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116 早朝にて
17/45//65日
目が覚めた。
今日は結構はやく目が覚めたみたいだ。
外は明るくなり始めたばかりのようで、まだ薄暗かった。
リビングに行くと、ディルムがいた。
「フェン、おはよう」
「ん、おはよ」
挨拶を交わしてから外の井戸に向かう。
玄関から外に出て、昨日たそがれが凍りつかせていた場所を通った。
あたり一面が霜に覆われている。
たぶん融け残りでもあって、寒い空気で凍ったんだろう。
ちょっと伸びをしてから井戸まで行き、顔を洗う。
と、風が吹いた。
冷たい風が体に触れながら横へと流れていく。
まだ少し濡れていた顔に風が当たり、いっそう冷たく感じる。
でもあと五ヶ月もすれば春が来る。
春はどんな感じなのだろうか。
私はよく知らない。
何で何も知らないままで森に倒れていたのか?
たまに見る変な夢は何なのか?
私は何者なのか?
何もわからない。
自分が何者なのかとわからないなんてただの恐怖でしかない。
それに―――佐奈って、誰?