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第5話 魔法

 メルニアを助ける…と言ったけど、私にはお金がない。タクシーにも乗れない。

「ラーム、お金に困っているのね?」

何故分かる?!チャイナに隠し事はダメだな…と思う自分が居た。

「くれたり…しませんよね…。」

思いっきり言ってみた。チャイナの反応は…うーんと悩んでいる。ムリなのだろうか。私はリビングの椅子に座った。この椅子に何回座っただろうか。「あ!」チャイナはポンと手を叩き、何か思い出したように言った。

「魔法があるわ。魔法でお金を出すの。手をこういう風に出して。」

チャイナも椅子に座り、机の上に手のひらをかざした。置いたのではない。上に出しているだけだ。私も同じようにした。

「出て欲しい金額を心の中でいい、お金を出そうと思ってみて。簡単だから出来るはずよ。」

チャイナの手からは、500円が出てきた。(オーストラリアだが、分からないから日本風。)私も同じようにした。500円よ出てこい!チャラチャラと音を鳴らしながら、500円が出てきた。嬉しい。初めて魔法をコントロール出来た。これでお金には困らない。私はそのあと私はスーパーに行った。

 初めてスーパーに行ったのは、チャイナに追われてるときだ。安心して買い物をして外に出たら、チャイナがいたのだ。でも今回はチャイナに追われてない。ゆっくりと慎重に買い物ができる。それでも私には不安があった。どうやったらこの魔法がほかの人に見えないのか。手からお金なんて信じられない。私はスーパーの前まで来たのに、一旦家へ帰った。スーパーから家まではそれほど遠くない。角を曲がりまっすぐ行くだけだ。時間も約5分ぐらいだ。

 家へ帰り私は急いでチャイナのところへ行った。色々な部屋に行ってもチャイナはいない。家中探したのにチャイナは見つからなかった。今日はあきらめよう。私はそう思って自分の部屋に行きベットに寝転がった。目をつぶって夢の中に入ろうとしたときだ。──ガチャン── とドアが開いた。私は思わず顔を隠し寝たふりをした。

「ここがラームの部屋です。」

…ヴィオ?!何で勝手に私の部屋に入ってきてるの?それより、誰に話しかけてるの?私のところに人が近づいてくるのが分かった。

「あぁぁぁぁぁぁ!」

何があったのか分からない。魔法が取られてるような気がした。腕がすごく痛い、破裂しそう。チャイナ…助けて…。私は死にそうになっていた。魔法を何もかも取られてしまった感じ。私は苦しいけどベットからおきてヴィオの方を見た。にらみつけてやった。

「何をやったの?横のおじさんだれ!」

私は怒鳴るようにいった。ヴィオに裏切られて、痛い思いをされて、最悪!私は人を信じられなくなった。ヴィオは私のほうを見て、ニヤリと笑って私の部屋から出て行った。

「ヴィオ!待って。待ってってば!」

私は追いかけようと思ったけど、力が全身に入らず追いかけることができなかった。少しは歩いたが床に倒れてしまった。もう起きる気力もない。私は、床に倒れたまま意識がなくなった。



 目を開いたら目の前にヴィオが居た。私、生きてたんだ。

「ヴィオ…。」

「どうした?ラーム。」

ヴィオはいつも通りだった。何もなかったように。

「今…な…時…?」

言葉が途切れ途切れになる。私は「今何時?」と言ったつもりだった。

「今何時かって?昼の1時だよ。丸一日ラームは寝てたんだ。」

私はあの日まだお昼なのに寝ようとしてた。もしかして…あれは…夢だったのかな…?

「ヴィオ…昨日、私の部屋にきた?」

さっきよりはいえたと思う。ヴィオに伝わっているのかは知らないけど。」

「ああ。来たぜ?ラームが床に倒れるような音がしたから、かけつけてきた。」

やっぱり夢だったのか。あっ!魔法を取られたような感じがしたんだ。もし取られてたら、魔法が使えないはず。

「ヴィオ、見てて。魔法が使えるか実験。」

私はさっきと見違えるぐらい元気になっていた。手を前に差し出し、500円よ。出ろ!と心の中で叫んだ。──チャリン──。出てきたのは100円だ。私の魔法は確実に減っていることが分かった。

「正直に答えてね。ヴィオ…。」

私は真剣な顔でヴィオに言った。

「昨日、誰かと一緒に私の部屋に来た?」

ヴィオの顔はひきずっている。私が見て分かるぐらい。

「う、うん…。でも「私の魔法を奪ったのね!」

私はヴィオが言っている途中に口を挟んだ。

「一緒にいたのは誰?教えて!ヴィオ!」

「分かったよ。俺は昨日ある人と君の部屋に入ってきて、魔法を取った。でも、魔法を取ったのは俺じゃない。俺はラームの魔法を取るなんて知らなかったんだ。」

とても真剣な顔でヴィオは私の顔を見た。部屋の中はシーンとしている。

「…じゃぁ、何のために来たのよ!」

ヴィオは少し間を空けて

「おじいさんだ。君のおじいさんが君に会いたいと言ったんだ。俺は会うだけだと思ってた。だけど彼は君から魔法を取って去ってしまった。俺はそんなことをするとも思ってなかったんだ。信じてくれ!ラーム。俺は何もしてないんだ。」

私はあまり信じられなかったけど、ヴィオの目を見るととても真剣だった。だから信じようと思った

「わかった…。あまり信じられないけど…。あ。私のおじいさん?に会わせて。お願い。会わせてくれなかったら、私はヴィオを許さない。」

「わかった。会わせてあげる。」


 私は初めておじいさんに会うのだ。緊張そして恨みがこみ上げてきそう。もう少しで何もかもが破裂しそう。私はヴィオについていった。私がまだ行ったことのない道を通っていく。今思えば私はあまりここのことを知らないんだ。いつも、病院へ行く道しか通ってないから。角を曲がってまた角を曲がる。家がたくさんある。チャイナの家の半分ぐらいの大きさ。こうやって見たら、チャイナの家がどれだけ大きいかわかる。歩き出して少したったら、大きい道路が見えた。

「まだなの?」

私がヴィオに話しかけたら、少し考えてからヴィオが口を開いた。

「タクシーに乗って、10分くらいでアラネスに会えると思う。」

「アラネス?おじいさんのこと?」

ヴィオはなれた手つきで手をあげ、タクシーを止めた。私たちはすぐさまタクシーに乗った。私は奥へ行き、ヴィオは私の後についた。そしてさっきの話を続けた。

「アラネスはラームのおじいさんだ。でも、アラネスって呼ぶなよ。俺だって「ラームのおじいさん」って呼んでるんだから。」

「でも…。私は、その人をおじいさんとは思えないと思う。全然あってなかったし。」

私は少し間をあけて

「アラネスは私の魔法を奪ったのよ?」

とヴィオの耳に口を近づけてコソっと言った。アラネスの家につく間、私の今の言葉で会話が途切れた。とても静かな空間。10分がとても長いような気がした。


「着いたぞ。」

「う、うん。」

私はヴィオに言われ、反対方向からタクシーをおりた。ヴィオはお金をタクシーの運転手にあげると、家の前まで行ってチャイムを鳴らした。

 1分ぐらいたってから、アラナスが出てきた。

「ラームのおじさん。ラームを連れてきました。」

「おぉ。ラームか。久しぶりだのぉ。」

アラナスは私とそっくりだった。あまりにも似ていたから、ショックだった。

「私は会った覚えがありません。…それより、魔法を返してください。私の魔法を…。」

まだ話の途中なのに、ヴィオが私の口を封じた。よく見ると、アラナスの顔がドンドン怖くなっていく。

「ラーム?私はラームのおじいさんだ。魔法を取ったりするのは当たり前なんだ。生きるために取るしかないんだ。分かるか?」

「分かりません。アラナスより、私が先に死ねと言うんですか?」

私の口調はドンドン強くなっていく。私は絶対に魔法を取り返してみせる。

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