ある日の午後 3
混乱する未来 兄は冷ややかに
兄:いらん子や。第一、今まで生きてきてほんまにえぇ事あったんかぁ?
未来:……なかった……ずっと一人で……私が何をしても誰も気付かない
だから、くやしくて……
兄:えぇ事なんてなかったんやろ? だから今からお前は死ぬんや
この生活に耐え切れんでなぁっ!!
妹:そんなぁ…誰も気付かなかったの? この瞳を見てても?
ねぇ、けど一人くらいは側にいてくれたでしょぉ?
一人ぐらいは助けてくれたでしょぉ?
未来:……一人ぐらい……? 一人だけ。だって、もしかしたら……
利用されているだけかもしれない。本当は心の中で私の事を嘲笑ってるかも
でも、例え嘘でも梓は私の側にいる。けど梓、一人……だけ……
兄:一人なんて0と一緒や。結局、誰も助けてはくれない
未来:誰も助けてくれなかった。私が悩んでるって事にも気付かなかった!!
私はいてもいなくても同じだから? 梓は助けようとしてくれた?
黙っていつも側にいた。けどそれが苦しくて……
未来:私が死んだら皆が私の事を知ってくれるかもしれない。
私の事を考えてくれるかも……
妹:そうやって自分を苦しめてくんだよ? 少しは自分の事考えようよぉ
死ななくても皆が知ってるでしょぉ? だから憎まれたりもするんだし……
兄:アリア!! 天使のように言うな、お前は悪魔や。それを忘れるな!!
妹:だって……
未来:でもね、アリアちゃん。もう辛いのよ、人に笑顔を向けるのが
朝が来るのが恐くて泣いた夜もあった……
兄:だったら早ぅ楽になりぃや。ここにはお前の居場所なんてないんやから
妹:カノン兄様……
未来:死ねば楽になれる……
何かを探し出す未来
兄:アリア
いつのまにか出したハサミを未来に渡す妹
兄、高らかに笑い始める
兄:はーっはっはっは!! 早ぅ楽になれや!!
そうすりゃ悩む事も苦しむ事もなくなる!!
妹:カノン兄様!! そんなぁ……悩んだり苦しんだりするから生きてるんや!!
だから喜べるんや、楽しいんや!! なぁ……?
……なぁ、こっち見てーな未来さん……
兄:アリア助けるな!! 人間なんて皆こうや。少しつつけばすぐ壊れる
だからこの仕事が好きなんや。俺は悪魔やて思えるんや。覚えときやアリア
未来:私が死ねば皆が喜ぶ……梓も喜ぶかも、私が死んでしまえば……
妹:カノン兄様……そんな事してほんまに未来さん満足できるんか!?
兄:本人次第や
ハサミを振り上げる未来
妹:待って、止めてやぁ……!! 梓さんは何で未来さんの側におるん?
一人だけでも側に人がおるんやろ? それで充分やんか!!
梓さんは信じてくれとるかもしれんやん。死ぬの止めてやぁ……
未来:梓は信じてる……? ハサミ……いやぁぁぁぁぁぁ
ハサミを投げ出す未来
もちろん公演時はハサミにテープをぐっるぐる巻いて危険のないようにしました。
練習で試しに先輩のかわりに私がしてみたら壁に突き刺さりそうになってましたけどね?
勢いって恐い……