは「影像」……


  倒れ込むウーティス


ウーティス:もう限界……? 壊れてる訳にはいかない。

      まだ演じきっていないのだから。

      昔々の物語。語り継ぐ為、人形は動く。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ